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シモキタFABコーサク室|きっかけはロボコン、経験をシェアする学びの場(東京都世田谷区)

日本全国のfabスペースを紹介するfabなび。今回は、東京都世田谷区の「シモキタFABコーサク室」を紹介する。

下北沢駅を出て、歩くこと約4分。商店街を抜けた辺りにある建物の2階に、シモキタFABコーサク室がある。

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オープンは2021年6月。代表理事の高橋明子さんは、元々企業でマーケティング業務に従事しており、ものづくりに関してはまったくの素人だった。

しかし、長男誕生後に通った大学院で、若い世代と学び、刺激を受ける。特に影響が大きかったのが、子どものクリエイティブフィールド「VIVITA東葛」(当時の「VIVI STOP柏の葉」)だった。VIVITA東葛のことは、同施設を運営するVIVITAのファウンダーの孫泰蔵氏がゲスト講師で来ていたことをきっかけに知り、「自分もそのような場を作りたい」と思うようになった。

その後2019年夏、子どもたちによるオリジナルロボット製作&ロボコンプロジェクト「世田谷VIVITA ROBOCONチャレンジプロジェクト」に携わる。そしてそのプロジェクトの参加者とともに世田谷にものづくりの拠点を作るべく準備を開始。2021年に、晴れてオープンとなった。

スタッフは高橋さんも含め、大半が兼業。平日は高橋さんがほとんど常駐し、会員の対応などを行っている。土日は都合のつくスタッフや、運営サポーターが対応している。

週末を中心に3Dプリンターやレーザーカッターを使う初心者向けワークショップや、ロボット製作などの電子工作から手芸までさまざまなワークショップを開催している。

「子どもも大人も自走し、共に経験しながら学ぶ」というのが、シモキタFABコーサク室の基本コンセプトだ。

「私たちが会員のみなさんに何かを教えることは、ワークショップ以外ではほとんどありません。何か作りたいものがある人、やりたいことがある人が集まって、そこから会話が生まれて教え合ったり、経験をシェアしたりすることを促進できる場に、会員のみなさんと一緒にコーサク室を育てていきたいです」と、髙橋さんは話す。

入口を入ると会員の作品が飾られている。ガチャポンマシンは運営サポーターのお手製 入口を入ると会員の作品が飾られている。ガチャポンマシンは運営サポーターのお手製

また、利用者の年齢の垣根がないのも、シモキタFABコーサク室の特徴のひとつだ。ワークショップでも、大人から小学生までが混じり合いながら自由に作業を行っている。

「大人が『はんだ付け初めてなんです』って言いながら作業をしていると、横から小学生が『ここはこうだよ』って教えていることもあります(笑)。でも私はそういう場にしたかったので、それでいいと思っています」

会員の作品の展示スペースもある。展示スペースは、無料で貸し出している 会員の作品の展示スペースもある。展示スペースは、無料で貸し出している

シモキタFABコーサク室は、家族ぐるみで利用する会員も多い。また、2019年に初めて開催した「VIVITA ROBOCON」から付き合いが続く会員家族も何組もいるそうだ。特に子どもたちにとっては、学校とも、塾や習い事とも違う「自分の居場所」として機能している面もある。

「今まで一人で電車もバスも乗ったことがなかった子が、コーサク室に行きたいからと、自力で通えるようになったり。ここにはいろいろな大人がいます。特に『ああしろ、こうしろ』とは言わないけれども、聞けば教えてくれたり、一緒に考えてくれる。そうすると、子どもは勝手に育っていくんです。数ヶ月後にはしっかり成長している姿を見ると、ハマっちゃいますよね」

中古自転車をアップサイクルして作った自転車。フィリピンのカーゴバイクのデザインで、ハンドル下にスペースがあるのが特徴 中古自転車をアップサイクルして作った自転車。フィリピンのカーゴバイクのデザインで、ハンドル下にスペースがあるのが特徴

現在は、月額会員と平日中心のドロップインの利用が中心。しかし高橋さんは、年齢も性別も肩書きも関係のない、利用する人同士でいろいろな化学反応が起きるスペースにしていきたいと語る。

「やはり会員さんを増やしていきたいですね。個人の会員だけではなく、スタートアップ企業や、大学のサークル、学校の先生たちなど、他では交わることがなさそうな人たちがここで交錯してほしい。予期せぬ経験や学びのシェアが起きそうで、ワクワクします。そんな場所にしていきたいと思います。」

代表理事の高橋明子さん。現在はフリーランスでマーケティング支援の仕事をしながら、シモキタFABコーサク室を運営している。二児の母 代表理事の高橋明子さん。現在はフリーランスでマーケティング支援の仕事をしながら、シモキタFABコーサク室を運営している。二児の母

シモキタFABコーサク室は、何かを教えてくれるスペースではない。ものづくりの好きな人たちが集まって、スタッフも会員も含めた全員が刺激し合って、ともに成長していく場なのだ。

「いろいろな人たちがぐちゃぐちゃになって、助け合いながらやってきた感じですね。コンテンツの面白さだけではなく、経験をシェアする面白さが味わえているのが、シモキタFABコーサク室をやってよかったことのひとつです」

概要

所在地 〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-3-3 第2友和ビル2F
営業時間 10:00~17:00(フルタイム大人会員のみ営業日20:00まで利用可)
定休日:月曜日
URL https://co-saku-dani.com/
料金 【月額料金プラン】
フルタイム大人(大学生以上)
利用時間:10:00~20:00
利用料:1万9800円/月
入会金:1万1000円

フルタイム子ども(小4~高3)
利用時間:10:00~17:00
利用料:1万5400円/月
入会金:1万1000円

ライト(大学生以上)
利用時間:10:00~17:00
利用料:3300円/月+都度550円/日
入会金:2022年9月末までライト会員入会金無料キャンペーン実施中

ライト FAB機材基本料(大学生以上) ※ライト会員は都度必要
利用時間:10:00~17:00
利用料:1100円/日
レーザーカッター(30分/日)、3Dプリンター(1時間/日)が利用可能

【ドロップイン】※機材の利用にはFAB機材基本料が都度必要

平日モーニング(高校生以上)
利用時間:平日 10:00~13:00
利用料:1100円/日

デイタイム(高校生以上)
利用時間:10:00~17:00
利用料:2200円/日

休日ファミリー(小・中学生と大学生以上の保護者)
利用時間:土日祝 10:00~17:00
利用料:2人で4400円/日

FAB機材基本料(高校生以上)
利用時間:10:00~17:00
利用料:1650円/日
レーザーカッター(30分/日)、3Dプリンター(1時間/日)が利用可能

※すべて税込み
※その他機材により、別途料金がかかる場合があります

機材

左から積層型3Dプリンター「Ender-3」、UV3Dプリンター「Photon Mono」、積層型3Dプリンター「Adventurer3」 左から積層型3Dプリンター「Ender-3」、UV3Dプリンター「Photon Mono」、積層型3Dプリンター「Adventurer3」
アイロンプレス機「CHP-2938」 アイロンプレス機「CHP-2938」
真空成型器「Mayku FormBox」 真空成型器「Mayku FormBox」
ダイオードレーザーカッター「Etcher Laser」 ダイオードレーザーカッター「Etcher Laser」
レーザーカッター「Etcher Laser Pro」 レーザーカッター「Etcher Laser Pro」
カッティングマシン「Silhouette CAMEO4 PLUS」 カッティングマシン「Silhouette CAMEO4 PLUS」

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