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透かし彫刻磁器という古くからある芸術形式を3Dプリントし、目の見えない人も見える人も共有可能なデータ形式を作製

Courtesy of Elizabeth Shaw

ベイラー大学の研究チームが、昔ながらの芸術形式である透かし彫刻磁器と3Dプリントを用いて、科学データをデジタル画像のような高解像度で光る触覚グラフィックスに変換し、目の見えない人も見える人も同じデータを認識できるようにした。視覚障害者が化学の教育や体験から疎外されないことを目指す。同研究成果は2022年8月17日、「Science Advances」に掲載された。

目の見えない人は、科学が生み出すグラフィックデータや画像を視覚できないため、目の見えない人と見える人との間での学習やデータ共有には、両者が容易に認識できる統一データ形式が必要だ。

透かし彫刻磁器は、19世紀に普及した芸術手法である。半透明の材料で作られた薄い彫刻で、一見、不透明に見えるが、後ろから光を通すと、薄い部分は明るく、厚い部分は暗く見え、デジタル画像のように写る。これまで透かし彫刻磁器が、視覚と触覚を統合し、科学データや画像を定量的に制御した方法で表現するために用いられることはなかった。

研究チームは、グラフィックデータを反映した透かし彫刻磁器を3Dプリントし、デジタル画像のような高解像度で光る触覚グラフィックスを作製した。その際、2次元の画像を3次元のトポグラフに変換する無料のオンラインソフトウェアを使用した。そして、ゲル電気泳動図や顕微鏡写真、電子スペクトル、マススペクトル、教科書の挿絵の5つの透かし彫刻磁器を作製し、目の見えない人と見える人が、透かし彫刻磁器のデータを、触覚あるいは視覚で理解できるか評価した。

その結果、触覚あるいは視覚で79%以上の精度で理解できることが分かった。具体的には、目が見えない人の触覚での理解は96.7%、目が見える人が透かし彫刻磁器を後ろからの光を通して見た場合の理解は92.2%、目隠しをした状態での触覚での理解は79.8%だった。

一方、目が見える人がコンピューター画面上のデジタル画像を見て正確に理解できたのは88.4%だった。質問の80%について、視覚障害のある化学の学位を持つ人の触覚による正確さは、透かし彫刻磁器の視覚による理解と同等以上という結果であった。

研究チームは、透かし彫刻磁器が視力の高低に依存しない普遍的なデータ形式となり、これまで見過ごされてきた人たちが科学や技術、工学、数学分野によりアクセスできることを期待している。

fabcross for エンジニアより転載)

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