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年末企画

【fabcross年末緊急アンケート】3Dプリンタ業界激動の2013年を振り返る (団体・学校編)

3Dデータを活用する会・3D-GAN 理事長 相馬 達也氏

■2013年は3D-GANにとってどのような年でしたか。

とにかく「3Dプリンタ」「3Dスキャナ」について、事務局にお尋ねになった方や、講演、出版テレビ出演などでたくさん説明させていただいた1年でした。一般に「3D」という言葉は映画などで知られ、映像分野の話でした。しかし今年の「3Dプリンタ」に関する報道で「3D」は製造の言葉でもある、ということが広く認知され、この変化はとても大きいものであったと思います。

TVや雑誌、新聞の報道によりまして、3Dプリンタが広く知られたことで興味を持つ方も増えたことは大変ありがたかったのですが、報道によって生じた誤解を解くための活動も同じように増えましたが、理事よる出版やTV出演、会員企業さんどうしのコラボレーション、新製品開発のご支援の機会も増え、総じて充実した1年だったと思います。3Dプリンタが知られることによって、3Dモデリングの講座受講者も目に見えて増えました。

■2013年の3Dプリント業界を振り返って、3D-GANにとって大きなトピックは何だったでしょうか?

やはり、報道の量とそれによって関心を持っていただく方がとても増えたことです。新製品としては、さほど驚くべきものは無かったと思いますが、全体として「パーソナルユース」に対する期待感が広がり低価格化の提案は多数なされたと感じています。3Dプリンタ等の場合、他のコンシューマ製品のようにライフサイクルが短いわけではないのでそう立て続けに目新しい製品が出るわけではないと思われますが、低価格化という点では来年はさらに加速するものと予想しています。

■3D-GANにとって2014年はどのようなこと/変化が起きると考えられますか?

今年のある種のブームは、直接的には3Dプリンタに関係が薄い人も巻き込んだものであったと思います。来年はこれが少し落ち着いて、本当に必要な人、本当に動機・意欲がある人が3Dプリンタを実際に活用するようになるでしょう。一般に報道される量は減少するでしょう。報道の量が減るからと言って、3Dプリンタの意義が変わるわけではありません。

当会では3Dプリンタが話題になる前からずっと同じことを発信していますが、つまりは、3Dモデリングが出来ることが3Dプリンタ等の入り口であり、ほぼ全てです。その後には、設計や量産という話も出て来るでしょう。また、CGモデラー(映像・ゲーム・画像系のクリエイター)とモノづくりの世界のボーダーレス化はさらに進むものと思います。3Dプリンタもそうですが、同じように3Dモデリングの需要が高まることは確実です。

■この1年の3Dプリンティング分野における企業や社会(政府なども含む)の変化について、どのように感じていますか?

テレビの影響力は非常に大きい、ということを感じています。特にシニア世代、企業の経営判断をする年齢層に対してのテレビの影響力は依然としてとても大きいものがあります。テレビが報じなければ、このような状態にはならなったでしょう。ただし、テレビは全体として知られることには絶大な力がありますが、誤解や誤った印象も広め易いメディアであることを実感しています。当初モノづくりには詳しくないITやSNS、ネットサービス、デジタルガジェット好きのブロガーが喧伝したような「一家に一台」の時代は来ないと考えていますが、模型などの他の趣味からの要請や、ごく小さい単位の組織で行う製品試作などの分野ではさらに利用が進むことと思います。なにより、3Dモデリングというスキル、技能が存在すること、価値が高いことが3Dプリンタの話題によって知られて来たことは、当会としては大変ありがたいことです。

来年は、機械・道具の話題が少し落ち着き、「3Dモデリングを学ぶ」という方向に変わって来るものと予想し、当会で実施中の各種講座をさらに充実させ、地方での開催も視野に入れています。 

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