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「toio」プロジェクトリーダー田中章愛インタビュー

ソニーの研究と仕事後の雑談から生まれた「toio」——小さなキューブを通じてワクワクを子どもたちに伝えたい

2017年6月1日、ソニーは、「つくって、あそんで、ひらめいて。」と、子どもたちが自ら創意工夫してさまざまな遊び方を楽しめる体験型のトイプラットフォーム「toio(トイオ)」を発表した。ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」から12番目に誕生した商品は、どのように誕生したのか。toioプロジェクトリーダーの田中章愛氏にお話を伺った。(撮影:萩原楽太郎)

子どもたちが遊び方を発見できる「toioコア キューブ」

toioプロジェクトリーダーの田中氏 toioプロジェクトリーダーの田中氏

toioは、本体の「toio コンソール」と、動き回る小さなロボット「toioコア キューブ」が2台、それにtoioコアキューブを制御するためのコントローラー「toio リング」で構成されている。ゲーム機のように、toioコンソールに別売りタイトルの「toioカートリッジ」を挿入することで、さまざまな遊びを実現する。相撲や追いかけっこ、アート、プログラミング発想のパズルなど、子どもたちの自由な発想次第で、新しい遊び方を楽しむことができる。

toioコア キューブは、好きなおもちゃや工作したものを乗せられるようにデザインされ、自由に姿を変えて遊ぶことができる小さなロボットだ。マット上での絶対位置センサーと高性能モーター、加速度センサーや通信モジュールを内蔵し、ルールやシナリオによって生き物のような動きをするのが特徴だ。

コントローラーのtoio リングは左右どちらの手でも片手で簡単に操作が可能だ。加速度センサーを内蔵しているため、手で振ってtoioコア キューブの動きを操作することもできる。

2つのtoioコア キューブにレゴを乗せて相撲のルールで遊ぶ対戦ゲーム。子どもたちが自由に乗せるものとルールを変えるだけで無限に遊び方が広がる。 2つのtoioコア キューブにレゴを乗せて相撲のルールで遊ぶ対戦ゲーム。子どもたちが自由に乗せるものとルールを変えるだけで無限に遊び方が広がる。
ユーフラテスが監修した別売りタイトルのゲーム「工作生物 ゲズンロイド」のカートリッジを読み込ませると、紙工作を乗せて生き物のような動きをさせることもできる。尺取虫のような動き(左側)と人間が足で歩くような動き(右側)。 ユーフラテスが監修した別売りタイトルのゲーム「工作生物 ゲズンロイド」のカートリッジを読み込ませると、紙工作を乗せて生き物のような動きをさせることもできる。尺取虫のような動き(左側)と人間が足で歩くような動き(右側)。
ツンツンと叩くと、生き物のように反応して動き始める。 ツンツンと叩くと、生き物のように反応して動き始める。

研究と放課後の活動から始まったプロジェクト

プロジェクトの中心メンバーは、プロジェクトリーダーの田中章愛氏と、コンセプト発案/UX開発のアンドレ・アレクシー氏、製品企画/開発リーダーの中山哲法氏の3名である。もともとは2013年に発表したアンドレ・アレクシー氏らによるソニーコンピュータサイエンス研究所の研究「Brick Alive」がきっかけで始まった。Brick Aliveは、レゴにマイクロチップを埋め込み、パソコンやPlayStation専用ワイヤレスコントローラーで制御する試作プロジェクトだ。レゴブロックを載せたロボットによる追いかけっこゲームをWebカメラで認識・制御し実現するもの。

「2012年頃、僕はロボット研究に携わっていたメカエンジニアとしてソニー株式会社内の研究所にいて、グループ内の別の研究所であるソニーコンピュータサイエンス研究所によく遊びに行っていました。そこでレゴブロックで遊ぶという共通の趣味を持ったアンドレと放課後に仲良くなって、ハードウェアでエンターテインメントが作れないかと一緒に雑談をする中で、このアイデアが生まれました。この頃から右往左往するものの、コンセプトは何も変わっていません」と田中氏は語る。

ソニーコンピュータサイエンス研究所でBrick Aliveのアイデアを出し合うメンバー。(写真提供:田中章愛氏) ソニーコンピュータサイエンス研究所でBrick Aliveのアイデアを出し合うメンバー。(写真提供:田中章愛氏)

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