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“ジェームズ ダイソン アワード2015”国際選考最優秀賞は電気回路基板プリンタ「V-One」

英家電メーカー、ダイソンが提携するJames Dyson Foundationによる国際デザインコンテスト「ジェームズ ダイソン アワード2015」の国際選考結果が発表となった。カナダのVolteraによる電気回路基板プリンタ「V-One」が最優秀賞を受賞した。わずか数分で2層の試作基板を製作できるという。

ジェームズ ダイソン アワードは「問題を解決するものをデザインする」というシンプルな課題で毎年開催されているデザインアワード。今回の開催国は、アイルランド、イタリア、英国、オーストラリア、オランダ、カナダ、シンガポール、スイス、スペイン、ニュージーランド、台湾、ドイツ、日本、米国、フランス、ベルギー、香港、マレーシア、ロシアの20カ国で、前回から2カ国増えた。応募資格は、これらの国々でプロダクトデザインや工業デザイン、エンジニアリングを専攻する大学生と大学院生または卒業後4年以内の卒業生。

ジェームズ ダイソン アワード2015への応募は710作品(前回は603)に上った。もっとも応募が多かったのは英国の85作品、次いでアメリカの74作品、スペインの58作品など。日本からは35作品(前回25)で、20カ国中10位だった。 

最優秀作品のV-Oneは、スマートフォンや生物医学装置をはじめとした電子回路の試作基板を安価かつ短時間で試作できる。導電性と絶縁性の2種類のインクを使って、2層の回路基板をプリントできる。開発したVolteraは、カナダのWaterloo大学工学部の4人の学生によるチームだ。Volteraには賞金4万5000ドル(約550万円)が贈られた。

準優勝は、中国Chung Hua大学のWei-Lun Huang氏が開発した、有害な藻類の異常発生によって引き起こされる汚染水を食べる微生物を内包する生分解性セルビーズ「Green Fairy」と、英国Limerick大学のCathal Redmond氏が開発した部品点数を減らし小型軽量にしたスキューバセット「Express Dive」の2作品。日本からは2013の「handiii」 、2014の「Qolo」と2年続いて準優勝を受賞していたが今年は入賞にとどまった。

日本国内の選考で最優秀賞を受賞したのは、本田光太朗氏と河内貴史氏による災害時に非常灯になるつり革「LIGHT STRAP」。普段は地下鉄のつり革として機能し、いざというときすぐ使えるよう圧電素子を使った振動電池を内蔵して常時発電と蓄電するという作品だ。このほか一次審査を通過したのは、着地の衝撃をやわらげ快適な歩行を提供するハイヒール「YaCHAIKA」、震災時に送水が止まった水道管から残った水をくみ出す手動ポンプ「BICHIKU Faucet」、介護での重労働の一つであるおむつ交換のための排泄チェックを検知する「学習機能搭載・排泄検知シート」、途上国などの医療現場で水や布を殺菌することができる小型装置「Fillap」の4作品。11月13日に国内選考通過作品の表彰式が行われた。

「LIGHT STRAP」 「LIGHT STRAP」
「YaCHAIKA」 「YaCHAIKA」
「BICHIKU Faucet」 「BICHIKU Faucet」
「学習機能搭載・排泄検知シート」 「学習機能搭載・排泄検知シート」

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