Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
iMacによるスケルトンブームが生んだ技術の時間用組立て教材「YAMAZAKI AM/FM RADIO HYBRID CLOCK EL/ALARM MODEL YE-990A」
昭和が青春だった方は誰もが中学生の時、技術の時間にラジオの組立て実習をやった記憶はないだろうか。筆者の場合は6石AMラジオキットの組立てをした経験がある。当時からはんだごてを使った電子工作が大好きで、愛読書「ラジオの製作」をバイブルとして秋葉原に部品をよく買いに行っていた。話は戻るが今回は某リサイクルショップの片隅に眠っていたものを入手した。
学校の教育用教材が専門の会社「山崎教育機材」(現:山崎教育システム)が販売していた「ラジオ付きハイブリッドクロック」だ。そして気になるのはそのデザインだ。
Appleが販売していた「iMac G3」が5色展開を開始した1999年頃の製品をモチーフにしたものだろうか。iMac G3は内部が透けて見えるという、当時としては衝撃的なデビューをしたパソコンで、他のプロダクトにも多大な影響を与えた。今回の教材もデザインなどから当時に出したものと思われる。
それでは製品を見てみよう。
外箱は完成した本体のイラストが描かれており、側面には生徒の氏名の記入欄がある。まさに教育教材ならではのパッケージだ。
中を開けるとまず組立て説明図が出てくる。通常のキットと違うのは、説明図が単に組み立てだけではなく、キットの仕組みと作りながら何を学ぶのかが明確になっていることだ。
このキットに関して「ハイブリッド」の仕組みが主題になっている。そのためキットの中には太陽電池が入っている。
日中は太陽電池で時計を駆働し、暗くなると内蔵電池に切り替わる仕組みだ。
電子パーツは細かく仕分けされて分かりやすい。一番大きいのはAM/FMラジオの基板で、こちらに電子部品をはんだ付けして製作していくようだ。
また、本体がPC型になるためマウス型のスイッチが付属している。こちらは夜間時計を見るときに必要な照明のスイッチだ。
時計のパネルはパソコンの画面をイメージしていて、時刻の数字がアイコンになっているところもユニークだ。
Mac好きの筆者としては思わず付属のマウス(型スイッチ)でフォルダをクリックしてしまいそうだ(笑)
このキットはハイブリッドの仕組みを通してエネルギー問題を提唱していると取説にうたっている。昔のラジオキットはラジオの仕組みを学ぶだけだったが、現代の教材はしっかりしたコンセプトがあることに少し驚いた。このキットはいつか組み立てることにしよう。
「YAMAZAKI AM/FM RADIO HYBRID CLOCK EL/ALARM MODEL YE-990A」
発売時期: 発売年不詳(推定2000年前後)
2000年前後に起きた主な出来事
- ソニーが犬型ペットロボット「AIBO」発売
- Amazon.comの日本語版サイト「Amazon.co.jp」オープン
- Appleが「iPod」発表