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頭の悪いメカ by 藤原麻里菜

体温計付きヌンチャクで、健康的なカンフーライフを

中学生のときに「燃えよドラゴン」を見てから、ブルース・リーに憧れています。ひょうひょうとしていて、すごく強い。何人もの敵に囲まれても絶対に勝つ。ストリートファイターですら一勝もしたことのない私にしてみれば、あの強さは、マジリスペクトなわけです。

で、このまえ『ドラゴンへの道』を見たらヌンチャクさばきがやっぱりかっこよかったので、私もああなりたいと思って、Amazonでヌンチャクを買いました。衝動から行動までが思春期だ。NARUTOに憧れてクナイを買ったりしていた小学生のときとまったく変わってないけど、いいんだ。私は本気で強くなろうとしているから。

そして、人知れず練習を重ねているのですが、もう、なんかこう、どう頑張っても私のダサい動きはブルース・リーと似ても似つかないんですよね。

ふと、その姿を鏡で見たら、体温計を脇に挟んで幻覚と戦っている人にしか見えませんでした。

そんな自分の姿を見ていると、ある発明品のアイディアが浮かんできました。「ヌンチャク体温計」です。ブルース・リーのように強くなるには強靱(きょうじん)な肉体が必要で、そのためには健康管理が必要なのです。だったら、ヌンチャクと体温計を合体させれば、戦いの最中でも自分の体温が確認できて、とても便利。全世界の武術家に売れる。これはビジネスチャンスだ。

ヌンチャク体温計を作ってみよう

ということで、「ヌンチャク体温計」を作ります。まず、「体温計」部分を自作していきます。そもそも、体温計って素人が作れるものなのか? と思って調べてみたら、サーミスターというものをArduinoというマイコンで制御すれば作れるようでした。

サーミスターとは、平たくいうと温度センサーのような電子部品で、熱の変化によって抵抗値が変わるのです。NTCサーミスターとPTCサーミスターがあって、体温を測るのにはNTCのほうが適しているようでした。

こちらの記事を大いに参考にしながら、Arduinoにサーミスターを接続します。そして、体温が表示されるように液晶パネルも接続し、数値がパネルに表示できるようにプログラムを書き換えます。

サーミスターを指でつまんでみると、どんどん数値があがっていきます。おお……。作った人のブログをそのまま真似しただけなのに、なんかすごく自分が天才な気がしてきました。お母さん、私、東京で体温計を自作しているよ。

サーミスターを脇に挟んで測ってみます。が、何度測っても32度で数値が止まってしまう。なんでだろう……と悩みつつも、平熱が32度だということにして手を打ちました。

中身ができたので、これをヌンチャクにしまっていきます。ただ、うすうす感じてはいたけれど、このデカさ、ヌンチャクの中に入らないな……。見てみぬふりをしていた問題に直面してしまいました。

絶望に打ちひしがれながら100円ショップをうろうろして見つけたのがこちらの賞状入れです。これを加工して液晶パネルやサーミスター、Arduinoを入れ込んでいきます。そして、雑にグルーガンやガムテープで接着したら完成です。

「ヌンチャク体温計」完成

これがヌンチャク温度計だ! 爆弾ではありません。

相変わらずの雑さによって、かなりアウトローな見栄えになってしまいましたが、これはこれでアリとしてください。お願いします。

左側に電池などをたくさん積んでいるので、左右の重さがまったく違います。むき出しの9V電池の角が勢いよく頭に当たったら、どうなってしまうのだろう。普通のヌンチャク以上に危険な武器かもしれません。

賞状入れがあまりにもデカイので、ヌンチャクに見えないという欠点もあります。でも、「欠点は最大の武器になる」って、自己啓発本に書いてありました。だから大丈夫です。

ヌンチャク体温計を使ってみよう

では、早速使ってみましょう。ヌンチャクの師匠であるYouTuberの動画で習得した俺の技、ブンブン回しからの脇挟みです。

回して、

挟みます。

重い。そして、せっかく作った発明品を壊したくないという思いから100パーセントの力を出せません。なぜか表情も酸っぱくなっている。

ブルース・リーの最も有名な言葉で「Don’t think, feel!」があります。考えるな感じろ。これは、「戦いの中では、自意識にとらわれずに集中しろ」という意味ではないかと私は解釈しています。つまり、発明品を壊すまいと慎重に扱っている私は、最悪中の最悪。こういう精神的な弱さに打ち勝たなくてならない……。

もう見てられないほどのぎこちなさ。吹っ飛んで窓を割ったらどうしようという不安から顔がこわばっております。破壊を恐れてはカンフーなぞ習得できないのに。

でも、体温はしっかり測れているはずです。確認してみましょう。

もうちょっと近づいてみると、

41.35度。

41.35度か。私の平熱は32度なので、かなり危ない状態です。でも、アドレナリンが出ているからか、まったくだるさなどは感じられません。私は自分が作ったものを信じています。

室外機に囲まれてしまいました。

必死に戦いながらも体温を確認すると、

49.41度。

おわりに

42度以上の体温で人は死に至るといわれていますが、私はそれを7.41度も超えてしまいました。私は今まで気づかなかっただけで、人類の歴史を変えるほどの肉体を持って生まれたようです。

でも、まさか自分の体温が49.41度もあるなんて。戦いに集中すると、自分の体調のことなんて二の次になりますね。もしかして、これがDon’t think, feel!ということなのでしょうか。49.41度もある中で室外機と戦った私は、今後も鍛錬を積み、50度でも51度でも耐えられる肉体を作り上げていきたいです。

もう一度言いますけど、私は自分が作ったものを信じています。

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