新しいものづくりがわかるメディア

RSS


ギャル電きょうこのストリート電子工作

早起きするなら早寝に限る! チルタイムサステナブル金閣寺早起きタイマー ギャル電きょうこのストリート電子工作

電子工作に必要なものは、すべてストリートで学んだ。

わからなくたって作ればいい。パンキッシュで型破りなストリート系電子工作で注目されているギャル2人組電子工作ユニット「ギャル電」。その勢いはとどまるところを知りません。今こうしているときでも、おそらくやっちゃえ精神で何かを作っていることでしょう。

そのギャル電きょうこさんが、日常のあれやこれやを快適にするであろう何かを作るこの企画。毎回「なんだこれは?」というようなものを作ってくれていますが、今回も奇想天外摩訶不思議なものを作ってくれましたよ!

早起きがつらいなら夜早く寝ればいいじゃない!

ストリート工作の朝は早い。

「まあ、好きで始めたことだからね」

そう言いながら、きょうこさんはベッドから出てくる気配はない。ベッドの中でインドのEDM動画をiPadで見ながら2時間くらい過ごしている。

「毎日毎日早起きしなきゃならないのってたいへんだよね。私も最近、早起きしなきゃいけなくなったんだけど、テンサゲすぎ↓」

そういうきょうこさんの目元は、寝不足のせいなのかちょっと腫れぼったいですね。早起きがつらそうです。

まあ、朝起きるための定番アイテムといえば、目覚まし時計ですよね。めちゃくちゃ音の大きなアラームを複数セットするとかしたら起きられるんじゃないですか?

「まあ、それが王道だとは思うんだけど、めっちゃつらい。もう時代は令和になったことだし、いつまでも目覚まし時計なんて20世紀の遺物に頼ってるの、おかしくね? そんなもん、早起きのテクニックでもなんでもないじゃん」

まあ、確かにこれだけテクノロジーが進化しているのに、僕らは朝起きるのにまだ目覚まし時計を使っています。何も変わってない。

「それでさ、考えたんだよ。早起きするためにはどうしたらいいのかなって。その答えが見つかったのね。早起きの極意は前の日に早く寝る! そんだけ。いい早起きができるかどうかは夜寝るときにかかってるってことだね」

まあ、理屈としてはわかります。早寝すれば早起きしやすくなりますね。目覚めもスッキリですよ。

「でもさ、家に帰ってくると社会から解放された気分になるじゃん。そのせいで夜には明日の朝のことなんて忘れちゃうんだよ。それでネトフリ見たりYouTube見たり、ゲームしたりしちゃうから、早起きがつらいんだ。そんなことをしてやべえやべえって夜遅く寝ると、朝になると後悔しちゃう」

確かに、その負のループの繰り返しですよね。

「だから、サステナブルな早起きのために、夜早く寝るためのガジェットが超大事じゃね?」

なるほど。確かにそうですね。朝起きるためのガジェットから、夜早く寝るためのガジェットにマインドチェンジってわけですね。

ということで、きょうこさんが作ったのがコレ。「チルタイムサステナブル金閣寺早起きタイマー」です。

photo

き、金閣寺ですか…。なんで金閣寺?

「かっこいいじゃん。庭がない生活をしてるけど、机の上にこれがあったら、もうそれだけで癒やされる。自分の部屋に金閣寺だよ?」

まあ、ちょっとはテンション上がりますかね。僕にはなぜか三島由紀夫の影がチラつきますが…。

「あと、金閣寺のためなら早寝早起きだってつらくないと思うんだ」

そういうもんですか。じゃあ実際にどういう風に動くのか見てみましょう。

液晶には時間が表示されて、設定した時間になると色が変わって謎のメッセージが表示されます。そして、いよいよ寝る時間になったら、金閣寺がぐるんぐるん回ります。こうなったらもう寝ましょうということのよう。

