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メタルDIY(神奈川県横浜市)

全国各地のファブ施設を紹介するfabなび。今回は神奈川県横浜市都筑区の「メタルDIY」。JR横浜線鴨居駅から徒歩15分ほどの工場内にある、金属加工に特化したファブ施設だ。

関東精密の工場のロフトスペースを、ファブ施設として運営している。 関東精密の工場のロフトスペースを、ファブ施設として運営している。

メタルDIYを運営するのは、金属の切削加工を専門とする関東精密。代表の杉田勇さんは2012年に自社製品開発を目的として参加したenmonoのセミナーを通じ、クリス・アンダーソンの『MAKERS』と出会いMakerムーブメントに関心を持った。

「Makersと呼ばれる人たちが何を作っているか調べてみると、ほとんど金属を素材として扱っていないんですよ。設備もないし、どこで材料を購入するかといった知識もないから、金属加工ができないものと思い込んでいる。僕は金属加工を事業として当たり前のように取り組んでいるから、その知識をシェアする形でDIYスペースを作るという構想が生まれました」

工場2階の空きスペースを改築するために、クラウドファンディングを実施したのが2013年8月。支援者からは「よくぞこんなスペースを考えてくれた!」と喜びの声が届いたという。個人で加工を鉄工所に依頼する際のハードルの高さや、ひとりで持つには高額過ぎる機器の購買に踏み切れず悩んでいた人々から共感を集め、クラウドファンディングの目標金額を達成。2013年12月にオープニングイベントを開催し、メタルDIYの運営が始まった。

車の部品などから作られた、利用者による独演会のパフォーマンス用の打楽器。 車の部品などから作られた、利用者による独演会のパフォーマンス用の打楽器。

初心者でも練習すれば使えるボール盤やグラインダー、溶接機などのアナログな機材を中心に取りそろえると、車やバイクの部品を改造しようとする利用者が集まった。基本的には利用者の製作サポートが中心だが、初心者のためのワークショップも定期的に開催している。鉄パイプを切断したり溶接したりして作るメタル門松づくりは年末の恒例行事となり、町工場が集まって開催するイベント「えんにち!」では、アルミのパンチングプレートから作るメタルランタンが子どもたちに大人気だという。

最近では、美大や芸大の学生や個人のプロダクトデザイナーによる利用も増えている。メタルDIYで製作をサポートした卒業制作が学内で優秀賞を受賞したことをきっかけに、美大/芸大生に向けたアプローチに注力するようになった。学科の違いなどで学内の機材が自由に利用できない学生にとって、メタルDIYのような環境は理想的といえるだろう。

多摩美術大学でプロダクトデザインを専攻する学生が手掛けた作品。 豆たんあんかに着眼した身体の冷えを守る暖房器具「anka」 多摩美術大学でプロダクトデザインを専攻する学生が手掛けた作品。 豆たんあんかに着眼した身体の冷えを守る暖房器具「anka」
メタルDIYでの加工風景 メタルDIYでの加工風景

「メタルDIYを利用した学生が卒業した後、就職先で金属加工の発注に困っていたらこの場所のことを思い出してもらえれば」と、将来的な関係性についても考えている杉田さん。ファブ施設としてのメタルDIYと、本業である関東精密での業務のつながりは強く意識している。これまでも学生やデザイナー個人では難易度の高い加工や、メタルDIYで試作したものの量産を業務として請け負ってきた。メタルDIYが関東精密のアンテナとしての役割を果たし、ファブ施設の運営が本業につながる循環が生まれ始めている。

「最初は自社商品を作りたいと思っていたのですが、うちの会社の規模ではなかなかハードルが高いことに気が付きました。最近ではメタルDIYの活動を通じて知り合ったデザイナーさんや個人ベンチャーの方など、自分で商品を作っている方たちのお手伝いをする方針に変わってきています」

概要

所在地 〒224-0053 神奈川県横浜市都筑区池辺町4826-2
(株式会社関東精密 敷地内)
営業時間 平日 18:00~21:00 土曜日/祝日 09:00~16:00
定休日:日曜

※利用の際は事前にメールでの問い合わせが必須。
URL http://metaldiy.net
料金 平日:2000円/1時間(指導者なし)
6000円/1時間(指導者あり)
土曜日、祝日:1万2000円/1日(指導者なし)
2万4000円/1日(指導者あり)

 

機材

ボール盤 ボール盤
溶接機 溶接機
溶接機 溶接機
ベルトサンダー ベルトサンダー
3Dプリンタ-:「MakerBot Replicator 5th Generation」 3Dプリンタ-:「MakerBot Replicator 5th Generation」

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