fabなび
Tschool(東京都立川市)
日本全国のfabスペースを紹介するfabなび。今回紹介するのは東京都立川市、JR立川駅から徒歩8分の場所にある「Tschool(ツクール)」だ。
Tschoolは立川市の民間企業「まちづくり立川」が設立した施設。立川地域の活性化を目的として野菜の直売所やシェアオフィス等を運営する中、ものづくりを通じた創業支援の場として2018年2月9日にTschoolを立ち上げた。
立川は東京西部にある多摩地域でも屈指の商業地域。駅前には大型の商業施設が並び、個人経営の飲食店も1000軒以上が密集する。約18万人の常住人口に対し、その2倍以上の昼間人口が集まるほど、とにかく事業者の多い街だという。
岩下さん「立川はものを『売る』には絶好の場所です。しかし、ものを『作る』ための施設が多摩地域には少なく、わざわざ都心のファブ施設に行って、ものづくりに取り組む方が多かった。立川にものづくりの拠点を作り、この地域で創業する方を増やしたいという思いがありました」
Tschoolが対象とするユーザーは、ものづくりで創業したい方や副業にしたい方。事業に結びつかない趣味的な利用者は想定しておらず、会員登録の際にも面談を通じて用途のヒアリングを行っている。ライトユーザーがサービスを受ける場ではなく、ノウハウを持つ会員が自主的に使うシェア工房という色合いが強く、利用にはある種のハードルが設けられている。
「ものづくりを仕事にしてほしい」(岩下さん)という視点で集められた機材は、業務用途に十分堪えるものばかりだ。皮革の厚さを調整する革すき機や、カット機能も持つ大判インクジェットプリンターを利用できる施設は珍しい。ボール紙や発泡材のカット、ミシン目加工も可能なカッティングプロッターは、大型のラミネーターと並んで商品のパッケージ製作に役立てられている。
会員に提供されるのは充実したハードウェアだけではない。まちづくり立川が持つ地域のネットワークを活かし、さまざまな場所やイベントでものを「売る」機会にも恵まれる。個人経営の飲食店に作品を置いたり、百貨店で開催されるマルシェに出展したりと、ものを販売するチャネルの多さもTschoolの特徴と言えるだろう。
Tschoolはコワーキングスペースとしての側面も持ち、鍵付きの個室ブースや共有スペースを24時間利用できる(利用プランによる)。共有スペースをワークショップや展示会のために貸し切りにできたり、法人登記や郵便を受けるためのポスト利用の登録を行えたりと、ものづくりで生計を立てたい人とってうれしい機能がそろっている。
「この事業については、われわれもまだ3年目のスタートアップ」だと語る岩下さん。新型コロナウイルスの影響で停滞していたプロジェクトも、徐々に再開し始めているという。商業施設との連携のみならず、創業支援施設や行政機関とも積極的につながり、立川地域でのコラボレーションをさらに活性化させようとしている。
岩下さん「グローバルなスタートアップというよりは、地域とつながって、地域の中で仕事ができるような人や企業を育てたい。利用者がTschoolを自分たちの場所だと意識して、そこから地域のコミュニティが広がっていってほしいし、私たちはそれを最大限支援していきます」
概要
所在地 | 〒190-0023 東京都立川市柴崎町2-7-9 岩下ビル1F、2F |
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営業時間 | 会員のみ利用可能(休業日なし)。ドロップイン利用はできない。 COLLABO会員 9:00~22:00 STUDIO会員 9:00~22:00 BOOTH会員 24時間 SHARE OFFICE会員 24時間 |
URL | https://tschool.tokyo/ |
料金 | 入会手数料:1万5000円(※全会員共通) COLLABO会員:8000円/月 機材使用料:0円(2階にあるミシンと撮影室のみ利用可能) STUDIO会員:1万5000円/月 機材使用料:0円 BOOTH会員:4万5000円/月~ 機材使用料:0円 SHARE OFFICE会員:3万円/月~ 機材使用:なし コラボレーションエリア貸切:2000円/時 その他、詳細は公式サイトを参照のこと。 |
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