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ZMP谷口社長に聞く

「クルマの価値を変えるレボリューションを起こす」

現在、クルマの電化・コンピュータ化が急速に進んでいるが、その先にあるのがクルマの自動運転・自動制御だ。数多くの自動車メーカーがひしめく日本にあって、その自動制御技術開発において、大メーカーから大学など研究施設までがその先進性を注目するベンチャー企業がゼットエムピー(ZMP)だ。社長の谷口恒氏は、アンチロックブレーキの開発エンジニアから、商社の営業、インターネットコンテンツのマネジメント会社を起業したのち、そこから家庭用ロボットの開発を目指してZMPを興したという経歴の持ち主だ。インタビュー後編では、クルマの自動運転への思いや、インターネットに繋がることで激変するクルマの未来について伺った。(撮影:水戸秀一)

前編はこちらから

4.これからのクルマにインターネットとの接続は必須

——日本の次世代自動運転・安全技術の開発現場の多くに、ZMPの技術が使われていると伺いました。ZMPが提供する技術によって、クルマはどのような方向に進んでいくのでしょうか。

これからのクルマは二極化していくでしょう。ひとつはアジアのモータリゼーションに対応するためのクルマの低価格化。クルマ全体が電動化されコンピュータ化されていますから、もう何年かすれば劇的にもっと安くてよいクルマができるようになると思います。もうひとつは嗜好品化。ファッションやステータスとしての高級車ですね。僕らの最終ゴールは完全自動運転ですが、最初は高級車から入っていずれ低価格車にも入っていくでしょう。

ここは大事な点なのですが、ドライバーが操作しない「完全自動運転」はありなんです。それに対して、ドライバーの運転中に自動運転機能が働く場合、どちらを優先するかが問題になります。例えば、ドライバーが気づかない危険があって自動的に安全技術が働いた、しかしその瞬間、ドライバーも気づいて操作を始めたらどうする、ということです。

これが問題となるのは、ドライバーが普段どんな操作をしていて、事故が起きる時にどんな操作をしているか正確に分かっていないからなんです。事故が起きても警察が現場に行って線ひいて距離を測って写真を撮って終わりで、あとは事情聴取ですから詳しくは分からない。しかし、スマートフォンで転送された車載データをクラウドで分析すれば、ユーザーがどんな操作をするかが分り(行動モデル)、それに対して最適な対応ができます。ところが、クルマの場合はまだ行動モデルができていません。

いろんな自動運転技術や要素について研究していますが、それをドライバーの状況に応じてどう提供するのが最適なのかということに尽きるのです。最適化のためには、クルマをインターネットに接続してドライバーの行動をモデル化することが不可欠です。 

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