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ものコミュ探訪

3Dプリンタに特化したオープンソースコミュニティ「RepRap」

各地のものづくりコミュニティを紹介する「ものコミュ探訪」。今回はオンラインを主な活動場所とする「RepRap Community Japan」を紹介する。RepRapはオープンソースの3Dプリンタの製作と、それを使ったものづくりをする人が集まり情報交換をする場を提供している。イギリスで立ち上がったこのコミュニティを学んで日本で設立し、運営を行っている加藤大直さんにお話を伺った。

Genkei 代表社員 兼 RepRap Community Japan 代表の加藤大直さん。NYでの留学/就業経験を通して本家RepRapに出会った。 Genkei 代表社員 兼 RepRap Community Japan 代表の加藤大直さん。NYでの留学/就業経験を通して本家RepRapに出会った。

——コミュニティの特徴を教えてください。

「The 3D Printer」コミュニティです。本家のRepRapはイギリスにあり、RepRapという名称は「Replicating Rapid-prototyper」の略です、つまり自己複製可能な3Dプリンタって意味ですね。

RepRapのコアコンセプトは、部品を自分で造型することです。ですので、例えばRepRapの代表的な3Dプリンタ「Atom」の各プラスチックパーツは自分で造型できるように設計されています。金属部品はホームセンターなどで買える汎用品で実装しています。さすがにモーターの部分は、どこでも買えるものではないので、コミュニティのリソースを使って調達することになりますが。それでみなさんが思い思いの3Dプリンタを自分で作ってね、と。

活動のメインはmixiコミュニティでのコミュニケーションです。オンラインで、「どこどこの素材を買ってきて試したらこうなりました」とか、「こういったものをプリントしてみた」とか、「Atomを静音化するにはどうしたらいいか」「こういったものを作ったらこうなった」など3Dプリンタにまつわるさまざまな情報を交換しています。

実動メンバーは数百〜1000人くらいです。
mixi以外では、Facebookでニュースを配信しています。

——活動はほぼオンラインなのですか?

イベントにかこつけて年に数回会う機会はあります。メンバーが北海道から沖縄まで全国に散らばっているので、オフラインで集まる機会はそれほどないですね。Maker Faireがあるから集合しようみたいな形で、それもオンライン上の会話から始まります。

——発起のきっかけを教えてください。

本家RepRapは、イギリスのバース大学のエイドリアン・ボイヤー博士が立ち上げました。ホームセンターで3Dプリンタを作ろうぜというノリから始まり、RepRapからスピンアウトして企業がたくさん生まれていきました。日本国内でも、デスクトップ3Dプリンタを作っている企業はたくさんあると思いますが、皆さん中身はRepRapのコアプログラムを使っていると思います。

RepRap Community Japanは2011年11月に私が小林英男さんという方と立ち上げました。
僕がアメリカから帰国した時に「日本でも3Dプリンタ持ちたい人いるでしょ」と思って名乗り上げたら、一番でした。

最初は、Prusa Mendel設計者のジョセフ・クルーシャに頼んでいたのですが、なかなか構ってくれないので、Maker Faireの数週間前に急きょ自分たちで作ることになりました。設計とデザインは僕、電装系/電子部品は小林さんを含めたコミュニティメンバーで開発しました。そこからいろいろな人を巻き込みつつやってきました。

メンバーが集まった時の3Dプリンタ作品群。RepRapコミュニティでは自分の3Dプリンタは「我が子」と呼ぶらしい。 メンバーが集まった時の3Dプリンタ作品群。RepRapコミュニティでは自分の3Dプリンタは「我が子」と呼ぶらしい。

——どんな人が参加していますか?

趣味で作っている人、仕事にしている人までさまざまです。3Dプリンタを販売してる人、ベンチャー企業を立ち上げた人、コミュニティを立ち上げた人などもいます。
年齢もバラバラです。下は小学生から、上は80代までいるのではないでしょうか。

普段はオンラインでやりとりしているので、実際会ってみると本当にいろんな人がいることを実感します。
職業を聞いたら、アナログレコードの針を作っている人がいました。「何屋なんだあなたは」みたいな(笑)。

参加するには、Atomユーザである必要もありません。海外製3Dプリンタを使っていろいろ試している人も歓迎です。一番大切なのは情報のシェアです。この機械でこの素材を使ったらこうなりましたとか、この部品が壊れたので自分でプリントしましたとか、自分で試したことを発信してもらえるとありがたいです。

——参加する方法を教えてください。

mixiコミュニティに入って、自己紹介してもらえば良いです(笑)参加資格も特にないです。「3Dプリンタ持っていません、3Dデータも扱えませんが、興味はありますので、これからがんばりたいと思います」という人もいつでもかかってきてください(笑)。
興味と情熱があれば、とりあえずmixiコミュニティに来てみてください。

ぜひ3Dプリンタと全然関係ない分野の人に参加してほしいですね。実際にいるんですよ。ドールハウスを趣味で作っている主婦とか、農学部の教授とか。3Dプリンタを何に使うんだろうと興味が湧きますね。

——今後の展開を教えて下さい。

デスクトップ3Dプリンタもいっぱい出てきたので、RepRapコミュニティとしてどうしようかと考えています。とりあえず3D情報を蓄積しながら、レプリケーション(複製)できる、3Dプリンタ以上のものを模索していきたいですね。例えば5軸とか6軸とかできたらいいですよね。(※)新しいものを提案しつつ、実際に作ってみる。そうすると、誰かが頑張る。誰かが頑張るとそこから裾野が広がるんですよね。 実際、デスクトップ3Dプリンタも昔は何それって世界でしたが、ここ数年で当たり前になりました。たぶんまたブレイクスルーが起きるのだと思います。それを生み出していけたらいいですね。

5軸の3Dプリンタはオスロ大学の大学院生により開発されている。

今回の探訪先

名称 RepRap Japan Community
主な活動

mixiのRepRapコミュニティを中心に、3Dプリンタに関する情報交換を行っている。初心者の質問に対するアドバイスから、試作機の検証結果まで、コミュニティ内で交わされている情報は多岐に渡る。

mixi会員数539人

ウェブサイト

(mixi)
http://c.mixi.jp/reprap
(Facebook)
http://www.facebook.com/ReprapCommunityJapan

会費など 無料
設立年月 2011年11月

※数字は2015年7月末時点

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