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身近なモノで、あるある工作

IKEAの青いバッグをリメイクしよう!

さあ、新しい連載が始まります。その名も「身近なモノで、あるある工作」。通称「あるある工作」です。

どんな企画かと言いますと、僕たちの身の回りにあるごく普通のものを使って工作をしようというもの。とても分かりやすいですね。レギュレーションは以下の2つ。

  • お題の材料を使う
  • 実用的なものを作る

たったこれだけです。簡単そうでしょ? そして第1回の材料は「IKEAのバッグ」です。みんな大好きIKEAのバッグで、いったいどんなものが完成するのでしょうか。

まずはメンバーのご紹介から

この「あるある工作」のメンバーは以下の4人です。

写真左から

泉田隆介 a.k.a poipoi さん
マニュファクチュアという屋号で活動するフリーランスプロトタイプメイカー。既存企業の新規事業プロジェクトやスタートアップ企業に向けてプロトタイプ製作を支援したり、体験型広告のテクニカルディレクションなどを行う本業の傍ら、たまに工作やワークショップをしたりする髪の長いおじさん。

江口壮哉さん
3Dプリンターが大好きな大学生。工業高校からデザインの大学に進み“ファブエンジニア”として、新たなデザインを生み出すデジタルファブリケーション機材の開発を行っている。3Dプリンターの可能性を信じて毎日のようにキャリブレーションをしているので、一向に研究が進まない。

ひとしんしさん
世の中を台無しにするようなアイデアとクリエーションを創出するひと。会社員をしながらinspireをnextしつづけている。

武井めぐみさん
ハンドメイドとデジタルファブリケーションの境目で、「無いなら作る」を基本姿勢に活動しているデザイナー。個人的にハンドメイドプロダクトを製作するほか、デザイン学校で「手で作り考えることの、楽しさと大切さ」を教える教員もしています。

今回は初回ということで4人全員登場していますが、次回以降は4人のなかから3人が参加する予定となっております。

みなさん、作っていただいた作品を持っていますが、ブルー一色! 当たり前ですけどね。さて、それではどんな作品なのか。お一人ずつ解説していただきましょう。

電源タップも内蔵してる! 自分専用ノートPCキャリングバッグ

トップバッターは泉田さんです。作品は「PCキャリングバッグ」。泉田さんは自宅で仕事をしています。仕事をするとき、作業部屋とリビングを気分によって行ったり来たりすることが多いため、そのときにノートPCなどを手軽に運べるケースを今回作ったということ。うん、なんか上野とかにいそうな感じです。

バッグの全景はこちら。側面にあるのはなんでしょう。

電源タップです。12口もあります。充電し放題ですね。

中身はこんな感じ。左側がノートPCのスペース。泉田さんは15インチのノートPCをお使いのため、かなり大きめのサイズです。緩衝材は入っていないので、ノートPCはケースに入れています。

中央は電源タップのスペース。この電源タップもIKEAで購入したものです。これは完全に固定されています。右側はACアダプタやトラックボールの収納スペース。その下が小物入れになっています。このバッグ、底面はありません。くるっと巻くような感じで使います。

それでは、製作過程のご紹介を。

こちらはラフスケッチ。取っ手の部分の形状が何パターンかありますね。最終形は右下のもののようです。

まずは紙で試作。収納物の寸法を測り、最適なポケットを作っていきます。

設計図に従ってIKEAの袋を切り出し、それぞれマステ(マスキングテープ)で仮止めします。なお、今回はミシンを使わずに、はんだごての熱で融着する方法にトライしたそうです。

「熱で融着するとき、温度条件がすごくシビアだったんですよ。熱すぎると穴が空き、温度が低いと2枚重ねたうちの表側しか溶けないという感じで。試行錯誤を繰り返して230度くらいがちょうどいいというのを見つけました」(泉田さん)

