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Dr.片山の100均ロボット研究室

電気を使わずビニールテープ製フライホイールで動く8脚ロボット、発進!

こんにちは。片山均(かたやま ひとし)です。愛媛県八幡浜市にある三瀬医院で院長を務めながら、日夜研究室で100円ショップで購入した材料をメインに低予算ロボットを作っています。

いつもは100円ショップの毛玉取り器やプチ電車を動力にしたロボットを作っていますが、今回はビニールテープを動力にしたロボットを作ってみました。

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ビニールテープはフライホイールとして使用します。回転を利用してエネルギーを溜めたり放出したりするリング状の機構をフライホイールと呼びますが、今回はビニールテープをフライホイールに見立てています。

ビニールテープを使った8脚ロボットの製作過程

今回の材料は以下の通りです。

  • ビニールテープ1個
  • 竹の箸10本程度
  • 竹串12本程度
  • ミニストロー 3本程度
  • 木製スティック20本程度
  • 厚紙適量
  • タイルマット15cm×5cm程度
  • 輪ゴム2個
  • 画びょう8個
  • 足の長い画びょう(針の部分が10mmのもの)8個
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まずは簡単な設計図を描きました。完成品と違い、クランクの向きなどが異なります。設計図はあくまでも設計図。この通り作っていくというわけではありません。

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コンパスカッターで円形に切った厚紙とタイルマットをグルーガンで貼り合わせ、プーリー2個とフライホイールの芯を作ります。

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ビニールテープの穴に芯をはめて、フライホイールを作ります。

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竹の箸とミニストロー(青い部分)でロボットの胴体を作ります。

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ビニールテープのフライホイールに竹串を通して胴体に取り付けます。

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2個のプーリーを胴体に取り付けて輪ゴムを掛けます。

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竹串と竹の箸で作ったスイッチを取り付けます。

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胴体の底に取り付けたプーリーの軸にクランクを接着します。

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木製スティック、ミニストロー 、画びょうと足の長い画びょうでチェビシェフリンクと平行リンクを組み合わせたリンクを4個作ります。(チェビシェフリンク機構については前回の記事参照)

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コの字型になるように竹の箸を2本接着して胴体に取り付けます。

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ビニールテープのフライホイールで動く8脚ロボットの完成です。

8脚ロボットの動かし方

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このロボットを動かすには、フライホイールの軸に掛かっている輪ゴムをスイッチの先に引っかけます。

中心にある竹串を両手でこするように高速回転させてからビニールテープの上にあるスイッチを押し下げると、引っかけていた輪ゴムが外れ、フライホイールの回転がプーリーに伝わってロボットが歩き出します。

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歩行距離を伸ばすにはビニールテープより大きな材料を

このロボットの最大の特徴は、なんといっても電力を使わず、ビニールテープの回転だけで動くところ。フライホイールの材料としては、素材としてはなるべく真円に近く外側が重いものが理想的です。そこでテープ類を使うことを思い付き、小さい機構にしたかったのでビニールテープを選びました。なんといっても3個で110円とコストパフォーマンスに優れています。ただし、やや小さくて扱いづらいという面もあります。

チェビシェフリンク機構を採用していますが、これは歩行の際に上下移動を少なくするためです。

フライホイールの回転を維持しつつ動力を効率よく脚に伝えるため、軸のブレやゴムの張り具合にはかなり気を遣いました。ただ、結局軸はブレブレだったのですが……。

今回はたまたまビニールテープが家にあり、使ってみたらうまくいったのですが、まだ1mほどしか移動できません。歩行時間や距離を伸ばすためには、設計の見直しだけではなくフライホイールの材料について再検討が必要でしょう。もっと大きなガムテープを使えば、より大きな躯体を動かせるかもしれません。

テープ以外の材料として単語帳などで使われているカードリングも試してみたのですが、5歩しか歩けませんでした。

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ロボットのデザインそのものが異なるので、一概にカードリング製フライホイールのせいとはいえませんが、明らかに真円ではないことが5歩しか歩けなかった一因かもしれません。これからもいろいろな材料を試していきたいと思います。

第13回の研究発表は以上です。次回もお楽しみに!


企画・制作:片山均
取材・文:三浦一紀

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