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年末特別企画 ケイズデザインラボ原雄司氏インタビュー

2014年の3Dプリンタ市場を振り返る——ものづくりはB to CからB to Iへ

——人材についてはどうでしょうか。3Dプリンティング市場が盛り上がる中で、どういった人材が求められていますか?

「3D CAD系のエンジニアは自信を持ってそういう分野にチャレンジしてほしいですよね。CADの基礎的スキルがある人は、総合力をつけるにおいて、この時代においては圧倒的に有利だと思います。

『モデリングせずとも3Dスキャナでデータが作れる』というメディアなどの声もありますが、スキャナのみで事を済ませられると言うには、まだまだ無理があると思います。本質的に自分のアイデアを3Dデータ化するスキルというのは、これからもっと求められると思いますし、活躍できる分野はいままでの製造業の範囲のみではなく、業界を越えてぐんと広がっているということを認識してほしいですね。

3D CGをやってきた人たちが3D CADを覚えるとか、あるいは双方が融合していくとかっていうことが今すごく重要なことで、弊社では両方ができる人材というのを意識して育てています。3DといってもCGとCADでは全然似て非なるものですけども、これをうまく融合させることで、エンターテインメント系から製造系まで全部できますし、もっと幅広い活用方法というのも出てくるんじゃないかな。

いまはまだ不自由なことが多い3D CADも、製造業に偏っていたインターフェースや機能から少しずつ脱却していくでしょう。Autodesk 123D Designのような無料のソフトがいっぱい出てきてますけど、ああいうのがいい例で、どんどんそういったユーザーが増えれば3D CADも改良されるでしょうが、いま3D CADデータや3D CAD設計やっていた方というのは、その改良を待たずにいち早く先頭を切れるわけで、すごく有利なスキルを持つ人材じゃないかなと思いますね」

——これから3D技術が伸びていくであろう業界は?

「ファッションや食品など、これまで問い合わせが来なかったような異業種ですね。B to Iへの流れを感じたきっかけというのはファッション業界との取り組みなんです。自分たちで流行を作って、在庫見込を計算して9号や10号など規定サイズで生産するわけですが、必ず見こみ違いの在庫不良が出るので、それをセールで売りつくすことになるというのが昔からの課題です。この当たり前とされてきたサイクルを、当たり前ではないのではないかと気付きはじめている人たちがいて、それを解決するのはやっぱりB to Iという考え方ではないかと考えています。つまり、規定のサイズを作り置きするのではなく、需要に応じて作れるシステムとプロセスというのを完成すればいいじゃないかと。型紙の代わりに人体データがあれば、1本の糸から紡いでワンピースとかカットソーを作るぐらいの技術力を持った企業もある中で、決して遠い話ではないのではないでしょうか。

B to Cとは企業と消費者(Consumer)ですよね。この先は、消費者という一括りにした対象ではなく、B to I、個人(Indevidual)としてより細分化したニーズや個性に応えてゆく必要があるし、それができるものづくりに移っていくと考えています。

そういったシーンで3Dスキャナや3Dプリンタが使えるんじゃないかという相談が非常に多かったですね。

本来3Dプリンタというのは、多品種適量生産ができるシステムとしても見られていますが、それがちゃんと実行できている事例がまだほとんどない中で、ファッションはその可能性がある最たるものになり得ますね。あまり夢物語と思わずに真剣に考えてみる、やれるところからやってみるという時期に来たのかなという気がしています」

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