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Startup Launchpadイベントレポート

300以上のスタートアップが香港に集結——「Startup Launchpad」

アジア最大級の見本市を開催するGlobal Sourcesが主催するハードウェアスタートアップトレードショー「Startup Launchpad」が、2018年10月18日から21日まで香港のアジアワールドエキスポで開催された。300以上のスタートアップ企業が新たなトレンドを巻き起こすデモ製品を出展し、140カ国以上から3万7000以上のバイヤーや来場者らで大盛況だった。

展示会場は各国ごとにエリアが分かれており、ハードウェアスタートアップが続々と誕生する香港に隣接した中国・深センやシンガポール、タイ、韓国らが目立っていた。日本から唯一ジャパンディスプレイ(以下、JDI)が特設ブースを出展し、ディスプレイの新たな提案を披露した。すべてをお伝えすることはできないが、会場で目に留まった展示とJDIが8月に発表したスマートヘルメット等、目新しいデモ展示と今後の展開をJDI常務執行役員CMOの伊藤嘉明氏にお話を伺ったので紹介したい。

香港に熱気あふれるアジアのスタートアップが集結

Startup Launchpadは、香港国際空港からエアポートエクスプレスで一駅隣にあるアジアワールドエキスポ(亜洲国際博覧館)の地下展示場が会場だ。毎年4月と10月に開催されるGlobal Sources主催のイベントは、今回で6回目を迎えた。

アジアワールドエキスポの外観。 アジアワールドエキスポの外観。
Startup Launchpadの会場入口。 Startup Launchpadの会場入口。

まずは、香港のスタートアップが展示するエリアから、Doki Technologiesの子ども用スマートウォッチ「doki Watch S」を紹介する。子ども向けのスマートフォンやタブレット製品が増えている昨今だが、Doki Watch Sは3Gネットワークに対応し、ビデオ通話、チャット、GPSトラック、スケジュール管理、写真アルバム機能等を備えている。販売価格179ドル(約2万230円)とスマートウォッチとしてはリーズナブル。親のスマートフォンアプリと連携し、子どもが利用できる機能を制限して管理することができる。

Doki Technologiesの「doki watch S」。 Doki Technologiesの「doki watch S」。

こちらも香港のスタートアップから、Mega Unit Technologyの「SPEEDNITE」。 SPEEDNITEは自転車用のデバイスで、本体を自転車とセンサーをヘルメットに取り付けることで、スピードメーターとペダルの回転数、心拍数を計測し、本体と専用アプリに結果を表示してくれる。ヘルメットに装着するヘッドモーションセンサーは頭の動きをトラッキングし、進行方向に合わせて本体のヘッドライトの向きをコントロールする。曲がる方向に合わせて方向指示のライトを点灯することもできる。

「SPEEDNITE」のブースには、たくさんの人だかりができていた。 「SPEEDNITE」のブースには、たくさんの人だかりができていた。

続けて香港のスタートアップをご紹介したい。Platysensのスイマー向けのIoTデバイス「MARLIN」。MARLINは、スイミングキャップに簡単に装着可能で、スイマーのラップタイムやラップ数、ストローク数を計測してくれる。GPSとモーションセンサー、スピーカーを搭載。泳ぎを分析し、結果を音声でリアルタイムにフィードバックする。

「MARLIN」は海やプールで利用することが可能だ。販売価格は150ドル(約1万6900円)。 「MARLIN」は海やプールで利用することが可能だ。販売価格は150ドル(約1万6900円)。

BeeInventorの「Desloop」は、建築や工事の現場で働く作業者の安全と健康データを収集するデバイスだ。ヘッドライト、ガス等の気体検出器、トランシーバー、動画用カメラ、緊急ボタンが搭載されている。ヘルメットに装着し、心拍数や体温をセンサーから取得して健康状態をモニタリングできる。通信ネットワークは、Sigfox、LoRa、NB-IoTに対応し、作業者の位置をリアルタイムで把握し、作業状況を管理できるプラットフォームサービスを提供する。

「Desloop」は、建築現場でよく使われているヘルメットに装着可能。RFIDタグで建築材料を認識し、検査する機能も搭載する。 「Desloop」は、建築現場でよく使われているヘルメットに装着可能。RFIDタグで建築材料を認識し、検査する機能も搭載する。

中国、韓国エリアのスタートアップも盛り上がりを見せた

香港スタートアップの展示エリアから中国や韓国の展示エリアに移動し、中国の杭州スタートアップから「Music Lens」をご紹介しよう。Music Lensはメガネと骨伝導方式のスピーカーが一体になった製品で、メガネをかけるだけで音楽や音声を聴き取れる。従来のイヤホンやヘッドフォンを装着せずに、ファッショナブルなメガネをかけ、高音質な音楽や通話音声、FMラジオを聴くことができる。フレームにタッチインターフェイスが内蔵され、音楽の再生、ストップ等をワンタッチで操作することが可能だ。

「Music lens」の充電は、USB Type-Cで30分から1時間、バッテリー持続時間は6~9時間。 「Music lens」の充電は、USB Type-Cで30分から1時間、バッテリー持続時間は6~9時間。

続いて、中国成都市のスタートアップSEGOの「PUMPKINS」。PUMPKINSは、ペットの飼育を補助する可愛いロボット。スマートフォンの専用アプリと連動し、遠隔で餌やり、写真/動画撮影のほか、レーザー光を床に照射してペットと遊べる仕様になっている。

