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Redshift 日本版提携連載「ものづくりの未来」のストーリー

GM がドライブする、より軽量かつ効率的なカーパーツ設計の未来

GMは8つのパーツで構成されていたシートブラケットを、ジェネレーティブデザインとアディティブマニュファクチャリングを活用して一体化した単一のパーツにした。[提供: General Motors]

ドラムセットやエレキギター、ベース、キーボードなどの3Dプリント製の楽器、宇宙飛行士や軍向けの食事を始めとする3Dプリントフードから、3Dプリントによる衣服や義肢、移植用臓器、さらには3Dプリント製のコンクリート2階建て住宅まで。アディティブマニュファクチャリングは、既にさまざまな分野で役立っている。では、次は何だろう? 3Dプリント製の自動車だろうか?

実は、そうなのだ。例えばLocal Motorsが2015年に発表した2人乗りオープンカー「Strati」は、わずか44時間で製造される、パーツの75%が3Dプリント製という2シーターの電気自動車だった。2016年、Divergent 3Dが「Blade」でそれに続いたが、こちらは3Dプリント製のボディとシャーシを使用した700馬力の「スーパーカー」だ。さらに2018年中にイタリアのスタートアップXEVが製造開始予定の小型電気自動車「LSEV」は、世界初の大量生産可能な3Dプリント製の車だ。

こうした3Dプリントによるカーデザインへの取り組みは、スタートアップや実験的な目的によるものだけではない。従来の自動車メーカーは、注目を集めるための概念実証でなく、各社とも漸次的な改良や具体的な改善に注力している。ゼネラルモーターズ(GM)は、そうしたアプローチを具体化して、性能向上やカスタマイゼーション、パーソナライゼーションを提供する3Dプリント製のコンポーネントをデザインしている。

エンジニアとコンピューターはジェネレーティブデザインのテクノロジーにより、従来は不可能だった新しいデザインを生み出す、新たな手法でコラボレーションを行えるようになった。[提供: General Motors] エンジニアとコンピューターはジェネレーティブデザインのテクノロジーにより、従来は不可能だった新しいデザインを生み出す、新たな手法でコラボレーションを行えるようになった。[提供: General Motors]

GMでアディティブデザインとマニュファクチャリング部門のディレクターを務めるケヴィン・クイン氏は「1台の自動車に、平均して3万点のパーツが使われています」と話す。「3万点全てをプリントするつもりはなく、非常に現実的なアプローチを採っており、GMとカスタマーにビジネス価値を提供できる製造機会に注力しています。私たちにとって重要なのは、何が“できるか”ではなく、何を“すべきか ”なのです」

ディスラプティブなデザイン

アディティブマニュファクチャリングが自動車業界の未来への扉とすると、その扉を開く鍵はジェネレーティブデザインだ。「私たちにとってジェネレーティブデザインは、クラウドやAIを活用してエンジニアとコンピューターを組み合わせ、自動車のパーツやコンポーネントのさまざまなデザインソリューションを模索する手法のひとつです」と、クイン氏。「コンピューターやエンジニアが単独で取り組むのでは生成不可能なパーツデザインのソリューションが、コラボレーションによって得られます」

こうしたモデルを使うことで、エンジニアはコンポーネントのデザイン目標や材料と製造手法、予算などの制約要因を含めた制約を見定めた上で、その情報をジェネレーティブデザインソフトウェアに入力できる。ソフトウェアはアルゴリズムを使い、想像し得る全デザインの組み合わせを分析、評価して、計算に基づいて最適なソリューションを推奨する。

こうしたカーパーツのデザインは、現在はアディティブマニュファクチャリング以外では不可能だ。[提供: General Motors] こうしたカーパーツのデザインは、現在はアディティブマニュファクチャリング以外では不可能だ。[提供: General Motors]

「ジェネレーティブデザインとアディティブマニュファクチャリングの組み合わせは、業界にディスラプティブな(創造性を伴う破壊的な)変化をもたらすかもしれません」と話すクイン氏は、自動車業界はプレス加工や射出成形金型など従来からある製造ツールの制約によって、伝統的にハンディを負っていると付け加える。例えば、そうしたツールでは極めてシンプルな形状しか製造できない。

また従来のツールは高価である上に融通が利かず、アイデアの有効性を調べる試行に法外なコストがかかる。ジェネレーティブデザインとアディティブマニュファクチャリングは、最小限の設備投資で無限のデザインソリューションを提供可能だ。単体のソフトウェアを単体の3Dプリンターと組み合わせることで、アディティブマニュファクチャリングを使用しなければ実行不可能な有機的形状や内部格子を含めた、無数の部品と無限の形状を製造できる。

より優れたブラケット?

