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世界のスタートアップとエコシステム by HWTrek

世界中のIoTハードウェアベンチャーや中小企業をサポートするプラットフォーム「HWTrek」とは

近年、ハードウェアスタートアップの台頭に合わせて、スタートアップを支援する企業も登場している。台湾に拠点を置くHWTrekは、製造業関連の企業やクリエイターが進めるIoTハードウェア開発プロジェクトに必要なパートナーをつなぐマッチングサービスを提供している。

この連載では世界中のスタートアップを支援する現場担当者から見た、海外の現状を紹介する。初回は日本市場を担当するAlan Jung氏に、HWTrekの紹介と、氏から見た日本市場について伺った(聞き手・文:越智岳人、写真提供:HWTrek)

HWTrekのWebサイトに掲載されている実績。 HWTrekのWebサイトに掲載されている実績。

HWTrekは、全世界の部品メーカーやEMS(※受託製造会社)や製造/加工業者、デザイナーなど製造業の専門家をネットワーク化し、IoT製品関連の中小企業、ベンチャーやスタートアップに紹介するマッチングサービスを2013年から運営しています。

製品の試作や検査、検証、量産や市販において、スタートアップが抱える課題に対して適切な専門家や企業をマッチングし、プロジェクトを成功させることがミッションです。

これから量産を行う企業にEMSなど量産パートナーを紹介するケースが中心ですが、既に一度量産したものをコストダウンするための設計、製造パートナーやIoTモジュールなどを含めたターンキーソリューションを紹介するケースもありますし、「こういうセンサを探している」というピンポイントな相談に対応することもあります。

また、オンライン上でのマッチングだけでなく、クリエイター※を対象に深センなど実際に試作~量産する際のサプライチェーンの見学や、さまざまな企業に対してデモやプレゼンができる「アジア・イノベーション・ツアー」というイベントを年2回実施しています。
直近では深センと日本の関西地区にクリエイターをアテンドしました。毎回20-30組程度のクリエイターが参加し、直近のツアーにはアメリカやドイツ、ポーランド、ウクライナやインド、アルゼンチンから参加がありました。

(※編集部注:HWTrekでは製品開発を目指す企業やスタートアップを「クリエイター」と呼称している)

2016年11月に開催されたアジア・イノベーション・ツアーの様子 2016年11月に開催されたアジア・イノベーション・ツアーの様子

日本の量産パートナーの課題

基本的には欧米のスタートアップは試作までは自国の中小企業と進め、量産のフェーズで中国など海外に発注するケースが大半ですが、試作のフェーズでも国内での試作が難しい場面や必要なモジュールが国内に無い場合、海外の業者を頼るケースもあります。

その依頼先として日本も対象に入るわけですが、特に中小企業でいくつかのハードルがあり、海外の業者ほどマッチング数が増えていない傾向があります。

理由としては英語でのコミュニケーションができないという言葉の壁もありますが、小ロット生産への対応力に海外の開きがあると感じています。

海外のベンチャーやスタートアップの場合は製品をブラッシュアップしていきながら量産を小さいロットで繰り返す傾向があります。クラウドファンディングを経て最初に量産するのは1000個分かもしれませんが、その後、ユーザーからのフィードバックをもとに部分的に改良し、市販先も開拓してさらに1000、2000と量産し、トータルでは数万のロットになるというケースもままあります。

支払いの滞りなどスタートアップとの案件にまつわるリスクの部分に目が行き過ぎたり、目先の発注ボリュームで判断したりした結果、小ロットでも請け負う深センの企業に案件が流れ、スタートアップとの量産ノウハウが蓄積されないという問題が今後顕在化していく可能性もあると思われます。

また、日本の企業は金属加工、射出成形、アッセンブリなど各工程では非常に優れた技術を持った企業が多い一方で、それらを一気通貫で取りまとめるプロジェクトリーダー的な役割を担う人材が不足していることも課題です。
スタートアップの場合はEMSに丸投げしたいというニーズが大半なのですが、複数の企業を束ねてEMSのように動かせるようになると、中国とも十分に競争できる環境ができてくるのではないかと思います。

ここまで、課題ばかり話してきましたが、日本が世界に必要とされるケースはたくさんあります。直近でもイギリスで馬用のウェアラブルデバイスを開発しているTrackenerというスタートアップが、馬の筋肉と皮膚が厚すぎて心拍数が取れないとのことで、サポートした結果、非接触の心拍数センサを開発している日本の大手企業を紹介しました。

また、大手企業を中心にアクセラレーション・プログラムが活発化しているのも素晴らしいことだと思います。デモデイ以降も量産までの道筋を立てて、ビジネスとして成立できるようになると、日本のスタートアップ市場も、より活性化していくと思います。

11月に実施したツアーでは、参加したクリエイターから「多くの工場やサプライヤーと会うことができ、部品調達のハードルが下がった」「これからの量産やビジネスに必要な人脈作りに役立った」という感想が寄せられました。日本企業と海外の中小企業やスタートアップが手を取り合うことで新しいプロダクトが生まれる可能性は十分にあります。

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