とびこめ! 工場見学
パッド印刷の伝道師に出会う——安心堂(東京都足立区)
全国各地に新興のファブ施設が増える一方、古くからものづくりを支えてきた工場の存在も忘れることはできない。「とびこめ! 工場見学」では、私たちの身近な暮らしを支える工場と、そこで培われている技術にフォーカスを当てて紹介していこう。
今回訪れたのは、東京都足立区にある安心堂。凹凸や曲面を持つプロダクトへの印刷を得意とするほか、個人でも導入可能な印刷機材の販売や技術研修も行う会社だ。
このような複雑な表面への印刷を可能にするのが、「パッド印刷」と呼ばれる技術だ。パッド印刷は、凹型の版に乗せたインキをいったんシリコーンパッドに転写し、それから対象物に押しつけて印刷するという方法。まずはその様子を写真でお伝えしよう。
インキを転写するパッドは柔らかいシリコーン素材でできているため、凹凸や曲面にも密着して印刷できる。また、シリコーンパッドの種類を変えればさまざまな形や大きさにも対応可能だ。
安心堂では、注文がある場合まずは工場に来てもらうことを慣例としている。社長である丸山さん自身が相談に乗り、目的に応じた治具を製作したり、場合によっては専用のパッド印刷機自体を作ったりすることもあるという。単なる印刷代行にとどまらない、親身な姿勢がうかがえる。
「パッド印刷を多くの人に知ってもらいたい」と語るのは、自ら「パッド印刷の伝道師」と名乗る丸山寛治さん。成果物だけでなく、印刷自体の体験もセットで提供する姿勢がとても印象的だ。
取材日には安心堂が販売する卓上パッド印刷機「なんでもくん」を用いた体験会が行われており、参加者は丸山さんの手ほどきを受けながらオリジナルグッズ作りに興じていた。
「安心堂で印刷を体験した人から話を聞いて相談に来る人も結構いる。日本中からいろいろな情報を持った人たちが来るから、面白くて退屈しないですよ」
パッド印刷のもつ可能性を、人と直接交流しながら広げていく丸山さん。体験会を見ていると、技術が伝導されていく様子をありありと感じることができた。
概要
企業名 |
株式会社安心堂 |
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所在地 |
東京都足立区江北3-21-6 |
Webサイト | |
利用法 |
【依頼、問い合わせ方法】 【入稿方法】 |
納期 | およそ1週間 |
料金 | 製版1万円~ 治具5000円~ |