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オリィ研究所 吉藤健太朗インタビュー

オリィ研究所 吉藤健太朗--課題解決型ものづくりのポイントは短期間のプロジェクトを一人で始めること

愛着が湧く前に捨てられるようにする

ものづくりに1年以上かかってしまうと、完成したものに対して愛着が湧いてくるだろう。しかし、それが失敗の原因になると吉藤氏は語る。「時間をかけたものは、せっかく苦労して作ったんだから誰かに使ってもらいたいという気持ちになってくるでしょう。でも、それでは先に技術ありきになってしまい、ものづくりとしては最悪なのです。とにかく早く作る。そうすれば、失敗しても愛着を持つ前に捨てられるのです」

吉藤氏はさらに、最初から大規模なものを作ろうとしないことも重要なポイントであるという。「初めは小さなものをぱぱっと作り、まずそれを必要としている人に見せて、本当に使ってもらえるのかどうかを判断してもらい、だめだったらそこで止める。そして、使ってもらえそうだったら改良していく。そういったトライ&エラーを数多くこなすことが大切です」

まさに、リーンスタートアップの手法である。その過程の中で、今ある課題は本当にものづくりじゃないと解決できないのかというところまで考え、例えばサービスで解決できるような道が見つかったならば、そちらに方向を変えていくことも必要だと吉藤氏は指摘する。 

吉藤氏はOriHimeに表情を付けるため、演劇やパントマイムなども学んでいる。ロボット作りには物理学などを学ぶだけでなく、体の動きが人からどう認識されるのかを体感することも大切だという。 吉藤氏はOriHimeに表情を付けるため、演劇やパントマイムなども学んでいる。ロボット作りには物理学などを学ぶだけでなく、体の動きが人からどう認識されるのかを体感することも大切だという。

ビジョンが固まるまではチームを作らない

ものづくりにはチームワークも必要になってくる。しかし、吉藤氏は最初からチームを組んでものづくりを始めるのではなく、まずは一人で始めることも必要だと語る。「よく、チームを組んでから何かを始めようとする人たちがいますが、私は一人でできないことはチームを組んでもできないと思っています。もちろん、製品として完成度を高めていくためにはいつかはチームを作る必要がありますが、その時にしっかりと自分のビジョンをチームに伝えるためにも、まずは一人で始めるべきだと思っています」

オリィ研究所は、吉藤氏が一人でOriHimeを作り始めて2年ほど経った頃に、そのコンセプトを理解してビジネスとして広げていこうと言ってくれた現在のCFOと、同じく現在CTOを務めるソフトウェアエンジニアとの出会いによって設立された。「ものづくりを事業化する場合も、ビジョンやコンセプトが固まっていない段階で一緒に会社を作ろうと声をかけてしまうと、いろいろと口を出されてしまい、あれが作りたいこれが作りたいとなって、せっかくのアイデアがありきたりなものになってしまいます」

あるベンチャーキャピタルから吉藤氏に、「君のものづくりの技術はなかなか面白いから出資したい」という提案があった時も、「私がやりたいのは孤独の解消であり、ものづくりではない」ということから支援を断ることがあった。「その時に支援を受け入れていたら、今のOriHimeはなかったと思っています」 

たとえメンバーが去っていっても、一人でもやるという気持ちが大切であると語る吉藤氏。そういう気持ちをもっていると、また仲間が集まってくるという。 たとえメンバーが去っていっても、一人でもやるという気持ちが大切であると語る吉藤氏。そういう気持ちをもっていると、また仲間が集まってくるという。

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