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UTB 小野正晴インタビュー

未完全な技術だからこそ突き詰めたい——3Dプリントでファッションを拡張する小野正晴

小野さんの初期の作品(画像提供:小野正晴氏)。 小野さんの初期の作品(画像提供:小野正晴氏)。

3Dプリントで服を作るとはいっても、小野さんが普段の仕事で設計やモデリングを行う製品とは全く違う。そのため、平日の仕事後や休日を「Rhinoceros」とそのプラグイン「Grasshopper」を使ったモデリングの勉強に没頭した。

「Grasshopperのコミュニティサイトで公開されているデータを片っ端からダウンロードして、開いたデータのスライダーを動かして変形させたりして、データの構造を全部読んでいくんです。こいつはこういうふうな考え方で、こういうふうに組んでいるんだなって。それをずっと毎日、開いては読んで、開いては読んでを半年くらいやったら服くらいまではいけるかなっていう感じになりました」

3Dプリントしたものを服として成立させる工夫

3Dプリントの材料は基本的には樹脂素材で、単純に平たく造形しただけでは生地のような柔らかさは生まれない。服としての機能を持たせるためには3つの方法があると小野さんは説明する。

オーセチック構造を活かしたドレス(画像提供:小野正晴氏)。 オーセチック構造を活かしたドレス(画像提供:小野正晴氏)。

「鎧のようにあらかじめ体の線に沿った形のものを作る方法と、鎖かたびらのように鎖状のパターンを生成して、それをGrasshopperで組んだプログラム上で服の形状に展開させる——アルゴリズミックモデリングと呼ばれる方法、そして、樹脂材の服に適宜切れ込みを入れることで体の動きに合わせて曲がるようにする、オーセチック構造を使う方法があります」

小野さんは当初は鎖かたびら構造の手法で、頭の中にあったイメージをデータ化することにチャレンジする。アクセサリーなどの小物からはじめ、程なくしてワンピースを制作。Webで作品を発表したところ、服飾関連の企業からコラボレーションの依頼が来るようになった。

「新しい服を作りませんかという話になって、3D部分は僕がやるから布部分をお願いできませんかと提案して、布と樹脂がミックスした服が作れるようになりました。最初に布だけでワンピースを作り、それを3Dスキャンして、型紙のデータと合せてモデリングしました」

その際にオーセチック構造に詳しい研究者を紹介され、制作の幅も大きく広がった。何度かの試作で作品は完成。小野さんの個人活動として始まった洋服作りが、少しずつ社会との接点を持ち始めるようになった。

アパレルブランドの立ち上げプラットフォームを運営する「STARted」とのコラボレーションによる作品。上半身部分は小野さんがモデリング、造形した樹脂による服だ(写真提供:小野正晴氏)。 アパレルブランドの立ち上げプラットフォームを運営する「STARted」とのコラボレーションによる作品。上半身部分は小野さんがモデリング、造形した樹脂による服だ(写真提供:小野正晴氏)。

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