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160年前からの数学界の難問「リーマン予想」の証明に至るアプローチ

1859年に、ドイツの数学者Bernhard Riemannが、後に“リーマン予想”と呼ばれるようになった推論を提唱した。

米エモリー大学の日系数学者Ken Ono教授の研究チームが、数多の数学者が挑み、挫折してきた、「リーマン予想」の証明に対する明解なアプローチを提案した。数学界における最大の未解決問題のひとつに対して、約90年前に提案されていた手法をベースとし、計算を高速化かつ普遍化することに成功したもので、研究成果は、2019年5月21日の『米国科学アカデミー紀要』に公開されている。

リーマン予想は、1859年にドイツの数学者Bernhard Riemannによって提唱された推論だが、その動機は単純なもので、素数の並び方の法則性を知ることにあった。素数とは、1とそれ自身以外に約数を持たない自然数という、良く知られた概念だ。しかしながら、2、3、5、7、9・・・71、73、79、83、89、97・・・と現れる並び方、分布は不規則に見える。無限に多くの素数が存在することは知られているが、100を超えると少なくなり、最初の10万個の自然数の中で素数は約9.5%の9592個しかない。桁数が増えるにつれて稀少になるため、桁数の大きな自然数をランダムに選んだ時、それが素因数分解できない素数である確率は殆どゼロであることから、公開鍵方式のRSA暗号として利用されている。

Riemannは、素数の分布が、リーマンゼータ関数と呼ばれる解析関数の値を零とする変数と密接に関係していることに気付いた。それを数学的に表現すると、「リーマンゼータ関数の非自明な全ての零点に対応する変数が、1/2の実数部を持つこと」と解釈され、これがリーマン予想と呼ばれるようになった。だが、このリーマン予想を実際に証明しようと、数多くの試みが成されてきたが、一度も成功に至らないでいる。2000年に米国のクレイ数学研究所によって、数学における最も重要な未解決問題として設定され、解決した人に100万ドルの報奨金が授与される、7つのミレニアム懸賞問題のうちの1つにもなった。

研究チームは、1927年にJohan JensenとGeorge Polyaが、リーマン予想を検証する基準として作り上げたJensen-Polya多項式に注目した。この多項式は、計算が限りなく遅く、扱いにくいことから、これまで数学界からは見放されていたものだ。研究チームは、Jensen-Polya多項式を次数ごとに結合して計算するフレームワークを考案し、これによって1つずつではなく、まとめて計算できるようにした。この結果、リーマン予想から帰結され、その正しさを示唆する多くの定理を証明することに成功した。

Ono教授はリーマン予想の完全な証明は、未だ先のことと考えているが、「我々の証明は、新しい数学手法を駆使したのではなく、驚くほど短くシンプルかつ明解だ。フォローして理解するのは簡単だろう」と説明する。また、スタンフォード大学の数学者で、リーマン予想の専門家であるKannan Soundararajan氏は、「この論文で確立された結果は、リーマン予想に対する新たな証拠を提示したものと見ることができる」と、評価している。

fabcross for エンジニアより転載)

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