ワークショップにいってみよう
DMM.make AKIBA名物「FRISKおじさん」とヘッドホン・アンプを作ってきた
コンビニに行けば必ず置いてある爽やかなロゴのペパーミントのお菓子、FRISK。
しかしふたを開ければみれば、中にはなんと、超小型のヘッドホンアンプが詰まっています! 工作好きも、音楽好きも、お菓子好きも必見、「FRISK風ヘッドホン・アンプ」を作るワークショップに参加しました。
開催地はMakerの聖地、秋葉原駅近くにあるDMM.make AKIBA Studio、所要時間は約7時間(昼休憩1時間含む)であり、本格的に制作に取り組むことができます。
FRISKケースにヘッドホンをつなげて音楽を聴くシチュエーションを想像するだけでニヤニヤしてしまいそうですが、アンプとしての機能もかなりしっかりとしていて見た目と音質のギャップにも驚かされます!(撮影:淺野義弘)
FRISKおじさんがあらゆる「工作」のいろはを伝授
本ワークショップのタイムテーブルは、午前中の1時間で外装組み立て作業を行い、お昼休憩を挟んで、午後からアセンブリ作業を5時間ほど行う二部構成になっています。
「え、FRISK風ヘッドホン・アンプ欲しいけど、そんなに時間かかるのか……」と心の中で思った人ほどぜひとも挑戦してみてほしいです! ワークショップを通し、ドリルやヤスリ等を扱う筐体の工作から、はんだ付けをして基板を組み立てる電気系工作、電池バネを作る針金工作など、あらゆる工作の基本をFRISKおじさんから教えてもらえる超充実のプログラムなのです。
FRISKケースで外装を作る
始めに、アンプの外装に使うFRISKケースの加工をします。
作業台には、参加者一人一人の席にオリジナルテキスト、電子部品、工具一式が並べられていました。まずは、好きな色のFRISKケースとボリュームに装着するつまみを選びます。
いつも買うのは黒FRISKだけど、今回はオーソドックスな青いロゴの白ケースを選択! つまみは、黒とグレーの2種のうちから黒を選びました。
FRISKおじさん「FRISKヘッドホン・アンプは、寸法ギリギリに設計されていまして、部品の高さがちょっとでも出っ張るとフタが閉まらなくなってしまいます。そのために、ケースの中の凸凹を削っていきます」
通常、ケースの内側にはキャンディの粒の出る量を調節するパーテーションが付いているのですが、こちらのケースはワークショップのためにパーテーションを切り取ってあります。それをさらに、狭く限られた空間を最大限に活用するために、電子部品がぴったり収まる穴を開け、ケース内の突起を削り取る加工をしていきます。
まずは、ボリュームとヘッドホンジャック2個が通るようにドリルで穴を3個開けていきます。ケースを治具にはめ込むと穴の基準位置決めがラクです。ドリル径は2.5mmのものから、0.5mm刻みで太いドリルに交換しながら穴を広げていきます。直径4mm程度まで穴が広がったら、リーマーを使って径をボリュームとヘッドホンジャックがはまる大きさまでさらに拡大します。
次に、ボリュームの寸法がケースの厚さより少し大きく、フタが閉まらなくなってしまうため、ボリュームのはみ出す部分に合わせてケース底面を超音波カッターで切り開きます。超音波カッターは、力を入れずに硬いプラスチックを切断できる便利アイテムです。普通のカッターでは刃をスライドさせて対象物を切るのが一般的ですが、超音波カッターでは刃を対象物に対して垂直にして貫通するまで差し込み、そのまま垂直に抜く、という作業を繰り返して切るそうです。私もたまに3Dプリント物のラフト剥がしに超音波カッターを使うのですが、恥ずかしながら間違った使い方をしていました……。
ケース内側の凹凸や、穴をカットした後のバリをヤスリで削り取っていきます。ゴシゴシと力いっぱいヤスリをかけるあまり、ちょっと手が疲れてきました。
FRISKおじさんは「ヤスリは往復で動かして削るのではなく、一方向に動かして削ります。おろし金で大根おろしをするときと同じです。そうしないと大根の繊維がおろし金に引っかかっちゃって削れなくなるでしょ? ヤスリの目も詰まって削りにくくなってしまうんです」と教えてくれました。そ、そうだったのか!
お次は、電池を準備します。ヘッドホンアンプにはボタン電池だと容量が小さすぎるため円筒型の乾電池を使用します。
一方で電子工作に使われる単4形や単5形だとFRISKのフタが閉まらないため、今回は単6形が必要です。しかし、単6形乾電池は特殊で2本で500円前後と高額なので、なんと百円ショップで売っている9V角型乾電池1個を分解する裏技を使います!
9V角型乾電池のラベルを剥がしフタをペンチでこじ開けると、単6形乾電池が環状に連なって出てきました。すごい!! 単6形乾電池の極性が分からなくならないようマジックペンで陽極・陰極の印を書き込んでから、ニッパーでバラバラに切り離します。