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京大ら、バイオ3Dプリンタ「Regenova」を用いた末梢神経損傷に対する神経再生技術を開発

京都大学医学部附属病院の松田秀一教授、佐賀大学中山功一教授らの研究グループは、サイフューズと共同で、末梢神経損傷に対する新しい治療法として、バイオ3Dプリンタ「Regenova」を用いた神経再生技術の開発に成功した。同研究成果は2月13日、米国の科学誌「PLOS ONE」電子版で発表された。

現在の末梢神経損傷に対する治療では、患者の下腿などの神経を移植する自己神経移植術が主流だが、採取部位周囲の感覚神経麻痺や異常知覚の原因ともなる。自己神経を犠牲にしない人工神経の開発も行われているが、自家神経移植術を超える成績は得られておらず、まだ一般普及していない。

サイフューズは、中山教授が開発した技術をもとに、分離した細胞が凝縮する現象を利用して細胞凝集塊を積層する技術、還流装置を用いた熟成技術を開発。細胞のみからなる三次元構造体を作製できるバイオ3DプリンタRegenovaとして、内外の研究機関に向け2013年から販売している。すでに軟骨組織、血管組織などの作製実績があり、それらをもとに今回、再生神経軸索を誘導するバイオ三次元神経再生導管構造の作製に成功した。

これまでの人工神経技術では、人工神経に細胞成分が乏しく、再生軸索誘導に必要な環境因子が不足していたことから良好な結果が得られていなかった。今回同研究グループでは、Regenovaを用いて細胞のみでバイオ三次元神経再生導管を作製。ラットの坐骨神経損傷モデルに移植して自家神経移植に遜色ない結果を得ることができたという。

同研究グループでは、今後非臨床POC取得、非臨床安全性試験をクリアした後、医師主導治験を3年後に開始する予定だ。

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