鳥人間インタビュー
好奇心を原動力にした挑戦を−鳥人間のエンジニア夫婦が考えるハッカーライフ
国際宇宙ステーションの位置をリアルタイムにレーザーで示してくれる「飛行石」や、人工衛星の位置をARで教えてくれるアプリ「ToriSat」、オープンソースハードウェアで開発したDNA増幅器「NinjaPCR」などを開発してきた鳥人間は、エンジニアのお二人が設立した会社だ。常に新しいアイデアを形にしようと取り組んでいる久川真吾氏と郷田まり子氏夫妻に、日々の過ごし方や発想法、ハッカーとしての生き方についてお話を伺った。(撮影:加藤甫)
エンジニア夫婦が運営する鳥人間
ハードウェアエンジニア夫婦として知られる鳥人間だが、二人ともソフトウェアの出身なのだという。久川真吾氏はバックエンドのエンジニアで、Webサービス開発の企業のCTOなどを務めていた。妻の郷田まり子氏は、フロントエンドエンジニアとして活動していた。同じ会社に勤務していた二人は、ソフトウェアの開発だけでなくハードウェアも開発したいと考え、7年前に独立して現在の鳥人間を設立した。社名の鳥人間は、人力飛行機の飛行距離などを競うコンテストに由来する。久川氏は学生時代に航空力学などを学びながら鳥人間コンテストで準優勝をした経験をもつ。
独立した当初は、受託開発などを行いながら空いた時間でさまざまな開発を行ってきた。
「とにかく新しいものが好きで、専門知識がなくてもとりあえず触ってみたい、やってみたいという性格なんです」と郷田氏。久川氏も「まずは遊びで始めながら、そこから少しずつ学ぼうとしています。いきなりすごいものは作れなくても、地道に自分たちができることを増やしていくこと、できることの幅が広がって楽しくなれます」と語る。
なぜ、ソフトウェアからハードウェアに移行したのか。そこには、サービスを開発していく中で感じた疑問があったからだ。
「たくさんのウェブサービスやアプリがありますが、ディスプレイだけで何かを表現したり楽しませたりするのは限界があるんじゃないか。リアルなものとソフトウェアが連携することで、いろいろな新しい可能性とアイデアが生まれてくるのではと考え、ハードウェアへ興味をもったのです」(久川氏)