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Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一

家電をアートに昇華した魚の骨がモチーフの電気コード「明和電機 魚(な)コード(NAKI-DX)魚器(なき)シリーズ」

家電をアートにしたアーティストで一番好きだったのはナムジュン・パイクだった。特に1984年に上野の東京都美術館で行われた「ナムジュン・パイク展—ヴィデオ・アートを中心に」には衝撃を受けたひとりだった。さまざまなブラウン管テレビが作品のコンセプトを妖しく表現している様は、アナログならではの表現であり、家電を使ったアートにすっかり魅了されてしまった。その影響もあって、デザイン会社に勤めていた頃のショーウインドーなどの仕事も、光を使ったディスプレイをよく提案していた。そしてその思いは今も変わっていない。

さて魚コードだが、今回定点観測する廃棄処理場の中で見つけたものだ。多分処理場で作業している方にはこれが何だか分からなかったはずだ(笑)。

魚コードを作ったのは「明和電機」という、2人の兄弟が1993年に発足したアートユニットで、現在は弟の土佐信道氏が代表を務めている。アーティストとしての活動の中で、電気メーカーとして作品(家電)での表現も「明和電機」の表現スタイルで、魚コードは初期の作品の一つになる。

それでは本体を見てみよう。今回は本体のみだが、新品当時はCDショップなどでブリスターパックに入った状態で販売されていた。

魚コードは基本的にはACの電源延長コードになる。写真では全体の大きさは分かりづらいが全長は細かな仕様の表記がなく、実測では約120㎝ある。

頭と尻尾の部分は樹脂で作られており、通電すると目玉が光る仕様になっている。尚発売当時のカラーバリエーションには白、黒、透明があった。

国内線用100V AC2Pコンセントの延長コードとして、口の部分がメスで尻尾の先がオスになっている。頭部と尻尾は可動するのでねじれも問題ない。

そして骨の部分はビニール系樹脂で作られ先端の部分も丸く処理されていて安全だ。ちなみに骨は一つ一つ自由に動く。

そんな魚コードは延長コードとして実用性のあるアート作品でとても楽しく、量産するアート作品としても現代アート的だ。近年はUSBコードとして再販されているようだ。

「明和電機 魚(な)コード(NAKI-DX) 魚器(なき)シリーズ」

発売時期: 1994年(発表年)

1994年に起きた主な出来事

  • フジテレビ系情報番組「めざましテレビ」が放送開始
  • 日本人女性初の宇宙飛行士、向井千秋氏を乗せたスペースシャトル「コロンビア」打ち上げ
  • 家庭用ゲーム機「PlayStation」発売

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