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とびこめ! 工場見学

打ち抜き加工で緩衝材を観賞材へ——サトウ化成(東京都墨田区)

私たちの生活を支える工場、そしてそこで培われている技術を紹介する「とびこめ! 工場見学」。今回訪れた東京都墨田区にあるサトウ化成は、緩衝材の製造を中心に行う会社だ。ひとくちに緩衝材といっても、保護する製品の形状や用途によってニーズはさまざま。サトウ化成では「打ち抜き加工」によって、多様な要望に応えるバリエーション豊かな緩衝材を製造している。

打ち抜き加工とは、刃のついた型に素材を押し当て、型に沿って素材を加工する方法のこと。まずは実際の様子を見せてもらった。

加工機に固定された型。円形の部分に上向きの刃がついている。 加工機に固定された型。円形の部分に上向きの刃がついている。
型の上に素材と保護用の板を置き…… 型の上に素材と保護用の板を置き……
加工機で素材を型に押し付ける。 加工機で素材を型に押し付ける。
すると、型の通りに素材が打ち抜かれる。 すると、型の通りに素材が打ち抜かれる。

板状だったゴムスポンジが、あっという間に大量の丸いシールに加工された。加工機上の型の位置を変えることで、完全にくり抜くだけでなく、今回のように台紙部分だけを残す細かな調整も可能だ。なお、この丸いシールはパソコンなどの裏側に貼る緩衝材になる。

工場見学の中で素材のレクチャーを受ける。 工場見学の中で素材のレクチャーを受ける。

続いて工場で扱う素材やその加工例を紹介してもらった。主に用いるのは、台所用スポンジのように柔らかく吸水性のあるウレタンフォームと、ビート板のように硬くしっかりしたポリエチレンフォーム。これらを緩衝材と完成品によって使い分けるほか、紙や塩ビ板などの加工も行うという。

切れ込みに沿って折りたたむ緩衝材は、素材の無駄をなくしたいというアイデアから生まれた。 切れ込みに沿って折りたたむ緩衝材は、素材の無駄をなくしたいというアイデアから生まれた。
スマートフォンスタンドとして使える硬い素材。 スマートフォンスタンドとして使える硬い素材。
折り加工のためのスジをつけることもできる。 折り加工のためのスジをつけることもできる。
現在開発中の万能収納ケース。 現在開発中の万能収納ケース。

「ひとつの型でひとつの素材、という決まりはないんです。同じ型でも素材を変えて抜いてみると、違う用途に使えるかもしれない。何か面白いものができないか、いろいろ試しています」

佐藤憲司さん(サトウ化成)。 佐藤憲司さん(サトウ化成)。

こう語ってくれたのは、サトウ化成の佐藤憲司さん。人が興味を持つような、新しくて役に立つものを作りたいという。3方向から抜き加工をした立体物や薄くスライスしたウレタンで作ったカードケースなど、新しい挑戦の結果を嬉しそうに紹介する佐藤さんの口調からは、技術への確かな自信も感じることができた。

3面から抜き加工をした試作品。ランプシェードとして展示したところ大好評だったという。 3面から抜き加工をした試作品。ランプシェードとして展示したところ大好評だったという。
緩衝材を実用品として利用するチャレンジから生まれたウレタンカードケース。 緩衝材を実用品として利用するチャレンジから生まれたウレタンカードケース。

「抜き加工だからこそできる形状を生かして、OEMではない製品も作っていきたいですね。いまは福祉関係の人と定期的に集まってアイデアを出し合っていて、今夜も打ち合わせに行くんです」

佐藤さんの名刺には、「緩衝材を観賞材へ」と記されている。打ち抜きの技術で生み出される新しい価値に、胸が膨らむ工場見学だった。 

概要

企業名

有限会社サトウ化成

所在地

東京都墨田区東墨田2-14-1

Webサイト http://satokasei.com/
利用法

【依頼、問い合わせ方法】
・メール:info@satokasei.com
・電話:03-3610-2354
・FAX:03-3610-2537

【入稿方法】
・型データ:CADデータ、Adobe Illustratorデータ、PDFデータなどの2次元データ
※2次元でのデジタルデータが作成困難な場合、梱包したい製品を見せて相談することも可能。

・素材指定:要相談

納期 およそ2週間
料金 型の形状、生産個数によって変動

 

取材協力:MAKER'S TICKET(メーカーズチケット)

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