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Julie Wataiがアイドル握手会専用手袋をプロデュース

握手会の神デバイス!? になるかもしれない、アイドルを守る手袋を作ってみた

アナログ回路設計の楽しみ

回路設計およびプログラミングを担当した三宮匡彦さんは語る。

「大好きなアナログ回路の設計だったので、定数の決定など楽しみながらやらせてもらいました。思った通りの動作をしてくれたときはとてもうれしかったです。プログラムは、他の人が見ても修正できるように、なるべくシンプルにしました。それでも各LEDは七色に光るよう工夫しています。基本機能をプログラミングし、デバッグしながらパラメータなどを調整しました。試作品を作る際には、数十年ぶりに裁縫をやりました。小学生が作る雑巾よりひどいできでしたが、装置の方は予定どおり機能してくれました」 

三宮さんの試作品。LilyPad Arduinoが導電糸でLED基板と結ばれている。 三宮さんの試作品。LilyPad Arduinoが導電糸でLED基板と結ばれている。

試作品完成後も苦労は続いた。

「作る以上に、装置をデザインの方に渡して、手袋に実装してもらうのがけっこう大変でしたね。情報を交換しながらなんとか完成品にこぎつけました。途中は大きな仕様変更こそなかったものの、動作が不安定でまいりました。結局、接触に問題がある箇所が見つかり、それが原因でした。ハンダ付けや絶縁テープで対処した後は、安定したと思います」

導電糸とはいいながら、物理的に縛っているので、ハンダ付けとは結線の強さがちがう。服飾に使う際の注意点の一つだろう。 

実装されたLED基板。表側からは他の部品は見えない。 実装されたLED基板。表側からは他の部品は見えない。
手袋をひっくり返した状態。裏側のLilyPad ArduinoやLED基板に続く導電糸などが見えている。 手袋をひっくり返した状態。裏側のLilyPad ArduinoやLED基板に続く導電糸などが見えている。

部品と部品をつなぐ導電糸の処理がカギ

デザインが決定したところで、各部品を導電糸で縫い付けていく。糸同士が接触しないよう、慎重に配置する。導電糸にはビニル線のような絶縁体は付いていない。そこで、手袋をはめたときにどうしても線に触れてしまう部分には、ビニル線を使用。結線部分が増えるため、それに伴って結線部の不安定要素も増すが、背に腹は変えられない。

縫製担当の村上なつめさんのお話。
「こういった電子工作みたいなことは中学校以来だったので、最初はとまどいました。ともかく線同士が接触しないよう気を使いました。LED基板以外の各部品が見えないような工夫もしています。配置しながら自分ではめてみて、何度も動作を確認しながら縫い付けていきました。電子工作とかわいい手袋を作る作業を並行して進めるのは思った以上に難しく感じましたが、どんなものができるのかなと、ワクワクしながら作業できました。機会があれば、また電子工作の服飾をやってみたいです」

村上さんは、このチャレンジで思った以上に創造力を刺激されたようだ。次なる作品のきっかけになることを願ってやまない。
アイドル握手会専用手袋。遊び心満載のアイデアに、LilyPad ArduinoやLED、導電糸といった電子工作の部品が加わり、身に付けて使える新しいデバイスが誕生した。編集部ではこれからもウェアラブルで楽しい作品に挑戦していきたい。 

回路を手袋に実装するためのスケッチ。LED基板以外の部品は、見えないように裏に回した。 回路を手袋に実装するためのスケッチ。LED基板以外の部品は、見えないように裏に回した。
完成したアイドル握手会専用手袋。LEDは七色に光る。まるでジュエリーのようだ。 完成したアイドル握手会専用手袋。LEDは七色に光る。まるでジュエリーのようだ。

 

撮影協力:ソラトニワステーション原宿
デザイン・制作:MISUMI、村上なつめ
設計・開発:三宮匡彦(株式会社メイテック)
握手会エキストラ:淺野義弘、花形 槙

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