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スマート農業センサSenSprout

導電性インクから世界の農業変革へ、既存品の10分の1の低コストを実現するスマート農業センサSenSproutが目指すもの

IoTに興味がある人たちが参加しやすいオープンな環境づくり

AgICの印刷技術を使った電子回路。プロトタイプ開発の期間が短縮され、プリント基板よりも低コストで開発できる。 AgICの印刷技術を使った電子回路。プロトタイプ開発の期間が短縮され、プリント基板よりも低コストで開発できる。

SenSproutを提供するSenSprout社は、三根氏が農業センサの事業化および農業に関わるインターネットサービスの開発運用を行うために起業した会社である。同社はAgICの印刷技術を使い、小さなプロダクトを作るノウハウを持っている人たちが集まってコストを抑えたものづくりを行っている。

3Dプリンタを利用して製造されるコンシューマ向けのファーストプロダクトは、クラウドファンディングでは45ドルでリターンし、通常価格でも55ドルで販売できるという。プロユース向けも開発しているが、市場で4、50万円するものを4、5万円で提供することを目指している。価格を10分の1に抑えられるようになったのは、通信機能を安く作るノウハウがあるからだ。

「通信機能が付いているものを安く作るノウハウを持っているメーカーは、まだ多くはありません。大手が農業センサを作るとどうしても高くなってしまいますが、設計によって通信の部分をコストダウンすれば、もっと安く提供できるようになります」

三根氏が東京大学の川原准教授、同大学研究員の西岡一洋氏らと3名でプロジェクトを立ち上げ、後に元三菱電機やソニーの社員、アメリカの大学でドクターを取得した研究員にも参加してもらい、現在15名くらいがプロジェクトに取り組んでいる。放課後プロジェクトのような関わり方の人もいれば、コアで動いている人もいる。その様子を三根氏は「Cerevoを立ち上げた時もこんな感じで進めていました」と振り返る。

「IoTのアイデアはあるけれど、それを作れない人が多い。社内でもなかなか予算が取れません。ここには、そういう環境の中でもなにかものを作ってみたいと思っているエンジニアが集まってきます。知り合いで興味がある人も誘ってくださいというと、そこからまた広がっていきます」

プロジェクト自体をオープンにして、一度打ち合わせに参加してみたいという人にも、技術的な進捗やロードマップを共有できるようにしている。IoTベンチャーがどこで躓くのか、品質がどうして上がらないのかという課題は、技術というよりは量産経験とノウハウが何よりも重要だと考える。そのノウハウに関しても、参加している人からアドバイスを受けているという。 

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