IDC、2015年の国内3Dプリンタ出荷台数が大幅減と発表——企業利用は着実に増加
2016/07/29 16:30
IDC Japanは、国内3Dプリンティング市場の2013〜2015年の実績と2016〜2020年の予測を発表した。対象となる国内3Dプリンティング市場とは、3Dプリンタ本体市場、3Dプリンティング関連サービス市場、および三次元造形材料市場だ。
2015年の国内3Dプリンティング市場の総売上額は344億8600万円(前年比成長率4.4%)。うち3Dプリンタ本体は、売上額141億1100万円(同32.5%減)、出荷台数7900台(同20.2%減)と大きく縮小した。
一方IDCは、国内3Dプリンティング市場の2015〜2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を15.3%、2020年の総売上額を702億300万円と予測している。
デスクトップ3Dプリンタでは、2015年の本体の出荷台数は6300台(前年比成長率19.3%減)、売上額は9億2500万円(同40.9%減)と大きく減少した。2014年に出荷台数が急増したが、その後、造形物の限界が明らかになったことで、消費者の購買意欲が低下したことが原因だとIDCではみている。
この傾向は2016年以降にも影響するとみており、2020年の出荷台数を3700台(2015〜2020年のCAGR 10.2%減)、売上額を6億4200万円(同7.0%減)と予測している。
プロフェッショナル3Dプリンタでも、2015年の本体出荷台数が1600台(前年比成長率23.5%減)、売上額が131億8600万円(同31.8%減)と、ブームに乗った先行投資の反動が表れた。
しかし、製造業を中心に着実に応用範囲を広げていることから、IDCでは2020年の出荷台数を2400台(2015年〜2020年のCAGR 8.2%)、売上額を193億9000万円(同8.0%)と、今後5年間のプラス成長を予測している。
本体以外では、関連サービス売上額が118億3300万円(前年比成長率62.1%)、造形材料売上額が85億4200万円(同77.3%)と、2015年に市場が大きく成長した。関連サービス市場は、保守/修理費用が売上額を押し上げた。
2016年以降、国内3Dプリンティング市場は成長を維持するとIDCではみており、本体市場は2015年〜2020年のCAGR 7.3%で成長し、2020年に200億3200万円に達すると予測する。また、関連サービス市場は2020年に202億200万円(同期間のCAGR 11.3%)に、造形材料市場は299億6900万円(同28.5%)に達すると予測している。
今回IDCは、市場予測に加え、3Dプリンティング技術を応用した事例を調査。歯科分野と医療分野で、実際に3Dプリンタを用いた歯科技工物や人工骨などを受託製造する事例があったという。また、3Dプリンティング技術を取り入れた新しい製造工程で事業拡大を図る企業もあり、産業構造にも影響を及ぼす可能性があるとみて注目している。