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CODE HORIZON開発者インタビュー

AIロボット×スマホアプリで楽しむ次世代戦略ボードゲーム「CODE HORIZON」

ソフトウェアとハードウェアとの差

——コンセプトや開発をスタートしたのはいつ頃ですか?

松井 コンセプトを思いついたのは、2014年の夏ぐらいですね。原理試作を作るところから少しずつ始めました。最初のプロトタイプは、こういう筐体ではなくて、モーターとBLEだけを組み合わせたものでした。VROからの位置情報の認識などは全く考えずに、いわゆるラジコンに近いものをスマホから操作するところから作りはじめました。

2014年の冬には、ボードゲームをイメージしやすいように3Dプリントした四角い駒の外装をボード上に並べて、ペーパープロトタイピングのような方法で議論しました。原型のルールをどう決めたらもっと楽しめるか。ボードゲーム仲間と一緒に試作を手で動かしながらボードゲームのターン制で考えました。試しながら考えていると「あ、面白そうじゃん」と仲間と共感する部分が生まれ始めました。

基地から戦いに向かうVRO。 基地から戦いに向かうVRO。

——ゲームのルールを決めるのは難しくないのでしょうか?

松井 最初からドンと全てを決めたわけではなく、ルールの核となる部分をまず考えてシンプルに作っていきました。シンプルな状態からゲームが面白くなりそうな要素を付け足し、少しずつ要素を積み上げています。例えば燃料の補給ラインを予想し合う部分も後から追加したゲーム要素です。気になるところは、ゲーム仲間に意見を聴きながら、徐々に組み立てて決めていきました。

株式会社アタ CEO Design Engineerの白川氏。 株式会社アタ CEO Design Engineerの白川氏。

——VRO の外装デザインとメカ設計はどう進めていったのでしょうか?

白川 まずは最初に松井さんから世界観やイメージ、遊び方/楽しみ方をお伺いしました。思い描くイメージに近いメカやデザインをばーっと集めて、それももとに松井さんとCODE HORIZONならではのデザインとは何なのかを突き詰めていきました。そうして描けたイメージをスケッチにしたり立体にしたり、実際に動く試作を作って塗装して仕上げるなどしてブラッシュアップしていきました。現状のデザインにまとまるまでに1年くらいはかかったと思います。

そんなわけで製造までに何度も試作を重ねました。卓上で動かしやすいサイズや遊びやすさも考慮しなくてはいけませんでした。外装デザインだけでなく、中身のメカ設計も一緒に試作し、原理試作の基礎を固めていきました。先に外装デザインだけ決めてしまうと、後で駆動機構が成り立たないなど、整合性が取れなくなることはよくありますが、私の場合はメカと意匠とを一貫して検討していきます。とある次世代のエネルギー源で動くVROという世界観から「イオンエンジンやアンチマターエンジンで動くのかなぁ」などと空想のファンクションを想像しながら外装デザインとメカ設計を融合させていきました。外装デザインもメカ設計も一貫して作るかたちを取れるため、機能と形態に一本スジの通った提案ができたと思います。

2014年12月のVRO外装デザイン資料。AとB案でそれぞれ少し違ったデザインになっている。 2014年12月のVRO外装デザイン資料。AとB案でそれぞれ少し違ったデザインになっている。
2015年1月のVRO外装デザイン資料。AとB案を合わせたデザインで、ほぼ製品に近い状態が分かる。 2015年1月のVRO外装デザイン資料。AとB案を合わせたデザインで、ほぼ製品に近い状態が分かる。

白川 最初のスケッチ提案は、カクカクしているデザイン(VLユニット外装デザイン資料:A)と、今のデザインに近いもの(VLユニット外装デザイン資料:B)。Bは後部のバーツがほぼ今の状態に近いです。このスケッチの前にモーターなど部品を選定しておおまかな機構のブロックを設計しています。

——ハードウェアのものづくりで苦労した点はありますか?

松井 想像以上に何度も試作しました。今まで細かいものも含めて20回ぐらい。基板の試作もそうですし、外装や周辺アクセサリーの試作も。コンセプトを確認する試作もあれば、動作確認をするための試作もあります。実際に動かそうとしてみると、うまく動かないことも結構ありました。回路が間違っていたり部品が間違っていたり、実はファームウェアが間違っていたり。試作を何度も繰り返していたので、時間とコストが想定以上に掛かりました。ソフトウェアはコンパイルしてすぐにテストできる。この感覚だったので、ハードウェアとソフトウェアの差は大きかったですね。

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