年末特別企画
スタートアップをやるなら今しかないと思った——世界に羽ばたいたスマートシューズ「Orphe」の1年を振り返る
今までにないプロダクトを生み出すということは、関わるパートナーにとっても新たなチャレンジであることを意味する。最も難航を極めたのは量産のパートナー開拓だった。電子機器であり靴、という2つの領域にまたがる製品の量産は工場にとっても未知の領域。首を縦に振る企業は簡単には見つからなかった。
「DMM.makeやABBALab※の紹介で電子系については問題なかったのですが、靴に関しては全く経験もコネも無かったので、片っ端から当たっていくしかありませんでした。靴の量産は1回の量産につき、数万足が前提なので、そもそも数千足のオーダーに対応してくれる企業が少ない上に、電子部品とのアッセンブリもあるので新しく覚えてもらう事も多い。それで採算が合うわけがないということで、かなり断られました」
そこで菊川さん達は単に頼むだけでなく、どのようにすれば工場にとってやりやすい形で量産できるかを自分たちで考えながら商談時に提案しつづけ、ようやく引き受けてくれる工場を見つけた。
量産のめどが立ち一般発売してからは、プロトタイプを発表した時点から暖めていた企画が本格的に進み始めた。9月には阪急百貨店との企画でアパレルブランドとのコラボレーションモデルを発売するなど、Orpheを活用した新たな展開が始まっている。
※nnfはDMM.make AKIBAにオフィスがあり、ABBALabからの投資を受けている。
隣の国ではスタートアップはスターのようだった
10月に台北で開催されたInternational Crowdfunding Conference Asiaというイベントに招待された菊川さんは、台湾のスタートアップの環境に衝撃を受けた。