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トップダウンで造形するDLP光源SLA方式3Dプリンタ「L2S」

脱着可能なプロジェクタを光源とするSLA(光造形)方式3Dプリンタ「L2S」がKickstarterに登場した。

開発者によると、3Dプリンタの方式として、丈夫で信頼性が高く、ランニング/メンテナンスコストを低く抑えながら高精細な造形ができることを狙い、既存のDLPプロジェクタを光源とするトップダウンのSLA方式を採用したとしている。

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造形物がレジンタンクの中に沈んでいくトップダウンのSLA方式は、ベッドの動きが上下のみと単純で、かつ造形物に加わる外力が少ないというメリットがある。その反面、多量のレジンを使い、造形面にレジンを供給する仕組みが必要、造形面に均一にレジンが広がるよう水平をとる必要があるなどの課題もある。

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L2Sでは、こうした課題を解決するため、造形するバット部をガルウイング形状とし、その底面にフレキシブルなウインドウをもつ構造とした。これにより、ウインドウ部をレジンに沈めれば、たとえレジンタンクが水平でなくともプリントベッドとウインドウが並行である限り、ただちに造形が可能になる。粘度の高いレジンを使っても、造形面全体に広がるのを待ったり、ワイパーなどで広げたりする必要がない。また、フレキシブルなウインドウを使うことで、造形直後のレイヤがウインドウから剥離する際に加わる力が小さくなるというメリットもある。

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このガルウイング構造のその他の利点として、ウインドウ部をレジンに沈めるとその分だけレジン表面が持ち上がるため、上部から追加のレジンを供給したり、オーバーフローするレジンを回収する機構などが不要になり、構造もシンプルにできるとしている。レジンタンクにはレジンより比重の高い生理食塩水をサポート材として使い、レジンはその上層に浮かぶ形になる。レジンの高さはポンプによって調整でき、不必要に多量のレジンを使うこともない。

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また、広い造形エリアを確保するために、可動式のプロジェクタステージを備え、ビルドプレートとの距離を調整することで最大造形サイズは192×108×170mmとなる。プロジェクタは1080Pの市販品をそのまま使用しているため、外して普通のプロジェクタとしても使えるという。

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L2Sは12月24日までクラウドファンディングを実施中。11月29日時点で、目標額6万5000ユーロ(約773万円)に対して2500ユーロ(約29万7000円)以上を集めている。

L2Sの組立済み版の価格は2827ユーロ(約33万6000円)で、今なら早期割引適用分が2729ユーロ(約32万4000円)で入手できる。はんだ付けなどが必要な組み立てキットやプロジェクタ無のタイプもある。出荷は2017年2月以降を予定しているが、現在のところ発送先は米国や欧州限定だ。

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