MUDSNAIL 藤本有輝インタビュー
シューズからクルマまで——3Dテクノロジーでコンセプトを形にするMUDSNAIL藤本有輝とは
コレクションテーマからの製作
「WIDESHORTSLIMLONG」を皮切りに、ANREALAGEとMUDSNAILのコラボレーションが始まった。次に挑戦したのは、パンプスのヒールだった。
藤本 森永さんから次のコレクションのテーマは「LOW」(低解像度)なんだという話を聞いたときに「靴作れる?」って聞かれて、全然作り方を知らなかったんですけど「はい」って答えて。
その時僕、テーマだけ聞いてシューズやアクセサリーを作ってくる奴がいたらやばいなって思ったんですよ。それでアクセサリーのデザインデータをたくさん作って、「森永さん、こんなアクセサリーを靴と一緒に並べたらどうですか」って提案してみたんです。そしたら靴とネックレスとブローチが採用されて。そのコレクションでは、ショップの内装にも関わらせてもらいました。その次のコレクションから「アクセサリーと靴とバックと……」みたいな感じでオーダーをしてもらえるようになって。とてもありがたいし、良い経験をさせてもらっています。
「REFLECT」や「BONE」「TIME」——ANREALAGEとMUDSNAILのコラボレーションは、こういったコレクションのテーマから始まる。藤本さんは、オーダーを受けたその日からショーまでの日数を逆算し、いかにこなすか脳をフル回転させていく。
藤本 コレクションのテーマから森永さんのイメージを想像しながらデザインデータ作って送り、OKが出たら作り始める感じです。ショーの間近になってくると時間との戦いで、ショーの当日に納品できたら優秀な方です。
デザインデータを実際に形にする職人たちも大変だ。
藤本 バッグやシューズは下町の職人さんに作ってもらうことが多いんですけど、コレクションのスケジュール感を理解してくださる方じゃないと、なかなか一緒に取り組むのが難しくて、今お付き合いしている方たちは、コレクション前に「納期まで1週間なんですけど」みたいな感じで行くと「面白いこというね」とか言いながらやってくれる。葛飾、浅草界隈にはそういう感じでやってくださる方たちがいらっしゃるんです。金型職人さんなんかは、10年来のお付き合いです。
ANREALAGEでは、コレクションに合わせて内装を変えている。その後も、残像をイメージした「TIME」や骨組みを表したシリーズ「BONE」など、ユニークなアイテムがたくさん生まれた。