fabなび
GoF studio(東京都台東区)
日本全国区のファブ施設を紹介する「fabなび」。今回は東京都台東区にある「GoF studio」。JR上野駅と営団地下鉄銀座線田原町駅、稲荷町駅のちょうど真ん中あたりに位置するファブ施設だ。どの駅からも徒歩10分くらいの、下町情緒あふれる商店街にある。
GoF studioを運営するのは藤岡聡さん。2015年11月にGoF studioをオープンする前は、おもちゃの原型を作る会社を経営していたという。しかし、「もうちょっと道具っぽいものを作りたい」という思いが強くなり、会社を売却してGoF studioを立ち上げた。
置いてある機材は、藤岡さんが欲しいと思ったものばかり。当初は自分のものづくりの欲求を満たすためのスペースだったが、「一人では寂しい」ということから、オープンなファブ施設として、機材の貸し出しなどを行っている。
「何か作っている間は一人でもいいんですが、誰かと話さないと新しいものが思い付かないじゃないですか。それで人が集まればいいなと思って、1年半くらい前からファブ施設として開放しています」
GoF studioにある機材は、旋盤やフライス盤、ボール盤、大判のカッティングプロッターなど、いわゆるデジタル系ファブ施設とは趣が異なるものが多い。これは、藤岡さんが「やりたいことを自由にやりたい」ためにそろえていったもの。ほとんど中古で購入しており、メンテナンスなどもほぼ自分で行っているという。
利用するには、基本的にスペースマーケットで予約が必要。機材に関係なく、1時間利用で2000円、1日なら1万円、1カ月ならば3万円という料金だ。
本格的な工作機械が使えるということで、利用者は自動車や自転車のパーツを作ったり、楽器を作る人もいるという。取材中には、マジシャンがステージで使う道具を作りに来ていた。場所柄、外国人観光客が通りかかることも多く、覗いていく人も多いのだとか。かなりオープンな雰囲気のファブ施設だ。
機械の使い方は、最初に藤岡さんが教えてくれるが、あとは自分で使うのが基本。要点さえわかれば、意外と使えてしまうということだ。受託による製作なども受け付けてはいるそうだが、藤岡さんにはポリシーがあるという。
「ものを作らない人は、ものの価値をすごく安く見積もるんです。それがすごく嫌で。自分が欲しいものを作りたいのなら、自分で作ってみて、どれだけ大変なのか身をもって感じてほしいんです。その上で、僕に仕事として頼みたいというのであれば、受ける感じですね」
大型の工作機械だけでなく、3Dプリンターや電気炉なども置いてあるり、女性が利用することもあるという。現在は、月に10〜20人ほどが利用しているそうだ。
ちなみに、GoF studioの「GoF」は、「Go Fool」(ばかになれ)という意味とのこと。
「今は、ばかにならないとものを作れない時代だと思います。効率を最優先するなら100円ショップに行くのが一番早い。こだわりがなければそれでいいんです。それでも自分でお金と時間をかけてものを作りたいというのは、相当なばかじゃないかと思うんですよ(笑)」
コストや効率を最優先に考える人は、既製品を買えば済む時代に、わざわざ自分でものを作るということは、ある意味ばかなのかもしれない。しかし、そんなばかなことを率先してやっている藤岡さんは、とても楽しそうだ。今は、ファイバーレーザー加工機を作りたいと言う。
「500Wくらいのファイバーレーザーのヘッドだけ欲しいですね。カッター部分は自分で作るんで。自分で作ったほうが、ほんとうに欲しいものができるんですよ」
製品はもちろん、製品を作るための道具を作りたい。藤岡さんの初心は、ぶれていないようだ。
概要
所在地 | 東京都台東区松が谷3-7-1 1F |
---|---|
営業時間 | 12:00~22:00 |
URL | http://gofool.co.jp/ |
料金 | 1時間:2000円 1日:1万円 1カ月:3万円 |