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イベントレポート

「ファブラボ」の原点に触れる旅——第11回世界ファブラボ会議参加レポート

2015年8月2日から一週間にわたって、「第11回世界ファブラボ会議(通称:FAB11)」が開催されました。世界のファブラボ関係者が集まって行われるこの会議は今年で11回目となり、2年前に200人だった参加者も1000人を超え、ファブラボ発祥の地であるボストンで行われたことも相まって記念碑的な回となりました。

ここでは、デジタルファブリケーションを学ぶ大学生である筆者が一人の参加者としてFAB11に関わり、そこで感じることのできたファブラボの現在、過去、そして未来の姿をお伝えしたいと思います。

世界ファブラボ会議とは

ファブラボとは、3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタル工作機械を備えた市民包括型のものづくり施設のことです。ものづくりのツールを利用できる施設はファブラボ以外にも数多く存在していますが、世界各地200カ所以上に広がるファブラボは、ラボ間のネットワークを重視していることが最大の特徴です。

そのネットワークの象徴とも言えるのが、毎年開催されている「世界ファブラボ会議」です。年に一度の会議の開催にあわせ、世界中からファブラボの代表者が集まり、数日にわたって顔を合わせて交流します。

今年の「第11回世界ファブラボ会議(通称:FAB11)」は、ファブラボ発祥の地でもあるアメリカのボストンで行われました。今回、会議に参加することができたため、その様子をレポートしたいと思います。 

ものをつくる「会議」、その会場は……

世界ファブラボ会議の特徴は、何と言っても文字通りの「会議」ではないところだと言えるでしょう。ただ話し合うだけの時間はそれほど多くありません。午前中には新設ファブラボの紹介やテーマに沿ったセッションが会場の一室で行われますが、午後になると参加者たちは思い思いの場所に移動していきます。

8月3日のワークショップ一覧。 8月3日のワークショップ一覧。

というのも、午後には30を越す多彩なワークショップが用意されているからです。また、これらのワークショップは、運営側が用意したものではなく、各ラボや企業の代表者が準備し運営しているものです。こういったセッションやワークショップへの参加/運営を通じ、会議の参加者は自分たちの活動やその成果、あるいは課題についてさまざまな形でシェア(共有)していくことになります。

このような特性を持つファブラボ会議は「会議」というよりも、一週間にわたる合宿のようなイベントだと言うことができます。その活動的な特徴は、会場の造りにも表れていました。 

MITメディアラボの中庭に現れた巨大テント! MITメディアラボの中庭に現れた巨大テント!

会場となるのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボを中心とした一帯。その中央にある中庭には、会期に合わせて巨大なテントが設置されていました。中にはスポンサーである工作機械メーカーがブースを構え、さまざまなデモやワークショップを展開していました。

無事にタグをゲットして一安心。 無事にタグをゲットして一安心。

テントの一角で参加受付を済ませると、FAB11グッズの詰まったナップザックとネームタグを渡されます。しかし、なんとこのネームタグにはまだ名前が記載されていません! 自分の名前と所属は、テント内のブースに設置されたレーザーカッターで刻印する仕組みになっているのでした。単純なことながら、ここがつくる人の集まりであることを意識させられ、とてもわくわくしました。 

もちろん会場はテントだけにとどまりません。メディアラボの教室などさまざまな場所で、各テーマに沿ったワークショップが展開されています。

露天CNCルーターShopBotと……。 露天CNCルーターShopBotと……。
トラクターに収まるモバイルファブラボ! トラクターに収まるモバイルファブラボ!

とにかく、どこを見渡しても何かしらが動いている、そんな環境です。日本ではまだなじみの薄い、大型の車両にレーザーカッターなどを乗せて移動図書館のように活動するモバイルファブラボも展開していました。モバイルファブラボは、必要な機材やマテリアルがコンパクトに収納され、とても機能的な造りになっていました。はんだ付けや電子工作のブースもあり、なかなか侮れません。

MITメディアラボ1階の工房スペース。 MITメディアラボ1階の工房スペース。

同行した方の案内で、メディアラボ1階の工房を見学することもできました。こちらは学生であれば誰でも24時間使用可能です。こういった場にある工作機械を、研究機関だけではなく一般市民にも開放しよう、という理念がファブラボが始まるきっかけになっています。その源流とも言える場所を見ることができ、なんだか感慨深いものがありました。

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