ペットの飼育を補助するロボット「PUMPKINS」。 ペットの飼育を補助するロボット「PUMPKINS」

他国に比べて展示ゾーンを広く設けていたのが、韓国エリア。韓国政府の積極的なスタートアップ支援政策が垣間見える。韓国のスタートアップからは、VIRFITの「VHOOP」をご紹介したい。

VHOOPは、フラフープとスマートフォンアプリが連動したスマートフィットネスデバイス。運動の履歴や消費カロリーをアプリから閲覧できる。友達とつながって24時間以内の消費カロリーを対決、ランキングを表示して楽しく競い合う機能も搭載する。VHOOPに収納する重りを変更し、運動したときの負荷をコントロールすることも可能だ。自宅やオフィスでちょっとした合間の時間に、ゲーム感覚で運動できるデバイスになっている。

「VHOOP」の説明によると、フラフープによる運動は歩行運動よりも時間当たりの消費カロリーが高いそうだ。 「VHOOP」の説明によると、フラフープによる運動は歩行運動よりも時間当たりの消費カロリーが高いそうだ。

同じく韓国エリアから。HONGBOGの「TRUE EYE ACCESS」は、虹彩認証技術を利用した入退室管理システムデバイス。Wi-Fi、Bluetoothを利用したジオフェンス技術を搭載し、管理者が設定した領域内にユーザーがいるか特定できる。ジオフェンスと虹彩認証を合わせて照合精度を高めている。

「HONGBOG」は、虹彩認識は精度も高く、認証にかかる時間も高速になると説明する。 「HONGBOG」は、虹彩認識は精度も高く、認証にかかる時間も高速になると説明する。

韓国のスタートアップINNOPLAYLABの「iJINI」は、多機能なパーソナルアシスタントロボット。スマートホームデバイスであり、セキュリティ監視もあり、赤ちゃんやペットのケアも補助する機能を搭載。iJINIが1台あれば、ホームコントロール、赤ちゃんやペットの音声を分析、家の中をパトロールして不審者を発見した場合はアラートを出す仕様だという。自動走行でドックに戻り充電する。家庭にあると嬉しい機能が盛り込まれている。

「iJINI」の販売時期は公表されていないが、販売が待ち遠しい。 「iJINI」の販売時期は公表されていないが、販売が待ち遠しい。

次は、台湾出身のメンバーが所属するアメリカのスタートアップからINNOVARTの「CarWink」。CarWinkは、車のリアウィンドウに吸盤で取り付けられ、専用アプリからアイコンや絵文字をワンタップで選択か音声入力でテキストをLEDで表示する。車を運転していると、後続車に向けて何かを伝えたいときがある。CarWinkはこのニーズに応えてくれるデバイスだ。Micro USBと本体に搭載したソーラーパネルから充電できるとのこと。

「CarWink」を展示しているINNOVARTのメンバー。INDIEGOGOとKickstarterでプロジェクトを公開し、それぞれ資金調達に成功している。 「CarWink」を展示しているINNOVARTのメンバー。INDIEGOGOとKickstarterでプロジェクトを公開し、それぞれ資金調達に成功している。

日本から唯一出展していたJDI

JDI常務執行役員CMOの伊藤嘉明氏。 JDI常務執行役員CMOの伊藤嘉明氏。

イベント会場の奥、一際目立っていた特設展示ブースに「JDI」は出展していた。ディスプレイ会社の展示デモとは思えぬ、ヘッドアップディスプレイを搭載したスマートヘルメットやAIで商品販売実績を分析し、最適価格を算出して表示する電子棚札システム、超高精細の液晶パネルを使用したヘッドマウントディスプレイ等、合計7点のデモを展示し、来場者の関心を集めていた。

ヘッドアップディスプレイ搭載のスマートヘルメット「Sparta」。 ヘッドアップディスプレイ搭載のスマートヘルメット「Sparta」。
超高精細な液晶を使用したヘッドマウントディスプレイ。 超高精細な液晶を使用したヘッドマウントディスプレイ。
AIを活用した電子棚札システム「Dynamic Pricing Solution」。 AIを活用した電子棚札システム「Dynamic Pricing Solution」。

なぜ今回のイベントに出展したのか尋ねると「ディスプレイ技術を融合する会社の役目はもう終わった。新しいDNAを創っていかなくてはならない。ディスプレイは見るだけのデバイスとしての役割はもう終わっている。ディスプレイは見るだけではなく、インターフェースに格上げされてきた。『観る』、『聴く』、『触れる』、『嗅ぐ』、『味わう』の五感に訴えるものをテーマに我々も挑戦した。アイデアから3カ月間でデモを制作し、今回のイベントに展示した」と伊藤氏は語る。数々のトップ企業でイノベーションを起こし、手腕を発揮してきた伊藤氏。今後も海外の展示会にも出展し、JDIの技術をアピールしていくとのことだ。デモ展示からも分かるように、JDIの技術力を生かした新しい用途の展開に、ますます注目が集まりそうだ。今後の発表も楽しみにしたい。

アジアのスタートアップが集結し、残念ながら紹介しきれないほどの展示でにぎわっている。スタートアップのメンバーと直接話しながら、製品に触ってみることができるチャンス。次回、ぜひ足を運んで実際に見てほしい。

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