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オリィ研究所 吉藤健太朗インタビュー

オリィ研究所 吉藤健太朗--課題解決型ものづくりのポイントは短期間のプロジェクトを一人で始めること

コミュニケーション支援ロボット「OriHime」を開発したオリィ研究所 所長の吉藤健太朗氏が考える、ものづくりにおいてやってはけないこと。それは、「時間をかけること」、「チームを組んでから取りかかること」、そして「とりあえず作ってみること」である。なぜそうしてはいけないのか? 課題解決を目的とするものづくりを成功させるためのアドバイスを伺ってみた。(撮影:加藤甫)

分身ロボットが「孤独の解消」を解決

オリィ研究所の所長でOriHimeの開発者でもある吉藤氏。幼少期に体が弱かったためになかなか学校に行けず引きこもりになった経験から、孤独の解消を生涯の課題とすることを決心した。 オリィ研究所の所長でOriHimeの開発者でもある吉藤氏。幼少期に体が弱かったためになかなか学校に行けず引きこもりになった経験から、孤独の解消を生涯の課題とすることを決心した。

吉藤氏は自身の経験が基になり、病気や事故などによって部屋の外に出られない人たちの孤独を解消してあげたいと考えていた。その課題を解決するために高等専門学校で人工知能などの勉強を始めたが、一方で、自身が会長を務める奈良文化折紙会で人間同士の交流に触れているうちに考え方が変わってきたという。「孤独の解消という課題はテクノロジーだけでなく、何より人間同士のコミュニケーションによって解決するべきだと思うようになりました」

そこで、自分の代わりになって外に出かけ、その場で人と会話をしたり一緒に景色を眺めることができる分身がいれば、孤独が解消できると考えるようになった。「その分身を、インターネットとロボットテクノロジーの組合せによって作ることにしたのです」

とはいえ、カメラ、マイク、スピーカーを使い、インターネット経由で遠方の人と会話をしたり景色を見たりすることなら、ロボットでなくてもタブレット端末とSkypeなどを使えば簡単にできる。「それでは、外出を体験している感覚にはなりません。やはり、誰かがそこにいると感じさせる人型のロボットを、自分の身代わりに外出させることが重要なのです」

こうして、部屋の中から出られない人たちを外に連れ出してあげるコミュニケーション支援ロボット、OriHimeのコンセプトが誕生した。 

コミュニケーション支援ロボットOriHime。写真は現在開発中の試作機で、本体にインテルのスティック型PC「Compute Stick」や予備バッテリーなどを組み込むことができる。 コミュニケーション支援ロボットOriHime。写真は現在開発中の試作機で、本体にインテルのスティック型PC「Compute Stick」や予備バッテリーなどを組み込むことができる。
本取材では、オリィ研究所広報担当の番田雄太さんが盛岡市からOriHimeでインタビューに参加した。番田さんは幼少時の交通事故による頸髄損傷で、20年以上寝たきりの生活を送るOriHimeユーザーでもある。首から下が動かせない番田さんは、顎を使ってOriHimeを操作することで、日本国内だけでなく海外にも出かけている。「OriHimeを使えば、寝たきりの状態でも社会に参加することができるようになるのです」(吉藤氏) 本取材では、オリィ研究所広報担当の番田雄太さんが盛岡市からOriHimeでインタビューに参加した。番田さんは幼少時の交通事故による頸髄損傷で、20年以上寝たきりの生活を送るOriHimeユーザーでもある。首から下が動かせない番田さんは、顎を使ってOriHimeを操作することで、日本国内だけでなく海外にも出かけている。「OriHimeを使えば、寝たきりの状態でも社会に参加することができるようになるのです」(吉藤氏)

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