Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
受話器だけでなく、台座からも通話可能なデザインテレフォン 「SWATCH TWIN PHONE DELUXE MODEL」
新型コロナウイルス感染防止のため遠出をせず、都内での蒐集を行っている。そんな限定された状況でも丁寧に蒐集ポイントを巡回すると面白いものに出会える。やはりネットではなく、足で探す蒐集の方が空振りしても楽しい気がしている。その中で今回発掘したのがSWATCHの「TWIN PHONE」だ。SWATCHは1983年に誕生した、誰もが知っているスイスのユニークな時計メーカーだ。筆者も当時はSWATCHフリークとして、最新モデルが出るたびに、お店に並んでゲットしていた。おかげで今でも家の中には1980年代のモデルが数十本眠っている。そのSWATCHが80年代末に発売したのが電話機だ。スケルトンの筐体はどこから見てもSWATCHにしか見えない、強烈な個性を持った電話機だ。それでは詳しく見てみよう。
今回入手したのはボディが蛍光イエローのスケルトンモデルだ。そしてカールコードは紫色と、SWATCHらしさ満載の電話機だ。
台座部分と受話器、それをつなぐカールコードからなる。台座部分の真横には一目で分かる「SWATCH」のロゴが刻まれている。
台座部分には懐かしいパルス/トーンの切り替えスイッチと、ベルの音量スイッチが付いている。ちなみに電話のダイヤル回線に接続して電話をかけるときはパルス、プッシュ回線のときはトーンに切り替えて使用する。
また、台座の端の部分にはモジュラージャックが2つ付いている。ひとつはモジュラーコンセントに。もうひとつは受話器につながるカールコードを接続する。
このツインフォンの名前の由来は、受話器での通話はもちろん、台座でも通話ができることだ。つまり相手方と3人で同時通話できるというユニークな機能がある。ただ、この機能が必要かというと、それほど意味のない機能に思えるが、バブル時代真っ最中の製品ということで納得している。
ちなみにプッシュボタンのデザインもかなりポップ調で、電話をかけるのが楽しくなるのは間違いないだろう。
ただツインフォンの筐体は電話をかけなくても透明なため、中の基板や部品を眺めることができ、インテリアとしてもフューチャー感があり、ガジェットとしての価値も高い。
ツインフォンの受話器を持ってみると筆者の手でも少し大きい感じがする。しかし次のバージョンでは電話機のデザインはかなりポップになり、コンパクトになった。
スケルトンデザインの家電はとても楽しい仕様だと思っている。時計のイメージが強いSWATCHだが、今でもこんなユニークな家電に挑戦してもらえたら嬉しいかぎりだ。
「SWATCH TWIN PHONE DELUXE MODEL」
販売時期:1989年(推定)
1989年に起きた主な出来事
- 元号が「昭和」から「平成」に変わる
- 北京で天安門事件が起きる
- アニメ映画『魔女の宅急便』公開