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イベントレポート

東北にMaker Faireがやってきた! 仙台に集まった個性豊かな東北Makerたち #SendaiMMF

2020年1月25日、東北地方では初のMaker Faireとなる「Sendai Micro Maker Faire 2020」が仙台市内で開催された。出展者は東北限定だったにも関わらず、当初の25組よりも多くのエントリーがあり、最終的には30組のMakerが作品を展示した。

会場となった産業見本市会館「サンフェスタ」は、多くの来場者で賑わった。 会場となった産業見本市会館「サンフェスタ」は、多くの来場者で賑わった。

会場は12時から17時までと、半日のみの開催にも関わらず、常に会場は満員状態。暖冬とはいえ、ひんやりとした仙台の空気を物ともしない熱気に包まれた。そこで本記事は当日の出展者の中から10組をピックアップ。東北初のMaker Faireに対する意気込みや感想などを伺った。

こばやし製作所

地元の助産院の先生と開発したNPCR(新生児蘇生法)トレーニング機器「ピコちゃん」や子ども向けのおもちゃを展示しています。

(ピコちゃんを開発した経緯は)NPCRトレーニング機器がメーカーで製造中止になったとのことで、相談を受けて開発しました。本業はメカ設計のエンジニアなのですが、回路設計や3Dプリンターを趣味でやっています。Maker Faireには2011年のMake: Tokyo Meetingに出展したことがあります。最近、結婚して子どもができて、なかなか東京まで行けなかったので、東北での開催は「やっと来たな」という感じで嬉しいです。

田畑育実さん

東北工業大学の卒業制作で開発した作品を展示しています。ペアになって、マットの上に置いた心拍センサーに手を置くと、心拍の速さや二人の心拍数の差分などを音や映像で表現します。学校の外で展示をすること自体が初めてで、Maker Faireを知ったきっかけはファブラボ仙台ですが、学校の先生からも「せっかく作ったのだから、いろんな人から意見をもらったほうがいい」と勧められて参加しました。大学では検証できない子どもやお年寄りにも体験していただき、いろんなフィードバックを得ることができました。

卒業後はデザイン系の仕事に就きますが、制作したいものはたくさんあるので、これをきっかけにMaker Faireにも展示したいと思います。

松山薫さん

脳梗塞やALS(筋萎縮性側索硬化症)などで声が出せない人向けの、コミュニケーションデバイスの試作品を制作しました。市販品は数十万から百万円程度するのですが、市販品を組み合わせることで、コストは3万円程度に抑えています。

身近に声が出しづらい障害を持った人がいて、その人のために作り始めました。本職は光変調器のエンジニアです。Maker Faireの存在は実は知らなくて、会社の人に紹介されました。出展すること自体初めてなんです。

宮城大学分子調理学研究室(石川伸一さん)

細胞の形をのり巻きで再現してみました。会場ではその場で実演して試食していただいています。誰しも食には少なからず関心はあると思うので「こういった切り口で細胞の構造を知り、科学に興味を持ってくれる人が増えてくれれば」と思い、参加しました。

「植物細胞寿司」の具はかんぴょう(ゴルジ体)、魚肉ソーセージ(核小体)、カニカマ(ミトコンドリア)。この後、試食させていただきました。 「植物細胞寿司」の具はかんぴょう(ゴルジ体)、魚肉ソーセージ(核小体)、カニカマ(ミトコンドリア)。この後、試食させていただきました。

孫田勝弘さん

木型を使って、1枚の紙を切れ目を入れずに立体的な文字や道具を作っています。この折り方は自分で考案したもので、部分的な折り方のパターンを頭の中でストックしていった結果、いろんな漢字を立体化できるようになりました。設計やイメージトレーニングに生かせるので、お子さんにもお勧めですよ。

普段は山形で活動しています。私の作品は完成したものだけでなく、作る手法やプロセスも楽しんでもらえるよう工夫しているので、Maker Faireに来る方にも喜んでもらえているのが嬉しいですね。

TeamWeeduck

会社の同僚と一緒に、棚田用の除草ロボットを開発しています。このプロジェクトは私(釘宮さん:写真右から2番目)が浜松に住んでいた2015年に始めたプロジェクトです。既に何度か実験していて、2020年の田植えシーズンに使ってみる予定です。

仙台への転勤を機に活動拠点を東北に移したのですが、その際にファブラボ浜松がファブラボ仙台を紹介してくれました。そのおかげで東北のMakerコミュニティにいる人たちとも知り合うことができました。実証実験する田んぼも紹介してもらえて、すごく助かっています。

山形県立米沢工業高等学校専攻科ORINASUプロジェクト

写真や画像などのデータを加工して、織り機で織物にする作品を展示しています。Maker Faireには2019年のMaker Faire Tokyoに出展していて、積極的に学校の外に飛び出して、いろんな人に見てもらう機会を作っています。

こうしたイベントに出ることによって、生徒の説明する能力が伸びますし、新しいことにどんどんチャレンジする精神が育まれると思います。Maker Faireは来場者の方の技術リテラシーが高いので、出展するたびに鍛えられますね(笑)

Make道場(田中さとしさん)

ダンボール製のMakey君(写真左)と、ドーム型スクリーン(写真右)を展示しています。make道場は「紙でなんでも作る」をポリシーにしていて、10年以上活動しています。

作ったものの中から商品になりそうなものはオンラインで販売していて、最近は生き物の構造や生体を模倣した紙製ロボットを手掛けています。紙で作ることによって、子どもも取り掛かりやすく、STEM教育の裾野を広げられるのではないかと思います。

Walnutyu(右:佐藤結さん、左:今川くるみさん)

木材に電熱ペンで絵や文字を焼き付けるウッドバーニングによるハンドメイドの作品と、PVC(ポリ塩化ビニル)などの透明なキャンバスにジェルネイル用の染料や樹脂を使ったアート作品を出展しています。

2人とも宮城教育大学院の学生で、それぞれ個々にアーティストとして活動しています。Maker Faireに出るきっかけは、石巻で開催されたアート系イベントに出展するために電車に乗っていたら、たまたま向かいの席に(Maker Faireを主催する)オライリーの方がいて、話しかけられたのがきっかけです。その際に名刺を交換して、Maker Faireを紹介いただいて出展しました。

いつもはアート系の方と話していますが、エンジニア系の方と話す機会はなかなか無いので、材料やテクニカルな面から質問を受けることが多く、普段とは違う視点からのフィードバックに刺激を受けました。

PCN仙台

PCN(プログラミングクラブネットワーク)は、子ども向けにプログラミング教室などを提供する、有志による団体です。今回はPCN仙台を通じて、子どもたちが作った電子工作の作品を展示しています。

普段、工作をしているときは自分ひとりの世界ですが、Maker Faireに出ることで自分の作品が外につながるような体験ができるとあって、子どもたちも楽しんでいました。

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