FormlabsがSLAプリンター「Form 4L」を発表、大型造形に対応し、新プリントエンジンを踏襲
Formlabsは2024年10月15日、大型SLA(光造形)方式3Dプリンター「Form 4L」を発売した。前機種「Form 3L」と比べて造形速度が大幅に向上しているだけでなく、さらに大きな造形サイズを可能にする。主要な機構や造形技術は2024年4月発売の「Form 4」を踏襲、同製品の大型モデルという位置づけだ。日本では2024年10月16日から注文を受け付け、同年11月から出荷を開始する。
大型部品でも短時間で造形可能
Form 4Lの造形体積は353×196×350mmと、Form 4と比較した際の最大造形サイズは4.6倍。2019年に発表したForm 3の最大造形サイズ335×200×300mmと比べても最大造形サイズは拡大している。
造形速度の向上もForm 4Lの大きな特徴だ。同社のレジンを用いた場合、最大で6時間以内に大型モデルを完成させることができ、「Fast Modelレジン」を使用すれば、造形時間はわずか半分程度に圧縮できるという。
安定性と品質が向上した造形プロセス
Form 4から採用されたLFD(Low Force Display)と呼ばれる造形プロセスを踏襲したことで造形スピードだけでなく、安定性や造形成功率の向上が図られている。これにより、複雑なデザインでも安定して高品質な出力が期待でき、Form 3での造形途中で発生する可能性のあった「シームライン(筋状のライン)」も解消された。
レジンタンクはForm 4同様の改善が図られている。Form 3Lでは造形時にタンク下部の光学ユニットがレジンタンクに触れることや、浸食性の高い材料を使った場合には耐用期間に制約があるなど、レジンタンクの寿命が短い傾向にあった。Form 4Lではレジンタンクの設計を見直し、7万5000層以上の使用が可能になる。これは平均的な使用で1〜2年程度の寿命としている。また、LFDによってレジンタンクに光学ユニットが直接触れない仕様になったことも、耐久性能の向上に貢献しているという。
また、Form 4Lの発売と併せて、造形準備ソフトウェア「Preform」(バージョン:3.41.0)では造形物の中空構造を設定する機能や表面にテクスチャを反映させる機能などがアップデートされる。
作業効率を高めるアクセサリー群
Form 4Lでは、5リットル対応のレジンポンピングシステムが新たに導入されており、長時間の連続運転が可能となっている。従来の1リットルカートリッジでは頻繁な交換が必要だったが、5リットルのレジンを使用することで、特に大型部品や大量生産を行う際の手間を大幅に削減できる。また、自動レジンミキサーを搭載することで、造形中のレジンの均一性を保ち、常に最適な状態で造形を進めることができる。これにより、造形失敗リスク低減や材料ロス削減も図られている。
さらにForm 4Lと同時に発売する第2世代のForm Wash Lは洗浄能力が向上し、攪拌力が前世代の1.5倍に増強された。これにより、洗浄時間が短縮され、より効率的な後処理が可能になった。また、新しいビルドプラットフォームは高さ調整が可能で、Form 2以降の全モデルに対応する。
幅広い材料対応とオープンマテリアルモードの導入
Form 4Lは、発売開始時点では17種類のレジンに対応し、ファームウェアのアップデートを通じて対応するレジンの種類を増やす予定だ。これに加えて、Formlabsはオープンマテリアルモードを導入しており、サードパーティ製の材料を使用することが可能になっている。これにより、ユーザーは特定の用途や要件に応じて、さらに柔軟に材料を選択できるようになった。
オープンマテリアルモードでは、材料設定をカスタマイズすることも可能で、光源の強さや露光時間などを細かく調整できる。これにより、特殊な材料を使っての造形にも対応でき、用途に応じた最適な設定で高品質な造形が可能だ。
価格と発売時期
国内では販売代理店を通じて、2024年10月16日から「Form 4L」と生体適合性レジンが使用可能な「Form 4BL」の予約受付を開始し、11月より出荷を予定している。参考価格は本体のみで9999ドル(約150万円、日本での価格は販売代理店へ要問い合わせ)となっている。
また、Form 4Lの発売と合わせて、SLS(粉末焼結積層造形)方式3Dプリンター「Fuse」でもオープンマテリアルモードに対応するほか、2種類の造形用パウダー素材も発売開始する。