BLINCAM 高瀬昇太インタビュー
愛娘との時間がサラリーマンをスタートアップに変えた——BLINCAM開発秘話
「社会人大学院で知り合った人たちと起業に関する話を頻繁にしていたのですが、言うだけじゃなくて実際にスタートアップの世界に触れてみようということでイベントに参加したら、すごく面白かった。
大学院でも1年かけてビジネスプランをチームで考えて発表する課題があって、すごく面白いアイデアをきれいなビジネスプランにして出すけど、実行されることはない。でも、Startup Weekendは週末の3日間でビジネスアイデアを詰めて顧客インタビューをしに外に出て、最終日にデモ発表するという、大学で1年かけてやる事の核を3日でやります。
そうしたときに1年かけてきれいな絵を描くのと、週末で実行力があるものを作るのと、どちらがいいんだろうと考えました」
その後、高瀬さんは社会人大学院の学生をStartup Weekendに巻き込めば、事業計画から実行に移すまでを一気通貫で経験でき、ユニークな事業家が生まれるのではないかと考え、Startup Weekendの運営に携わるようになる。
社会人大学院卒業後は、会社員として働きながら、Startup Weekendを通じてスタートアップの世界に深くかかわるようになった。イベントでもファシリテーターとしてスタートアップのCEOやVCと共に壇上に立つ日々を送るようになる。
サラリーマンなのにスタートアップの世界にいる違和感
イベントを重ねることで、さまざまな起業家と知り合うようになった。高瀬さんはスタートアップから生まれるサービスの多くが自分自身に起きた出来事から生まれていることに気付いたという。
「過労で倒れて仕事を辞めた人が、仲間と楽しく人生を過ごせるようなサービスを作ろうとしたり、家族が大病を患った事で医療関係のサービスを立ち上げたり、人生をかけてやっているスタートアップのCEOに話を聞くと、すごくパーソナルな体験が根っこにある人が多かった」
同時に、会社員でありながらスタートアップのコミュニティにいることに違和感を覚えるようになった。
「ファシリテーターとして人前に立つけど、『スタートアップってこうだ』みたいな事を言ったって、俺、サラリーマンじゃんって客観的に見ている自分もいて、もし自分が参加者の立場だったら、俺みたいな立場の人間に絶対言われたくないだろうな、とも感じていました」