ジェネレーティブデザインのビジネスケース(最終投資決定に必要な情報や分析)を理解するため、電気自動車(EV)がもたらす課題を検討してみよう。自動車メーカーは極めて楽観的で、GMだけでも2023年までに、少なくとも20種の電気自動車または燃料電池自動車を市場投入することを計画している。だが、こうした車両は生産にコストがかかる。より軽量、より短いサプライチェーンを促進するジェネレーティブデザインが、この種の課題をGMが解決するのに役立つかもしれない。

「自動車業界に、電動化と自動運転車が大きな変革をもたらすでしょう」と、クイン氏。「この極めて専門的なエリアでリーダーとなることは、事業を進める上で非常に重要です。私たちはアディティブ マニュファクチャリングとジェネレーティブ デザインが、先行者利益の獲得に役立つと考えています」

GMのエンジニアたちは先日、Fusion 360のジェネレーティブテクノロジーを活用したオートデスクとのコラボレーションを行い、機能的に最適化された新しいシートブラケットをデザインした。これは、シートベルトのバックルをシートや床にしっかりと固定するための標準的なカーパーツだ。一般的なブラケットは8点で構成される四角いパーツだが、ソフトウェアが提示したのは、宇宙からやって来た金属性物体のようにも見える、150種以上ものデザインの選択肢だった。GMが選択したデザインは、8点で構成されるのでなく単体のステンレス鋼製のもので、従来のブラケットに比べると重量は40%軽いが、その強度は20%高くなっている。

「8点からなる部品を単体に統合しようと考えたのには2つの理由があります」と、クイン氏。「ひとつは、質量を最適化できるためです。また副次的なメリットとして多数の異なるサプライヤーが製造する多数の異なる部品(と、その後の組み立て)に関連するサプライチェーンのコストを削減できる点もありました」

これを数百、数千ものパーツに応用することで、自動車をどれほど低価格で軽量かつ低燃費なものにできるのかは、容易に理解できる。

「私たちにとっての現在の課題は、ジェネレーティブデザインやアディティブマニュファクチャリングを、その以外のどういう用途に応用できるのかを見出すことです」とクイン氏は話す。GMは既に自社車両の、その他多数の部品の最適化に取り組んでいる。

「ジェネレーティブデザインやアディティブマニュファクチャリングを活用して燃費や電気自動車の走行距離を伸ばせれば、GMの競争力の大きな強みとなります」と、クイン氏。

流行よりもメリット

性能の向上は、最初の段階に過ぎない。GMは今後アディティブマニュファクチャリングを活用し、ディーラーの各店舗で、より低価格かつ効率的な保守部品の製造や車両のカスタマイズを計画している。

「今は、車両のカスタマイズを行うにはGM側に多大な設備投資が必要です。特別仕様で何かを作成するたびに新しいツールが必要だからです」と、クイン氏。「投資に見合わないため、この業界では、そうしたことには手を付けないという決断を下すことも多いのです」

クイン氏はアディティブマニュファクチャリングにより、顧客が特別仕様の外装仕上げを発注したり、所有者の名前やお気に入りのスポーツチームのロゴなどで車両をパーソナライズしたりできるようになるとも話す。「競合他社が提供していないサービスを提供できれば、他社との差別化が可能です」

クイン氏は、それこそがテクノロジーに要求することだと話す。重要なのはバズることではなく、メリットを提供することにある。「ジェネレーティブデザインとアディティブマニュファクチャリングは、私の心を躍らせます。それによって顧客へ、他のいかなる方法でも実現し得ない性能を提供できるのです」

●(Redshift by Autodeskより転載)
『GM がドライブする、より軽量かつ効率的なカーパーツ設計の未来』
https://www.autodesk.co.jp/redshift/automotive-design/

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