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位置情報×IoTの最前線

3GだけでなくLoRaWANにも対応、位置情報がリアルタイムに分かるGPSトラッカー——ジーアイサプライ

LoRaWANのGPSトラッカーも提供

このようなSIMロックフリーの3G/GPSトラッカーを提供してきた同社が最近力を入れているのが、IoT用の新無線技術「LoRaWAN」に対応したGPSトラッカーだ。
LoRaWANは、低コストかつ省電力で広いエリアをカバーできるIoT向け無線ネットワーク「LPWA(Low Power Wide Area)」の一種で、同じく920MHz帯を使用するSIGFOXに比べると、ゲートウェイを必要な場所に自由に設置できるのが特徴だ。また、仕様がオープンで、インターネット上に情報が豊富に存在する点も心強い。

「SIGFOXはLoRaWANに比べてモジュール単価は安いものの、1送信あたりのサイズは12バイト、送信回数は1日最大140回までに限られているため、当社が提供しているゴルフカートの位置把握システムなど、送信を毎分行わなければならないようなケースでは使用できません。
移動体の位置情報を把握する用途で、高い更新頻度が必要な場合には向かないと思います。また、転送速度についても、SIGFOXは100bpsに限られますが、LoRaWANなら0.3~50kbpsの範囲で自由に選ぶことができます」(北岡氏)

LoRaWANは、エンドノード(端末)、ゲートウェイ、ネットワークサーバー、アプリケーションの4つの要素で構成されている。

「当社が扱うのは、エンドノードのカスタマイズとアプリケーションの2点です。
ただし、ゲートウェイとネットワークサーバーについては、本来であれば通信会社が取り組む領域ではあるものの、まだ十分にプラットフォームが確立されてはいません。
たとえば『老人ホームで高齢者にLoRa/GPSトラッカーを持たせて管理したいので、ゲートウェイを設置してください』という要望が来ても、設置してくれる企業はまだほとんどない状態のため、やむをえず弊社自身もネットワークサーバーを販売しています。
弊社としても、プラットフォームが整備されるのを待っている状況ですね」(北岡氏)

現在、同社はLoRaWAN/GPSトラッカーの完成品として「LT-100」、USBインターフェースのLoRaアダプタとして「LD-20」などの製品を提供している。これまで提供してきた3G/GPSトラッカーに対して、これらのLoRaWAN対応GPSトラッカーは、どのような位置付けになるのだろうか。

「3GとLoRaWANの使い分けについては、移動経路をモニタリングする必要があるかということによります。常にさまざまな場所へ移動している車両や人の位置を知りたいなら3Gを選ぶべきだし、『都内に倉庫が10カ所あり、車両がどこの倉庫にいるかどうかを知りたいだけで、倉庫間の経路は問わない』という場合であれば、LoRaWANのほうが適しています。また、ゴルフカートなどに搭載する場合、3Gでは1日使うとバッテリー残量がゼロになるところを、LoRaWANでは3割くらいしか消費されないので、LoRaWANを選ぶほうがいいと思います」

なお、工事現場や農家によるセンサー管理、介護施設内における高齢者の外出時の見まもりなど、特定のエリアに限った用途の場合、ジーアイサプライではLoRa Allianceの定めるLoRaWAN方式ではなく、独自フォーマットによる通信方式「LoRaM.O.S.T.」の利用を提案している。
同方式はLoRaWAN方式に比べてシステム構築が容易で、自由度の高い開発が可能であり、ネットワークサーバーの利用料金もかからず低コストで運用できる。3G、LoRaWAN、LoRaM.O.S.T.と、用途に合わせて最適な方式を提案できるのが同社の強みと言える。

