Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
プロフェッショナルの冠を頂いたハイエンドウォークマン「SONY STEREO CASSETTE-CORDER WM-D3 WALKMAN PROFESSIONAL」
蒐集活動を続けていて今年もまた思うのは近年気候の変動が激しくなっていることだ。蒐集活動は外にいる時間も多く、朝と日中、そして夜間の気温差が大きいことに気付くのである。いろいろ原因はあると思うが人間が作る物の大量生産、大量廃棄も一つの要因になっているとは思っている。個人レベルでの取り組みだが、蒐集したものをリユースすることで、廃棄ロスを少しでも無くしたいと常に考えている。そんな中今回発掘したのが、誰もが知っているソニーのウォークマンだ。
1979年に突如発売された再生専用のポータブルカセットプレーヤー、ウォークマン「TPS-L2」は爆発的な人気になった。その一因は再生のみという、今までのオーディオ業界の常識を破った商品コンセプトにあると思っている。そんなウォークマンも初代以降、続々と後継モデルが発売され、初代から4年後の1983年に一つの頂点である「プロフェッショナル」というラインが登場する。今回紹介するウォークマン「WM-D3」はプロフェッショナルシリーズの後継で1985年発売、より洗練されコンパクトながら重厚感も感じるハイエンド機という、まさにソニーを象徴するような製品だ。
それでは製品を見てみよう。
本体のサイズは初期の頃のサイズに近く、前モデル「WM-D6C」よりもかなりコンパクトな設計になっている。正面のパネルにあるロゴは印刷ではなく本体と一体で高級感を感じさせる。その下にはPROFESSIONALの文字がある。
そしてカセットの操作ボタンは1982年発売のウォークマン「WM-DD」と同じ配列で、WM-DDがベースになったことが分かるデザインだ。
ボタン類はマット仕上げで確実な操作が可能だ。
さらに操作部の上部にはLED5連インジケーターやテープカウンター、そしてノイズリダクションシステムのドルビーBを備え機能は充実している。ただWM-D6Cと違いメタルテープは再生のみの対応なのが残念だ。
そしてその横にはボリュームと録音のレベル調整ボリュームがあり録音へのこだわりを感じさせる。さらにライン入出力端子も装備しているのが嬉しい。
カセットテープは簡単に装着可能だがしっかりホールドする。
電池ボックスはカセットホルダー内にあり、単三乾電池2本を使用する。
WM-D3はオリジナルのソフトケースと肩から下げられるストラップも付属しているが、その精悍な作りを見ながら使いたいと思ってしまう。ちなみにドライブはWM-DD同様のディスクドライブを採用し、ワウフラッターの少ない安定的なテープ走行が可能だ。今回入手したものは走行が不安定で一度メンテナンスをしたいと思っている。
「SONY STEREO CASSETTE-CORDER WM-D3 WALKMAN PROFESSIONAL」
発売時期: 1985年
1985年に起きた主な出来事
- NTTが携帯電話「ショルダーフォン」発売
- ファミコン用ゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」空前の大ヒット
- フジテレビ系生放送バラエティ番組「夕やけニャンニャン」放送開始