「金閣寺が、夜の時間の過ごし方をサポートしてくれるってわけ」

金閣寺と過ごす夜。それはそれでテンション上がりそうですね。では、製作過程を見ていきましょう。

金閣寺が夜のチルタイムをサポート

photo

これが最初のアイデアメモ。「ギャルマインドフルネス早おきかれさんすいタイマー」という名前だったよう。基本的なコンセプトは変わっていませんが、枯山水が金閣寺にグレードアップしたようです。

photo

で、メインとなる金閣寺(のプラモデル)。

photo

ゴールドメッキ仕上げ。これを普通に組んでいきます。

「メッキ仕上げだから、接着剤が付きづらかったね。金の塗装が取れちゃうんだよね」

結構気を遣って作る必要があったようです。

photo

で、こちらが駆動部分。定番のタミヤモーターにLEDシール、LED7セグディスプレイなどなどがつながっています。

今回のキモがこちら。RTC(リアルタイムクロック)モジュールです。

photo

「このモジュールで取得した時計の時間をもとに、LEDの光り方とLED7セグディスプレイの表示を変えていくっていうわけ」

なるほど。ボタン電池は?

「これは初登場。このボタン電池は時間を保持するメモリーのためのもの」

ああ、パソコンのマザーボードなんかにありましたね。この電池が切れると時間が狂っちゃうんですよ。それか。

photo

あとは基板とケーブルをはんだ付け。

photo

もちろんホットボンドも使います。絶縁はもちろん接着にもホットボンドがスト工流。

photo

まだまだホットボンド。ひとしきり作業が終わったら、組み上げていきます。

photo

タミヤのモーターの空き箱を台座に再利用。環境に優しい。でも、マーキングとかしないんですね。

「マジック忘れちゃったからまあいいかっていう。この辺かなーって感じで」

photo

穴が空きました。ここにモーターの軸を通します。

photo

モーターの軸にワッシャーを取り付けます。ここに金閣寺を載せるという計画。

photo

モーターの軸を通して、ワッシャーをはめて…。

「きれいに入った!」

いや、そんな喜ぶところじゃないような気もしますが。まあ、小さな喜びの積み重ねって大事ですしね。

photo

「このワッシャーに金閣寺を取り付ける」

photo

金閣寺がぐるぐる回るので、この調整は慎重に行います。

photo

ホットボンドで接着。

「ここが一番大事。今回の最大の山場かもしれない。回転するって緊張する」

でも、ワッシャーが小さいためかちょっと不安定。

「それは私のチョイスミス。ホットボンドの盛りを頑張って挽回する」

ホットボンドがすべてを解決してくれるスタイル、さすが。

photo

台座(の空き箱)と金閣寺の庭部分を接着。ここもホットボンド。接着剤なんて使いません。

photo

モーターは台座の中に入れます。こうすることで見た目がスッキリするはず。

でも、なんで金閣寺を回転させようと思ったんですか? 別に回らなくもいいような気もしますが。

「今、回転するものってどんどんなくなってるじゃん。回転レストランとか。だから今こそ回転の力が必要なんだよ。今、金閣寺って改修工事しているから、これを見た関係者が回転いいねってなって、もしかしたら金閣寺が回るようになるかもしれない」

お、おう…。

photo

金閣寺への配線は台座の穴を通して行います。

photo

LEDテープを適切な場所に配置。

photo

金閣寺がライトアップされます。接着はホットボンド。

photo

最終的には金閣寺プラモに付属のアクリルケースをかぶせるようです。まずはサイズが合うかどうかフィッティング(先にやっておけばいいのに…)。

「この金閣寺プラモ、回転機構プラスしても対応できるアクリルケースがついてて最高さしかないじゃん。みんなも買ったほうがいい。」

photo

台座の部分は金色のシールで覆います。一気に高級感がアップ。そして先ほどのアクリルケースをかぶせればいったん完成です。

photo

配線丸見えですし、アクリルケースに挟まってますね…。

「配線が出てるのはしょうがない。サイバーパンクっていうことで」

これからは、配線見えてる場合はサイバーパンクということにしましょう。

金閣寺からのメッセージがLED7セグディスプレイに表示される!?

