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IoT(Internet of Things) Makersも巻き込む大きな動きに(下)

あらゆる「モノ」がインターネットにつながった環境を表す「IoT(Internet of Things)」をめぐる新しい動きは、世界のさまざまなところで、さまざまな規模で始まっています。
例えば、大規模なプロジェクトとして欧州を中心に世界全体で大きな注目を集めているのが、ドイツ政府が推進している「 インダストリー 4.0 (Industrie 4.0)」です。個人のものづくり、いわゆるパーソナル・ファブリケーションとIoTを結びつける開発プラットフォームを製品化する動きも出てきました。

前編はこちらから

ドイツ政府が推進する“戦略”

インダストリー 4.0は、ドイツ政府が2020年に向けて推進している技術戦略の名前です。この戦略では、インターネットなどのネットワークを利用して、工場に関連するあらゆるサービスやモノを連携させることでものづくりを革新。さらに「高齢化」などさまざまな社会問題も解決するという壮大なコンセプトを打ち出しています(図1)。

「機械化」「電化」「自動化」に続く第4の産業革命に匹敵する大きな取り組みと位置付けられたこの戦略には、政府機関はもとより、BMW、Daimler、Bosch、Siemens、Infineon Technologies、SAPなどドイツの大手企業がこぞって参画しています。 

図1 「インダストリー 4.0(Industrie 4.0)」のコンセプト 出典:「Recommendations for implementing the strategic initiative INDUSTRIE 4.0」 図1 「インダストリー 4.0(Industrie 4.0)」のコンセプト
出典:「Recommendations for implementing the strategic initiative INDUSTRIE 4.0」

IoTが生み出す「第3の波」

米国の製造業を代表する企業として知られるGeneral Electric社も、2012年秋からIoTをベースにした新しい事業コンセプト「Industrial Internet」を提唱しています。低コストのセンサー、インターネット、ビッグデータなどの技術を産業用機器と融合させることで、既存の産業の効率化を図ると同時に、新産業の創出を目指すというものです。同社は、Industrial Internetを、産業界における「第3の波」と位置付けています(図2)。

18世紀半ばの産業革命が「第一の波」。20世紀末の「インターネット革命」が「第2の波」です。過去の二つの波を経て進化した産業用機器と、最新のICTを融合することで、Industrial Internetと呼ぶ第3の波が生まれるというのが同社の考えです。

同社によると、Industrial Internetが及ぶ産業の規模は、2025年までにGDPベースで約82兆米ドル(約8200兆円)にも上ります。それによって、10兆米ドル~15兆米ドル(1000兆円~1500兆円)ものGDPを底上げできると同社は見ています。Industrial Internetの実現に向けて積極的に取り組んでいる同社は、2015年までに関連するサービスやソフトウエアの開発に約10億米ドル(約1000億円)を投資する方針も明らかにしています。

図2 「Industrial Internet」のコンセプト 出典:「Industrial Internet: Pushing the Boundaries of Minds and Machines」 図2 「Industrial Internet」のコンセプト
出典:「Industrial Internet: Pushing the Boundaries of Minds and Machines」

IoT機器が個人でも実現可能に

IoTをめぐる動きは、パーソナル・ファブリケーションの領域にも及びつつあります。個人でものづくりに取り組む「Makers」を意識したIoT機器の開発プラットフォームを製品化する企業が出てきました(図3)。米Marvell Technology Groupです。同社は、ハードウエアの知識がなくてもIoT機器が試作できるキット「Kinoma Create」を、149米ドル(約1万5000円)で2014年第4四半期から発売する予定です。

Kinoma Createは、マイコン、センサーを接続するためのインタフェース、タッチパネル付液晶ディスプレイ、スピーカー、マイクなどを搭載。無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)とBluetoothに対応した無線通信機能も備えており、これらを利用してインターネットに接続するシステムを簡単に実現できます。実装するアプリケーション・ソフトウエアは、Webアプリケーションの開発者が使い慣れている「JavaScript」で記述できます。

Makersと呼ばれている人たちの間では、「Raspberry Pi」や「Arduino」といったボード型コンピュータが試作用のハードウエアとしてよく知られています。いずれも、プリント配線基板や部品がむき出しのままなので、電子回路設計になれていない人には、なじみにくいところがありました。実際、これらのハードウエアを使いこなすには、ある程度の電子工作の知識が必要でした。新たに登場するKinoma Createは、基本的なハードウエアがデザインされた筐体に収まっています。こうしたキットを利用すれば、IoT機器を試作するに当たっての技術的なハードルは下がり、IoTに関連する機器を開発する人たちの裾野が広がるのではないでしょうか。

すでにさまざまな分野でIoTをめぐる動きが始まっています。この動きは、今後ますます活発化するでしょう。こうした中で、新しいシステムやサービス、ビジネスが数多く生まれるはずです。ものづくりが好きな人たちにとっては、「技」を生かす好機かもしれません。 

図3 米Marvell Technology Groupの「Kinoma Create」 Marvell Technology Group Ltdのホームページより 図3 米Marvell Technology Groupの「Kinoma Create」<br>Marvell Technology Group Ltdのホームページより

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