新しいものづくりがわかるメディア

RSS


頭の悪いメカ by 藤原麻里菜

ステルス迷彩お弁当箱を作れば早弁ができるぞ!

もし、透明マントが本当に作れたら、あなたは何をしますか? 私は、早弁をします。

高校生の時に、数学の授業中に早弁をしてみたところ、先生に見つかって怒られてしまいました。怒られたことが悔しく、その後も細長いパンである「ナイススティック」を袖に隠し持ち食べるなど、さまざまな早弁を試みたのですが全て見つかってしまい、最終的に「授業に出ずに公園でお弁当を食べる」に落ち着きました。私は、早弁に敗北しました。バレずに早弁を達成することができたら、きっとまた違った未来が待っていたと思うのです。

「ステルス迷彩」や「光学迷彩」と呼ばれる、物体を透明化する技術があります。元々は空想上のものだったのですが、研究が進められ、実現可能に近づいているらしいです。透明マントがある未来がすぐそこに来ています。いや、もう実現されていて、持っている人もいるかもしれません。透明だから気付かないだけで……。やだ、怖い話になっちゃった。

東京大学の稲見教授らが発表した論文によると、再帰性反射材をまとった物体にプロジェクターで背景を投影し、それをハーフミラー越しに眺めると物体が消えて見えるそうなのです。再帰性反射材というのは、自転車とかに付けるような、光を当てると光が来た方向に反射する素材のこと。ハーフミラーは明るい側からは鏡に見えるが暗い側からは向こう側が見えるようなガラスのことで、どちらもネットで簡単に手に入れることができます。

そんなことを知ってしまったからには……。

お弁当箱と再帰性反射材を買って、

貼ります。

これに映像を投影すれば、ステルス迷彩お弁当箱が作れるはず……。お弁当箱が透明になったら、早弁ができるはず……。早弁ができたら、高校の時の無念を晴らせて前を向いて歩けるはず……。全ては、未来のために。お弁当箱を透明にするぞ!

お弁当箱を透明にする

「おれたち、なんでも消してやるぜ」

今回、技術的に協力いただくのはImage clubのあずまさん(写真中央)と高田さん(写真右)です。Image clubは、頭に浮かんだものを形にするエンジニアのユニットです。みんなそれぞれ本業があるのですが、週末に集まって変なものを作っているのです。かっこつけた写真にある半球の物体は、「ブラジルに繋がっている穴」という作品で、穴を覗くとブラジルの映像を見ることができるのです。
彼らは、VRゴーグルを付けてVRの世界にいる人を透明にしてあげる「消えるVR」という作品で、この光学迷彩の技術を使っている、頼もしい方々なのです。

25歳にもなって学校で撮影するのもちょっとアレだなあと思い、「会社で仕事中に早弁をする」という設定を貫きたいと思います。大切なミーティング中に飯を食いたいときとか、あるじゃないですか……。

まずは、会社のデスクの上に置いたお弁当を消したいと思います。消したい場所に投影できるようにプロジェクターを設置しました。投影中にプロジェクターがズレたら大変なので、安定感のある三脚を使います。

そして、お弁当をどけた状態の写真を1枚撮影し、それをパソコンに取り込み、プロジェクターで実物と重なるように投影します。プロジェクションマッピングってやつですな。

プロジェクターのことはさっぱり分からないので、高田さんに丸投げをします。画像の隅の4点を移動させて、現実のオブジェクトと画像が一致するように調整するそうです。この作業がたいへんコツがいるもので、文字などの情報を入れ込んだり目印になるものを角に置いたりすると楽にできるそうです。

投影された場所にお弁当箱を置くと……。

こ、これは! 消え……消……。消えたといっても過言ではないほどだ!

漫画とかで、物がなくなったときに破線で表されるときがあるじゃないですか。ああいう感じの消え方のよう。「ここに確かに物があったはずだけれど、ない」という複雑な感覚を現実で表せるなんて。これは、新しい分野のなにかかもしれません。それはそうと、もうこれはほとんど消えてるということなので、消えているものとして扱っていきたいと思います。

これは、パソコンの上にお弁当箱を置いているダメな社員ですが、

これで仕事熱心な社員になれます。

カメラの後ろはどうなっているのかと言うと、こうなっています。角度を調整しながらハーフミラーごしに机を見ると、さっきの写真のように見えるのです。

「消えてる」「はははは」「これは消えてますね」「消えたぞ!」

物が消えるのって、すごく楽しい。現場ではお弁当箱が消えるたびに笑いが起きました。今後、光学迷彩の技術がもっと発展したら、きっと笑いが絶えない世界になるんじゃないでしょうか。

中身はコンビニ弁当を詰め替えた、おいしいお弁当です!

会議中にお弁当を食べるぞ

場所を変えて、会議室で同様のことをし、お弁当を消しました。みなさんは、どこにお弁当があるか分かりますか? 分からないですよね。実は、パソコンの上にあるんです!

お弁当が消えることで、真面目な商談をしていたとしても、

ふたを開けて

お弁当が

食べられるのです。

後で調べたところ、なんと食べられる再帰性反射材を研究しているところがあるのだとか。これでお弁当を作って、あとは箸にも貼ったら、完全なステルス迷彩お弁当が作れてしまいます……。いまは、透明を食べられる時代です。

おわりに

引きで見るとプロジェクターの存在感がすごいですが、お弁当を透明にすることができました。

今回は再帰性反射材を1種類しか用意してなかったのと、オフィスの明るさ調整がうまくできなかった……などなど、ちょっと反省点があります。もうちょっと細かくやれば、もっと透明になったかもしれません。くそう。

プロジェクターや再帰性反射材、ハーフミラーなど、マネーはかかりますが、誰でも手に入れられるもので光学迷彩が作れるので、ぜひ早弁をしたい中高校生は頑張って作ってください。私は、消すことへの喜びを覚えたので、今後もいろいろなものを消していきたいと思います。

協力:Image club / メルタ

今人気の記事はこちら

  1. 高度な数学者が小学生レベルの引き算を間違えてしまう理由とは
  2. ArduinoやRaspberry Piで使える高性能AI視覚センサー「HuskyLens」
  3. 500ドル以下でXY精度3μmを実現——デスクトップSLA方式3Dプリンター「SolidMaker」
  4. 製造業の常識を破壊して海外へ飛び出す——骨伝導イヤホン「BoCo」
  5. ロボットアームを家庭にも——高精度なミニロボットアーム「Mirobot」
  6. 厳しい暑さも快適に——半導体を使った独自技術で冷却するクールスーツ「Smart Cool Jacket」
  7. 未来を「つくる場=つくば」へ——つくば初のMaker Faire「Tsukuba Mini Maker Faire」が2020年2月に開催
  8. プログラマーのための備忘録——ASCIIコードや2/10/16進数の変換表を1枚のカードにまとめた「ANCHOCO」
  9. micro:bitでオリジナル作品を作ろう——オーム社、「プログラム×工作でつくるmicro:bit」発刊
  10. 日本最大級の自作ハードウェアコンテンスト「GUGEN2019」が作品募集を開始

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る