「当社はもともと3Gトラッカーを提供していて、その中で『LoRaWANで十分』という顧客が4割ほどいたので、そのニーズに応えるためにLoRaWANのビジネスを始めました。
だから、『LoRaWANを使いたい』という顧客でも、場合によっては3Gをお薦めすることもあります。たとえばLoRaWANは、ゲートウェイが外にあったとしても、エンドノードを車の中に置くと、電波の到達距離は半分以下に下がってしまいます。だから、エンドノードを車のダッシュボードの上に置かなければいけないような案件ではLoRaWANはお薦めしていません。ゲートウェイが屋外でエンドノートは車内というケース、あるいはゲートウェイが屋内でエンドノートが屋外というケースでは著しく減衰します」(北岡氏)

LoRaWANを導入する上でもうひとつ注意すべきポイントは、エンドノードの設定とネットワークサーバーの組み合わせに相性があることだ。

「ネットワークサーバーと端末が、うまく設定で整合性を持っていないと、距離が出なかったり、データが欠損したりすることがあります。ネットワークサーバーによって設定項目が違うし、うまく整合性を取れたと思っても、端末が1台の場合は問題なくできることが40台ではできないといった事態もあります。弊社では、広いエリアでLoRaWAN端末や測定器をできるだけ多く接続した状態で、データの欠損率がどれくらいかという検証を、北海道にある本社の周辺で毎日行っています」(北岡氏)

現状ではネットワークサーバーごとにエンドノード(GPSトラッカー)の検証を行う必要があるため、さまざまなメーカーのエンドノードを幅広く集めて販売するというビジネスは今の段階では成り立たないという。

「LT-100」 「LT-100」

モジュールとアンテナの組み合わせで技適マークを取得済み

同社はLoRaWAN対応のGPSトラッカーについて、完成品を提供しているほか、機器メーカーに対してモジュールだけの提供も行っている。モジュールにCO2センサーやPM2.5センサーなど、さまざまなセンサーを組み合わせたデバイスを作りたいという要望が多く、同社自身でもそのような機器を提供している。もちろんモジュールと特定のアンテナの組み合わせにおいて技適マークを取得しているので、これを組み込んだセンサーデバイスについても認証済みとなる。LoRaWANを使ったIoTデバイスの開発を検討しているメーカーにとって、ネットワークサーバーとの相性など、ジーアイサプライが持つノウハウは大きく役立つだろう。

なお、同社はGPSトラッカーの1号機である「TR-313J」を発売したときから技適マークの取得に取り組んでいるが、これにはかなり高いコストがかかっている。技適の認証を受けるためにかかるコストは、LoRa対応のハードウェアは3Gに比べて安価なものの、それなりの時間と労力はかかるし、スムーズに手続きを行うにはノウハウも必要だ。

「当社のLoRaWANモジュールは、すべてモジュールとアンテナ数種の組み合わせで認証を取得済みです。LoRaWANモジュールを使って位置情報やセンサーデータを取得するIoTデバイスを開発する場合、未認証のモジュールを使って開発したデバイスで認証を取得するよりも、最初から認証済みモジュールを使用したほうが開発は早く進みます。ただし、組み合わせで認証を受けていないアンテナを使用する場合は、アンテナの追加認証が必要となり、この場合は当社で追加認証手続きを行うこともできます」(北岡氏)

LoRaWANの機器の相性や技適マークの取得など、さまざまな課題をクリアしながらGPSトラッカーを展開している北岡氏に、位置情報を使ったIoTビジネスを展開する上で必要なことは何かを聞いた。

「少ない利用台数でも、個別の要望に応じて最適なシステムを作ることで高い付加価値が付きます。たとえば幼稚園バスのロケーションシステムやゴルフカートの位置情報管理、ビラ配りに特化したIoTシステムなど、一点突破型でソリューションを提供するほうが、規模の小さな会社では成功確率が高いと思います。ひとつのノウハウを可能な限りチューンナップして、お客さまのニーズに合うようにして、技術的にはオープンソースのソフトウェアを活用しつつ、地図配信APIなど有料のものには躊躇しないで投資する。そうすることで成功確率が高くなると思います」(北岡氏)

LoRaWAN対応CO2センサー「LS-111」 LoRaWAN対応CO2センサー「LS-111」

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