photo

「あとは、プログラムを書いて送ればOK」

ちょっとかっこいいですね。ちなみに、今回のプログラムはこんな感じ。

photo

このプログラムは以下のように動作するはずです。

21時
ご飯タイム(LEDが黄緑色に光る)
金閣寺からのメッセージがLED7セグディスプレイに表示される。
多分「Dinner」っていってる

22時
お風呂タイム(LEDがダークターコイズ 色に光る)
金閣寺からのメッセージがLED7セグディスプレイに表示される。
多分「Furo」っていってる

23時
チルタイム(LEDがピンクに光る)
金閣寺からのメッセージがLED7セグディスプレイに表示される。
多分「nena」(寝な)っていってる

0時
一日の終わり(LEDが白く光る)
金閣寺からのメッセージがLED7セグディスプレイに表示される。
「End」っていってる

これ以外のときは、LED7セグディスプレイに現在時刻が表示されます。

photo

確かに、時刻が表示されます。LED7セグディスプレイがまともに動作してるの、スト工では珍しいですね。

photo

ただし、設定した時間に金閣寺からのメッセージとして表示される文字列は、見事に文字化けしています。ちょっと安心。

「LED7セグディスプレイにアルファベットでDinnerとかFuroとか表示させるようにプログラムしたつもりなんだけど、LED7セグディスプレイに文字表示させるのって難しいんだよね。だからまともに表示されていない。でも金閣寺からのメッセージだから私たちには読めないのかなって」

発想の転換! まあ、色はちゃんと設定した通りになってますし、このメッセージが謎な感じが、時空を超えて金閣寺からメッセージが届いている感じがしてそれはそれでいいかもしれませんね。

「23時になるとLEDがピンクになってチルタイム。このタイミングでヨガとかやんなっていう。丁寧な暮らしってやつだね。私は1回もやったことないけど。でも、腰痛は怖いからストレッチくらいはしなよっていう金閣寺からのメッセージ。腰痛マジ怖い」

0時はLEDが白く光って、金閣寺がぐるんぐるん回ります。これが就寝の合図。

「金閣寺がぐるんぐるん回るとちょっと怖い感じもするから、これを見る前に寝ようっていう気になると早寝できるんじゃね?」

まあ、数日使ったらぐるんぐるんする金閣寺にも飽きるでしょうから、そうなるかもしれませんね。

できることを1個ずつやっていこう

今回の製作において、きょうこさん的な反省点は?

「ほんとは寝るまでの時間のカウントダウンタイマーを考えていたんだけど、カウントダウンのプログラムが複雑すぎて理解できなかった。でも、毎日毎日寝るまでの時間をカウントダウンされると病むってことに気付いたから、それはそれでよかったなと思う」

ちょっと圧が強い感じしますね、それは。

「あとね、LED7セグディスプレイでアルファベットを表示させるのは気合いが必要。今回はなんでか全然関係ない文字が表示されたけど、金閣寺のメッセージを人間が理解するのは所詮無理ってことなんだと思う」

金閣寺の言うことですからね。人間がわからないのもしょうがない。

「RTCは時計を作るのはめっちゃ簡単だけど、アラートとか割り込みの概念みたいなやつはまだまだハードルが私には高すぎだった。割り込みとかが絡むやつはスマートに書いてる作例が多くて、全然イミフじゃねってなって理解できなさに落ち込んだりもしたけれど、とりあえず欲望のままに“RTCから取得した時間が○○時だったら~をする”という素直な気持ちでベタなプログラムを書いたら動いたので、できることから1個ずつやってこうって気持ちになった

気付きがあってよかったですね。これからもスト工はできることを1個ずつやっていきましょう。

photo

ということで、今回のスト工はこれにて終了。早起きができずに悩んでいる人は、参考にして作ってみてください。金閣寺の部分は何を載せてもOK! 自分なりにカスタマイズすれば楽しくなること間違いなしです。

では、また次回お会いしましょう!

ギャル電 きょうこ

今のギャルは電子工作する時代! ギャルによるギャルのための電子工作を提案するユニット「ギャル電」で活動している。 最近ハマってる飲み物はトマトジュース(無塩)

Twitter /  Instragram  /  youtube

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る