また、はんだごてを動かすスピードも重要とのこと。速すぎると融着しないとのこと。最適なスピードを探すのに夜通しはんだごてを左から右へ動かしていたとか……。世の中のほとんどの人にとってはどうでもいいことですが、IKEAバッグ工作をやる人にとってはかなり有用なテクニックです。

最適な温度とスピードで融着した結果、きれいに取り付けられました。

取っ手の部分と底には補強とファッション性を兼ねて袋の取っ手部分の布地を使いました。この辺りはグルーガンを使って接着しています。

問題は強度。15インチのノートPCはなかなかの重さがあるので、それに耐えられるかどうかが心配ということ。まだまだ改良の余地はありそうです。

熱による収縮を利用したiPhoneケース&アウトドアに便利な折りたたみイス

お次は江口さん。まずはこちら。iPhoneケースです。ちょっと変わった形をしていますね。

「ヒートガンでIKEAの袋を溶かして、その感じでスマホケースが作れないかなと思ってやってみました。iPhoneに両面テープでIKEAのバッグを貼ってヒートガンを当てると、両面テープの部分は溶けずにそれ以外の部分が縮むので、いろいろテストをしました」(江口さん)

なるほど。ビニールの特性を活かした工作なんですね。

いろいろ試した結果がこちら。決してゴミではありません。プロトタイプです。実は江口さん、IKEAのバッグの質感と縮んだ感じから、革のような風合いを狙っていたそう。

「塗装したら縮んだ感じが革っぽくなるかと思ってやってみたんですが、なんか安っぽくなっちゃって」(江口さん)

ということで、そのテストしたものがこちら。

うーん、革っぽく見えなくもないですが、イメージとはちょっと違ったかな。でも、その着眼点は素晴らしいと思います。もっと色が濃かったら、ワニ革とかに見えないかな……。

もう一品がこちら。折りたたみイスです。IKEAのバッグを座面にあしらっています。このベースとなっているのは……。

ダイソーの折りたたみイス。200円。これの座面をIKEAのバッグにすれば、IKEA好きの折りたたみイスに早変わりというわけです。

「IKEAのバッグを切って縫い付けたんですが、折り目がなかなか付かないんですよ。そこで、家にあったストレートパーマをかけるためのアイロンを使ってみたら、きれいに折り目が付きました」(江口さん)

IKEAバッグ工作のテクニックがまた飛び出しました。それでは、イスに座っていただきましょうか。

「まだ座ってないんで、強度がわかんないんですよね……」(江口さん)

ということで、おっかなびっくり座ってもらいましたが、大丈夫なようです。ただ、なんだかコンビニの前で座っている人みたいな感じになってますね。これからの季節、アウトドアで活躍しそうなイスです。

心が豊かになるIKEAのブルーベア

3番目はひとしんしさんです。何を作ってきたのかと思ったら、クマのぬいぐるみです。実用的なものだと言っているのに……。

「かわいいという実用性があります。心が豊かになります」(ひとしんしさん)

そ、そうですね。

IKEAバッグ製ということで、青いクマです。ブルーベア。ちゃんとIKEAのリボンをしていて、おしゃれさんです。

おしりには、バッグに付いていたタグを流用。これがあるとIKEAで売っているぬいぐるみのように思えます。

製作にあたって、まずはFusion 360でクマのぬいぐるみのモデルを作成(ひとしんしオリジナル)。

それを展開図にするアドインを使って展開図を作りました。

この展開図をIKEAバッグから切り出した300×300mmの生地に転写するのですが、布のようにチャコペンなどが使えないため、なんとUVプリンターで型紙の線を印刷するという力技に。ここまでで丸1日かかったそうです。

「UVプリンターのインクがあまり定着しなかったのですが、縫うときだけ持ってくれればいいので十分使えました」(ひとしんしさん)

あとはひたすらミシンで縫っていきます。通常の布と違いポリプロピレンなのであまり伸びなかったため、思ったような丸さにならなかったとのこと。でも手作り感があっていいですよ。

