Rhizomatiks Researchインタビュー
テクノロジーを駆使して新たな表現を生み出すRhizomatiks Researchのエンジニアチームが明かす舞台裏
平面から次元を超える感覚をモーターとワイヤーで表現「Dimensions」
会期:2015年12月4日~2016年1月17日 会場:青山SPIRALエントランス
https://www.spiral.co.jp/e_schedule/detail_1751.html
borderの公演期間中に会場である東京・港区「SPIRAL」の入口に展示されたインスタレーション作品。
borderと関連するテーマで、実空間にある物体を見ながら物体自体が仮想空間を演出する内容。平面に設置されたゴム紐がモーターによって伸縮して、さまざまな図形を描く。錯覚によって立体物のように見え、その次元を超えるかのような動きは思わず見とれてしまう。本作品の発想から、プログラミングでモーターを制御する制作方法を伺った。
——Dimensionsの制作にあたって最初にどういった要望がありましたか?
石橋:まず僕がポリゴンのような壁を作れないかなという話をして、モーターを回して紐の線の長さが変わる作品が作れたらと思い、坂本くんにお願いしたら落としどころを見つけてくれました。
坂本:設置場所のSPIRALの入口は、外光が入ってきてプロジェクターやLEDが使えないため、映像を含まない作品になりました。僕の方では、まずソフトウェア上でシミュレーションしてさまざまなパターンを試し、平面上にありながら空間的な動きになる見え方のパターンを制作しました。そこから部品を調達してプロトタイプを作り、実際にどう動かして並べていくかを検証していきました。
——展示中に動くパターンは、どうやって動かしていたのですか?
坂本:パターンを動かす専用のソフトウェアを、Max/MSPとopenFrameworksで作りました。Max/MSPに適当な値を入れるとモーターが動いてくれるので、現場で動きを見ながら面白いものを探す作業を繰り返し行っていました。プログラム担当と一緒にパターンを検討して、視覚的に面白そうな効果を16パターンほどピックアップして、約13分のシーケンスとしてつなぎ合わせました。
——動力源となるモーターはどのようなものを採用したのでしょうか?
坂本:安川電機の100周年記念イベントで、ロボットアームと四角いキューブとダンサーがパフォーマンスする作品を手掛けたのですが、そこで使用したモーターと同じものを採用しています。そのときの制御のノウハウがいかせるので。モーターは、ロボット向け産業用モーターです。モーターにデータを流しこむソフトは、安川電機の時に原田が制作したソフトをそのまま使いました。
原田:作る際に汎用性はあまり考えていませんが、効率よく制作するには、なるべく過去のリソースを活用できたほうがいいですね。
坂本:モーターを固定する部品とゴムを留める部品は、ABSで3Dプリントしたものを使っています。ゴムは伸びすぎてしまうと切れてしまうので、力が入っても問題ないようにゴムをリング状にしています。3Dプリンタならすぐにプロトタイプを作れることが利点ですね。外部の業者に発注すると、どうしても1~2週間かかってしまうので。
——自分たちでモデリングして出力されているんですね。みなさんモデリングソフトは何を使っていますか?
坂本:なぜかみんなできますね。必要なものは作るしかないという。みんな使っているソフトが違います。ぼくはもともと建築事務所で働いていたので、そこで使っていた「Vectorworks」です。
西本:私もVectorworksですね。
原田:「Fusion 360」を使っています。「Rhinoceros」を使う人もいますね。