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GSアライアンス、人工骨への応用が期待できる3Dプリント向け複合材料を開発

PLA/ヒドロキシアパタイト複合材料を用いて3Dプリンターで印刷したおもちゃの骨の形状

GSアライアンスが、生分解性樹脂とヒドロキシアパタイトとの複合体材料を使って、3Dプリンターで造形することに成功した。人工骨などの再生医療への応用が期待できるという。

GSアライアンスによると、骨腫瘍や骨折などのさまざまな原因で発生する骨欠損の修復方法として、1980年ごろに骨の無機成分でタンパク質の吸着特性を持つヒドロキシアパタイトを使用した人工骨や、β-TCP(リン酸三カルシウム)を用いた吸収置換型人工骨が開発された。これにより人工骨への期待が高まったが、移植先の形状に合わせて加工するのが難しかったり、粉末状や軽石状のものは実際の手術には使用しにくかったりする問題があった。

今回同社では、ヒドロキシアパタイトと生分解性樹脂のPLAを主材料として複合化させ、3Dプリンターで造形可能な材料を開発。実際に3Dプリンターでの造形に成功した。

PLAは生分解性を有するものの細胞応答性がないため、細胞の接着や増殖が難しい。そこで、細胞などとの接合性や密着性を持つヒドロキシアパタイトの特性を利用すれば、組織再生のための人工骨の足場材料に応用できる可能性がある。さらに3Dプリンターを用いれば、個々の患者に合った形状の人工骨を造形できるようになる。

同社では今後、ヒドロキシアパタイトよりも骨置換性が高いβ-TCPや、コラーゲンなどの他のバイオマスマテリアルを用いた、さらに高い機能を持つ材料を検討。最終的には、生体内で分解吸収されると同時に骨組織によって置換されるような人工骨充填材などの開発を目指す。

PLA/ヒドロキシアパタイト複合材料を用いて3Dプリンターで印刷した、骨の固定などにも使用できる可能性のあるスクリューの形状 PLA/ヒドロキシアパタイト複合材料を用いて3Dプリンターで印刷した、骨の固定などにも使用できる可能性のあるスクリューの形状

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