また、IKEAのバッグには裏表があるということに後から気づいたようです。裏地にはフィルムが貼ってあり、防水になっているんですね。そのため、顔の左右で若干色が違っています。目と鼻は100円ショップで購入したもの。近くで見ると意外とかわいいのは、目と鼻が市販のものだからですかね。

自分で作ったぬいぐるみは子どものようにかわいいのでしょう。ひとしんしさんの表情が心なしか柔和に見えます。

IKEAバッグを布地として使えるか? にチャレンジした3品

最後は武井さんです。なんと3つも作ってきてくれました。

まずはポーチです。クラッチバッグのような感じです。実用性高そう。

「今回はIKEAのバッグを布素材のように使ったらどこまでいけるのか試してみました」(武井さん)

とのこと。このポーチのボタン部分は、くるみボタンを使っています。特に加工せずIKEAのビニールをぴったりボタンに貼り付けることができたそう。意外とやるな、IKEAバッグ。ちなみにひもは市販の靴ひもです。

ポーチの中はこのようになっています。中綿を入れてあるので、クッション性もあります。

タブレットなどを入れるのにもいいかも。

こちらはシューズバッグ。IKEAの取っ手部分を使い、出し入れしやすくしています。お子さんの上履き入れとかによさそう。

「IKEAバッグの裏には透明フィルムが貼ってあるんです。縫い目の部分もフィルムが貼ってあって風も水も通さないので、靴袋にいいと思うんですよ」(武井さん)

これはティッシュケース。展開図が真四角なものをということで作ったそう。

ベルト部分を開いてティッシュボックスを出し入れします。シンプルな構造ながら機能的です。

製作過程はこちら。

IKEAのバッグを解体後、生地に裁断線を描くのですが、チャコペンが使えないため油性マジックで代用。あとから除光液で落とせるので、問題ないとのこと。

IKEAの袋は一度穴を開けると元に戻らないため、まち針が使えません。そこで武井さんはマステで仮留め。その上からミシンをかけて、あとでビリビリ剥がしていったそうです。また、目玉クリップで留めておくのも有効だったとのこと。IKEAバッグ工作ならではのテクニックですね。

中に綿を入れてクッション性をアップ。試しにステッチを入れたものも作ったそうですが、これはクッションなどに向いているとのこと。縫い合わせは業務用ミシンで行いました。

「IKEAバッグで活用したいのが、この融着してある部分。口のところが融着してあるので、そこを生かすようにすれば、わざわざ縫い合わせたり融着したりする手間が省けます」(武井さん)

また、しわ伸ばしが難しいという話では、泉田さんが「コピー用紙を1枚挟んでアイロンをかけてしわ伸ばしをした」というテクニックを披露。またひとつ、IKEAバッグ工作テクニックが生まれました。

今日から使える! IKEAの青いバッグを改造するコツ

  • 融着させる温度条件がシビア。はんだごてで230度ぐらいに設定するのがちょうどいい。こてを動かすスピードにも気をつけて(泉田さん)
  • 折り目をつけるなら家庭用のストレートパーマアイロンを使うと便利(江口さん)
  • 生地の裏面には防水用フィルムが貼ってある(武井さん、ひとしんしさん)
  • まち針の代わりにマスキングテープを使うと便利(武井さん)

次の「あるある工作」のお題は段ボールだ!

ということで、第1回目の「あるある工作」。なかなかの力作がそろいました。IKEAバッグはバッグとしての使い勝手もいいですが、工作の素材としてもかなり優秀なのではないでしょうか。ただ、できあがったものが青ばっかりになりますけどね……。

さて、次回は「段ボール」を使ったあるある工作にチャレンジしていただきます。さあ、どんなものができあがってくるのでしょうか!? 今から楽しみですね。

次回の「あるある工作」でお会いしましょう!

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