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ユニバーサル・サウンドデザイン 中石真一路氏インタビュー

健聴者が難聴者に歩み寄るスピーカー“comuoon”を生み出した本物を極めるものづくり

難聴者が相手の声が聴き取りやすいと感じるスピーカーを作りたい。その思いを強く持ち続けることで、軽度/中等度難聴者の聴こえを改善する卓上型会話支援機器「comuoon(コミューン)」を開発したユニバーサル・サウンドデザインの中石真一路氏。もともとはレコード会社にいながら、なぜ、社会貢献にも繋がる課題解決型のものづくりに人生をかけようと思ったのか。さらに、過去に例がないプロダクトのために、足で情報を集めて本物に仕上げていった苦労などについて伺った。(撮影:加藤甫)

課題解決がきっかけとなったものづくり

ユニバーサル・サウンドデザインの創立者で代表取締役の中石真一路氏。 ユニバーサル・サウンドデザインの創立者で代表取締役の中石真一路氏。

中石氏の前職は、大手レコード会社勤務。中石氏はその頃、慶應義塾大学の武藤佳恭教授との出会いをきっかけに、コンサートなどで使うPA(音響拡声装置)の音をより遠くまで届けられるスピーカーを開発する新規プロジェクトを立ち上げることになった。しかしそのスピーカーは確かに遠くまで音を届けることはできたが、音質的にはコンサートなどで使用できるレベルに達していなかったため採用は見送られた。

「実はそのスピーカーは遠くまで音を届けること以外にも、難聴の人が音を聴き取りやすいという特徴がありました。自分の父親と祖母も難聴だったことから、PA機器としてではなく、なぜ難聴なのに聴き取りやすいんだろうという点に興味をもち、そのスピーカーについて研究させていただくことにしました」

中石氏は音楽と深い関わりを持つレコード会社にはいたが、音響工学の専門家ではなく、ましてや医師でもないので難聴の人の聴こえ方について知識があるわけではない。しかし、このきっかけから前述の新規プロジェクトの中で、なぜそのスピーカーだと音が聴き取りやすくなるのかということを検証し、どうすれば聴き取りやすい音を作ることができるのかというところまで研究することにした。

「そうなってくると、さらに聴き取りやすい音を出すことに特化したスピーカーを、自分たちの手で作ろうと考えるようになりました」

これが、中石氏のものづくりの原点である。もともと、ものを作ることを目的としたわけではない。どうすれば聴き取りやすい音を作ることができるのかという課題を解決するため手段として、ものづくりを始めたのだ。

聴こえを改善するスピーカーcomuoonの最新版「comuoon connect」は、スピーカー本体(左)と音声送信機(右)がセットになったワイヤレス対話支援システム。1台の音声送信機に対して4台のスピーカーを接続することができ、最大10m離れた位置で聴くことができる。複数台設置することで、より多くの人に音を届けたり、難聴のレベルに応じて置き方を工夫することができる。 聴こえを改善するスピーカーcomuoonの最新版「comuoon connect」は、スピーカー本体(左)と音声送信機(右)がセットになったワイヤレス対話支援システム。1台の音声送信機に対して4台のスピーカーを接続することができ、最大10m離れた位置で聴くことができる。複数台設置することで、より多くの人に音を届けたり、難聴のレベルに応じて置き方を工夫することができる。

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