Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
リモートの時代を予見していたかのようなアナログ音声会議システム「POLICOM Sound-Station」
昨年から続いているコロナ禍はさまざまな産業に大きな影響を及ぼしている。その中でリモートワーク/ステイホームは業種によっては定着したような感じもしている。
そして家にいる時間が増えると部屋の整理に行き着く人が多いようだ。そのため蒐集家としてはユニークなガジェットが出てくる機会が増えたように思っている。日本にはまだまだ眠ったままの家電も多く、2021年は蒐集のチャンスと捉えて活動を続けている。
その中で出会ったのが、POLICOMが発売した「SoundStation」と呼ばれる電話会議システムだ。アナログ電話を使った音声のみの会議システムだが、当時としては最先端のミーティングツールだったと思っている。それでは実機を見てみよう。
今回入手したSoundStationは本体と付属品、ACアダプターを兼ねた大きな壁掛けモジュール、電話コード、ユーザーズガイドの一式だ。残念ながらパッケージは無かった。
本体はSF映画に出てくるUFOのような奇抜な格好をしている。また、1990年代のプロダクトはSoundStationのような梨地仕上げの製品が多く、この時代の未来感が表現された製品だ。
本体のとがった3カ所の先端には高感度のマイクロフォンが内蔵され、会議室内の音声をキャッチする。Sound Station1台の目安としては10畳前後の広さが基準らしい。
そして本体にはダイヤルパッドと呼ばれる操作パネルがあり、電話機を別に用意することなく使用でき、ダイヤルから音量等の細かい設定まで可能になっている。
本体中央にはPOLICOMの真っ赤なロゴマークが印象的なスピーカーが内蔵されている。
接続は付属のケーブルを、壁掛けモジュール経由で電話回線のモジュラージャックに差し込み、本体底部にあるジャックに差し込んでつなげば完了する。
SoundStationは当時の企業などでの遠距離会議には大いに役に立ったのではないだろうか。個人的には声だけの会議の方が話しやすいと思っている。SNSでもClubhouseなる音声交流型アプリも登場しており、音声コミュニケーションが注目を集める時代が来ているのだろうか。
「POLICOM Sound Station」
発売時期:1994年
1994年に起きた主な出来事
- H-IIロケット1号機、種子島宇宙センターから打ち上げ成功
- リレハンメル冬季オリンピック開催
- Amazon.comの前身Cadabra.comが設立