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自然が一番のお手本、エリアソンの実験とアート——「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」(清澄白河)

現代アートの巨匠であるアイスランド系デンマーク人アーティスト、オラファー・エリアソン。自然現象に着目してアートに昇華していき、見る人全てを魅了するアーティストで、世界各国で大規模な作品を発表し日本では10年ぶりとなる大規模個展「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」が2020年9月27日まで東京都現代美術館で開かれている。

注目サステナビリティの研究室

なんと言ってもオラファーの代名詞といえば、光や影を巧みに使ったインスタレーション! fabcrossでもそれをお届けしようかと考えたが、それではアート系のメディアを見てもらった方がすてきな記事が読めるので、fabcrossでは展示の一角にある「サスティナビリティの研究所」と題された、オラファーが作品を作る際に自然現象などを研究してマテリアルを作ったり表現方法を考えるための研究物が集められたエリアを紹介しようと思う。

サスティナビリティの研究所 サスティナビリティの研究所
スタジオで作る建築模型のためのフライス加工が可能な代替材を調査したもの。石こう、グレーの粘土、茶色い粘土、木材、コルクなど、一般的なポリウレタンでできたモデリング材とは異なるサステナブルな素材を探す。 スタジオで作る建築模型のためのフライス加工が可能な代替材を調査したもの。石こう、グレーの粘土、茶色い粘土、木材、コルクなど、一般的なポリウレタンでできたモデリング材とは異なるサステナブルな素材を探す。
エリアソンがデザインした多角形ライトグリーンライトを作るための素材キット。緑色の接合パーツはヨーグルトの容器を再利用し、3Dプリントしたもの。木材はサステナブルな調達先から、糸はビニール袋のリサイクル品。 エリアソンがデザインした多角形ライトグリーンライトを作るための素材キット。緑色の接合パーツはヨーグルトの容器を再利用し、3Dプリントしたもの。木材はサステナブルな調達先から、糸はビニール袋のリサイクル品。
このタイルは、赤泥というボーキサイト鉱石を酸化アルミニウムに精製する際に出る有害物質デ作られている。タイルを高温で焼成するコトによってその有害なアルカリ成分を除去できるようになった。 このタイルは、赤泥というボーキサイト鉱石を酸化アルミニウムに精製する際に出る有害物質デ作られている。タイルを高温で焼成するコトによってその有害なアルカリ成分を除去できるようになった。
一つの製品が生み出されるときに出る廃棄物を新しい素材に作り替え、製品が生産される際に生まれる副産物への考え方や思考を再考する取り組み。美しさや潜在的な価値を見直すことができる。 一つの製品が生み出されるときに出る廃棄物を新しい素材に作り替え、製品が生産される際に生まれる副産物への考え方や思考を再考する取り組み。美しさや潜在的な価値を見直すことができる。
バイオマテリアルによって、染色が及ぼす環境への負荷を少なくする方法を生み出す取り組み。構造色バクテリアの遺伝子構造を変化させメタリックな色合いを作り出す。 バイオマテリアルによって、染色が及ぼす環境への負荷を少なくする方法を生み出す取り組み。構造色バクテリアの遺伝子構造を変化させメタリックな色合いを作り出す。
大型の球体を輸送するために球体を折るという手法を研究した際のもの。日本人航空宇宙工学者の三浦公亮らの作品から着想を得ている。 大型の球体を輸送するために球体を折るという手法を研究した際のもの。日本人航空宇宙工学者の三浦公亮らの作品から着想を得ている。
エリアソンがエンジニアと共同開発した、携帯型ソーラーライト。電気にアクセスできない地域で灯油ランプの代替品として使われている。クリーンで安価なエネルギーを供給することで、気象変動などに影響を与える事ができる エリアソンがエンジニアと共同開発した、携帯型ソーラーライト。電気にアクセスできない地域で灯油ランプの代替品として使われている。クリーンで安価なエネルギーを供給することで、気象変動などに影響を与える事ができる
作品制作に用いたさまざまな大きさ形のガラスの残りをプレスして板ガラスにしたもの。端材の大きさや色によって仕上がりが変わるので、成型時のフォーマットは保ちながらそれぞれ唯一無二の仕上がりになる。 作品制作に用いたさまざまな大きさ形のガラスの残りをプレスして板ガラスにしたもの。端材の大きさや色によって仕上がりが変わるので、成型時のフォーマットは保ちながらそれぞれ唯一無二の仕上がりになる。

アート作品を作るのにここまでやっているとは、もはや科学者。「サスティナビリティの研究所」からは、ものを世の中に生み出す責任と、環境への強い思いを感じる事ができる。ものづくりを行う人間として世界とどう関わるか、生み出す物にどれだけ責任を持つか、ものづくりに携わる人たちに多く足を運んでもらい展示を通して考えてみて欲しい。

アイスランド南部の海岸に打ち上げられる氷河を現地で3Dスキャンし、3Dプリンターで造形したもの。データで残すことによって、将来の新たな研究や作品につながるかもしれない。 アイスランド南部の海岸に打ち上げられる氷河を現地で3Dスキャンし、3Dプリンターで造形したもの。データで残すことによって、将来の新たな研究や作品につながるかもしれない。

「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」
会期:開催中~2020年9月27日(日)10:00~18:00
会場:東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1)
入場料:一般1400 円、大学生・専門学校生・65 歳以上1000円、中高生500円、小学生以下無料
オフィシャルサイト:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/
主催:東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、産経新聞社

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